妻の望みは………貞操逆転世界

クロハナ

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9日目/岡崎優輝【運命の面会③】

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「俺も知りたい!君が[彩]の夢でどんな事を伝えられたのか、そして俺にどうして欲しいのかも。現実に俺の生きる世界は変わってしまった、多分もう戻れないと思う。君と[彩]は別人だと思うけど君の中に[彩]がいるのかもしれない。君は俺に何を希望のぞむ?何をして欲しい?」


俺は[彩]に問うように彼女に質問してみた………明確な答えが返ってくるとは思ってはいない。


けど………自分に起きたこの事の理由が知りたかった。


もう生きている理由も無かった前の世界………ただ時間が過ぎて行くのを待っているだけの人生………


こちらの世界に来た理由を探していた………若返りは「人生をやり直せ!」とのメッセージかとも思ったが、やり直すのであれば[彩]の記憶を持ったままというのはおかしいと気がついた。


俺はずっと過去に捕らわれている………いや過去と言うよりずっと後悔しているのかもしれない。


もっと早くから不妊治療していれば………病気にもっと早く気がついていれば死ななかったんじゃ………「後悔」の言葉で思いつく事はいくらでもあった。


結婚する時に照れながら俺が言った言葉「二人で幸せになろう」

[彩]は少しでも幸せと思っていてくれただろうか?

それとも俺との生活を後悔していただろうか?

恨んでいなかっただろうか?

不妊治療を止めてから[彩]は何を願っていたのだろう?

俺はその願いを叶えられてあげれていたのだろうか?



「私の願いは………ただ近くで貴方に微笑んでいて欲しいです。多分彩さんもそう願っていたんだと思います。」


「………微笑む?」


それだけ?


「はい。夢の中で優輝さんは彩さんに優しく何回も微笑んでいました、子供が欲しいとゆう気持ちも夢を見始めた頃は彩さんから伝わってきました………けど次第に子供より貴方の微笑んでいてくれる事が嬉しかったんだと思います。」


「彩が嬉しかった?」


それを聞いた俺は目の奥が熱くなり涙が出るのを止められなかった。

目を閉じて静かに泣いた。


自問自答を繰り返して自分を責めていた………俺は何をそんなに難しく考えていたのだろう。


俺が微笑んでいただけでも、彩にとっては嬉しかったのか………

そんな涙を流す俺に


「あ、あと彩さんが夢の中で長方形の真ん中から、こ~折り畳む様な機械に書いた文書があるんですが知りたいですか?」


ん?彼女が言いながら手を動かしているのは昔の折り畳み式の携帯の事だろうか………文書?メールの事か………

涙を拭い


「教えてくれ!何が書いてあった?………って覚えているのか?」


「はい。覚えているとゆうか、夢を見た後いつもノートに内容を書いておいてたので………ただ間違ってるかもしれないですけど見ますか?」


「見たい。頼む見せてくれ!」


実は彩が亡くなって遺品の中に携帯があったが、葬式など色々忙しくしていたので見つけた時には充電が切れていた。


あの時は充電してまで彩の携帯の中を、見ようとは思わなかった。

だから彩が普段誰とメールのやり取りをしているのか知らない。


俺とメールのやり取りは毎日一緒に暮らしているから、たまに会社帰りに忘れた食料品を買って来てとか、産婦人科の予約がいつ取れたからとかだった。



目の前の彼女は持って来たバックからノートを6冊出してくれた。


今、この場で少し読むつもりだったのでイメージ的に1冊と思っていたが、まさか6冊とは………さすがにこの場では無理だ。


「確か8回ぐらいあったんですけど………どこだっけな~」


最後に出したノートを開き探し始めた。


「い、いやそれだけあるなら、貸してくれないか?」


そう言い終わると同時に「ありました!読みますね。」


どうも夢中で探していたらしく俺の声は届いてはいないようだ。

読む事への承諾もないまま彼女が読み始めた。


「お久しぶりです。朋子さんにこの前相談しましたが、やっぱりこれ以上の治療はもうやめようと思います。出来れば優さんとの間に子供が欲しかったですけど、どうも私の体では無理みたいです。せめて私との子供じゃなくても優さんの子供は見てみたいと最近思います。あの人隠し子とかいないですかね?性欲は人一倍あるのに浮気とかする程の勇気も甲斐性も無いのが今になっては残念です。今からでも誰か孕ませてくれないもんでしょうかね。追伸………今度のお盆休みに優さんとお邪魔しに行くと思いますので宜しくお願いします。……………………と書いてました。」


「アーーーーーーーーマジか?いや………アーーー何となく覚えてる…………あん時のお盆の時か…………朋子おばさんがバツイチの子供いる女性との浮気進めてきた時か………冗談って思って流したけど後ろに彩がいたのかよっ!」


俺は頭を抱えた。あの二人はいったい何を考えていたんだ。


「え~と、その、夢で色々見てましたけど大分目的の為なら手段を択ばない方みたいでしたよ?」


そうだ。そうなんだよっ!一途って言うか思い込みの激しい部分もあった…………けど、まさか思いついて旦那に浮気をさせようとするとは…………


も、もしかして俺がこの世界に来たのも彩が俺の子供を見たくて、あの世で無茶をして無理やり何かしたんじゃ…………


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