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9日目/山内彩芽【運命の面会②】
しおりを挟む面会の予定時間まで後15分………そろそろかな?
受付の横にある待合室で私とお母さんは時計をさっきから何回も見ている。
私とお母さんは今から15分前には待合室に着いて待っていた。
男性保護官の三神さんと部下の方二人は今から10分前ぐらいに待合室に来た。
挨拶を済ませ今日の面会の注意事項の説明を受け、岡崎優輝さんが記憶喪失である事を聞いた。
やっぱりあの生活の記憶は無いのかな?
説明が終わってから私達5人は会話も無く皆時計を見ていた。
そして面会15分前になると三神さんが
「では面会室の扉の前に移動します。面会予定時間10分前から入室は認められています。」
静に頷く。
待合室から出て面会室の扉の前に5人で待つ。
あと4分…………………………………あと3分…………………………………あと2分……………………あと1分。
三神さんが静にドアノブに手を掛ける。
あと40秒……………………あと30秒……………………あと20秒………………あと10秒。
三神さんがドアノブを回す。すぐ開けれるように………
そして5………4………3………2………1……
そして遂に扉が開いた。
中に入ると部屋を二つに別けるような透明な大きな板が目の前にあった。こちら側にはイスが二つ置いてありあちら側には一つのイスが置いてあった。
もう面会時間まで9分………彼がいつ来てもおかしくない時間。
入った順番もあったけど、男性保護官の三神さんが真ん中でその両隣に一人ずつ並んでいた。私とお母さんは二列目として後ろで待っていた。
胸の鼓動が早くなっているのを感じていると、隣から興奮ぎみのお母さんの呼吸が聞こえてきた。
「お母さんちょっと落ち着いてよ。」小声でお母さんに話掛けたけど
「し、仕方ないじゃない。お母さん間近で男性に会うの初めてなんだから。」
まっそれそっか。普通会える事なんて保護区外に住む私達にはありえないもんね。
そして待ちに待った彼が来た!面会時間3分前に。
後ろだからまだはっきりとは見えないけど彼だ。やっぱり夢で見てきた彼より随分若い感じがする………でも間違いない。
一番先に声を出したのは男性保護官の三神さんだった。
「お久しぶりだな、優輝君。元気な様子で安心したよ。」
「お久しぶりです。三神さん、あれ?少し痩せたんじゃないんですか?」
あっ、初めて声を聞いた、へ~こうゆう声だったんだ。
「そ、そうか気のせいじゃないか………あははは。そ、それより以前話していた第一発見者の山内さん親子をお連れした。我々は外で待機しているので終わったら病室で待っていて欲しい。」
「わかりました。でもすぐに渡せますよ?持ってきたんで。」
「いっ!…………いやいや今は受け取れない!後で!後でで頂きます。」
彼が何かをポケットから出したみたいだけど、何の事かわからないけど急に男性保護官の三神さんが慌てたのには驚いた。意味がわからないけど後でという話になったみたい。
「じゃ後で渡しますね。」
と彼が何かをしまうと落ち着きを取り戻した三神さんが
「では紹介します。こちらが第一発見者の山内彩芽さんと彩芽さんのお母様だ。」
と私とお母さんを紹介してくれた。
男性保護官の二人が後ろに下がり三神さんが横に移動すると私の目の前には彼。
私とお母さんは2歩ほど前に出ると彼が私を見ているのがわかった。恥かしい………多分私顔赤くなってるよね。
そんな事を考えていたけど、隣のお母さんの呼吸の音がさっきより大きくなっていて恥かしい気持ちも合わさり顔が熱くなった。本当にやめてよお母さん!
このままだと恥かしさで死にそうだったので、私は意を決して
「初めまして私が山内彩芽です。それで隣にい「あ、彩芽の…は、母で……す。」…………す、すみません。付き添いとして一緒に」
やっぱりお母さん連れてきたのは間違いだったのかな?恥かしいから深呼吸してよ!
「では私達は外で待機していますので」
と三神さん達が出ていった。
残された私とお母さんと彼………よし、これからお母さんはいないと思おう。そんな事を心で決めていると
「とりあえず立ったままもどうかと思うんで、座りましょうか。」
彼が気を使ってくれて座る事を薦めてくれたので私は頷いて素直に座った。
「初めまして岡崎優輝です。覚えてなくて申し訳ないのですが、公園に危険な状態の所を警察に連絡して助けて頂きありがとうございました。」
「いえいえ私そんな大した事してませんから。それに最初変質者だと思って通報しただけですから。」
「え?」
あれ?
「あっ知らなかったんですね。公園で布団を敷いて寝ているのが男性だったなんて思わなくて………」
それにまさか夢の人だなんて思いもしなかったですから。
「そりゃ~そうですよね~どうしてそこにいたのかも記憶に無くて………まっ他にも覚えてる事ないんですけどね。」
「あの、やっぱり記憶少しも思い出せないんですか?」
ん~やっぱり夢に出てきたような生活の記憶ないのかな?
「思い出せないんですが、幸い俺の事を知っている人がいましたから家に帰ってゆっくり思い出せればいいかなと………」
知ってる人?も、もしかして夢の目線の人?でも違うかも………やっぱり夢の事を確認しなきゃ!また会えるかもわからないし………とりあえず簡単な事から聞いて確認しよう。でも答えてくれるかな?
「そうですか………あ、あの突然ですがいくつかお聞きしたい事があるのですがいいですか?」
「はい?なんでしょう?」
良かった。これで断られたら夢の事わからないままになると思うし…………え~と何から聞こうかな?やっぱり
作って持ってこなかったけど、あの食べ物の事から聞いてみようかな。
「から揚げすきですか?」
そう、から揚げ!夢の中で何回も作る所も美味しそうに食べる姿も何回も見た。
「好きですよ。昔何処かで食べた味が忘れられないですね。」
よし!それじゃ次はマヨネーズの事を聞いてみよう。
「そ、そうですか………マヨネーズ付けて食べるの好きですか?」
「えぇ、マヨネーズ付けて食べるの好きですよ。」
よし!よし!それじゃ次は………猫の事聞いてみよう。少しずつ彼が知ってると思う事を加えて聞いてみれば………もしかして。
「そ、そうですか………猫好きですよね?」
「はい?」
あれ?ちょっと言い過ぎたかな?それとも犬?犬派なの?それとも上手く伝わらなかったのかな?
「猫、ペットのですけど」
「えぇ猫好きですよ。」
ふ~良かった。それじゃあの事聞いたらどんな反応するかな?
「そうですか………では拾ってきた子猫を人から預かってくれと頼まれたと手紙まで書いて嘘をついて1ヶ月飼ったあげくばれて泣く泣く里親を探した人を知っていますか?」
「ウッ……………シ、シリマセン。」
あっ、反応あり!カタコトっぽくなってる。よ~しそれじゃアレならもう本人しか知らないよね?
「そ、そうですか…………では彼女にプロポーズする為にわざわざレンタカーを借りて、海に行こうとしたのに途中から天気が悪くなり雨が降ってきたので急遽、水族館に行ったけど人が多くてプロポーズ出来なくて帰りの車の中で指輪の箱を見つかって高速のサービスエリアでプロポーズした人を知っていませんか?」
「……………………シ、シッテマス。」
え?………………………もう認めるの?まだ質問5つ目だよ?
「そうですか………残念です♪まだ10個程恥ずかしい話あったのに………」
「え~~~まだあるの?」
まだって………12年も見てきたんですから、細かい事入れたらもっともっとありますよ?例えば………
「ん~そうですね、泥酔して廊下で漏らした事とか、あと「すいません!もう十分わかりましたから!」
ん♪わかってくれたんだ。良かった。本当に………
「良かった。やっぱり夢の人だったんですね。」
「って恥ずかしいから夢で見た事は言わないで!それで君は夢で[彩]の記憶を見た事があるんだね?」
あや?あの目線の人の名前?
「はい!12年前から夢でいろいろ見ました。それであの目線の人の名前は[あや]さんって方なんですね?」
「……………と言う事は君も夢に音が無かったのかな?」
え?そこまで知っているの?
「そ、そうです。どうして知っているんですか?それに何で………夢にどんな意味があるんですか?」
「…………………意味か………正直俺も意味はわからない。今、わかっている事は君ともう一人君と同じように俺の事を夢で知っている人がいるって事だ。その人は俺のおばさんの記憶を見て覚えていて唇の動きで言葉の内容まで理解している。」
「唇の動きで…………そ、それでその人は夢で何か教えて貰ったんですか?」
「教えて貰ったとは聞いてないけど、静子さんは俺のおばさんの記憶を見て俺の面倒をみたいと言ってくれたんだ。多分そういう意思みたいな感じを夢で受け取ったのかもしれない。」
「……………意思ですか………」
「俺も知りたい!君が[彩]の夢でどんな事を伝えられたのか、そして俺にどうして欲しいのかも。現実に俺の生きる世界は変わってしまった、多分もう戻れないと思う。君と[彩]は別人だと思うけど君の中に[彩]がいるのかもしれない。君は俺に何を希望のぞむ?何をして欲しい?」
そ、そんな………私の希望?だってそれは………
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