妻の望みは………貞操逆転世界

クロハナ

文字の大きさ
82 / 85

11日目/岡崎優輝【退院②】

しおりを挟む


静子さんとの電話も終わりもう少しで9時45分になる所だ。


後の予定としては談話室で彼等に退院の挨拶をしてから昼飯を食べて退院する。


そう言えば昼飯は何処で一緒に食べるんだろう?


まっいっか、今更細かい事を気にしたとしても仕方ないしな。

退院で気分がいい俺は簡単に流した。

そして談話室に向かった。


やはりまだ10時を過ぎていないせいか3人ぐらいしかいなかった。その3人はまだ1度も話した事がない面子で、年の頃は高校生ぐらいだろうか………そのうちの一人が俺に興味があったのか何度もこちらをちらちら見ている。
以前からも何度か俺の様子を伺っていた。

その視線に気がつきその子を見ると目があった、あったがのだがその子はすぐに視線を逸らして知らないふりをしていた。


最後だし俺から話しかけてみるか………


やはりと言うか俺が近づくと少し怯えた感じで視線を合わそうとはしなかった。

以前対人恐怖症になった知人の弟さんが同じ様な感じだったが、この子はどんなトラウマを抱えているんだろう。


「おはよう」


「お、おはようございます」


声を掛けても無視されるかとも思ったが素直に挨拶を返してくれた。


「いきなりごめんね。今日、退院する事になったから最後に挨拶したくてね。ほら俺の事ちらちら見てたでしょ?何かあるのかなって思ってさ。」


「す、すいません。」


「いやいや別に怒ったりしてないから。誰かにでも似てたのかな~って?」


「………はい。あまりにも似ていたので………」


えっ?マジで?適当だったんだけど…………一応話の流れで聞いてみるけど。


「へぇーそれで誰に似てたの?」


まっ誰かに似てるって言われてもわからないけどな、そう思いながら返事を待つとその子が


「……………岡崎優輝さんに………」


はぁ?俺が俺に似てる?


そりゃ本人ですから………って意味がわからないんですけど?


「す、すいません。変な事言って………で、でも先輩に……って先輩ですよね?絶対先輩ですよね?」


いきなり勢いよく迫ってきた。この子大丈夫か?


「いや、先輩とか何言ってるの?俺は………先輩?」


ん?先輩?そー言えば昔俺の事を先輩って言って慕ってくれたアイツがいたっけ。


確かもう17年ぐらい経ったか………アイツは泥酔した状態で風呂に入ってベットにパンツ1枚で扇風機をつけたまま寝て朝に冷たくなって死んでしまった。

女好きで酒好きで、でも賭け事も煙草もやらなくていつも明るい性格で興味があれば何でも挑戦するいい奴だった。


朝に会社で悲報を聞いた時は信じられなくて、仕事が終わってすぐにアイツの実家に行って棺桶に入ってるのを見て俺はその場で泣いた。


今でもアイツの命日には思い出して毎年『早死にしやがって馬鹿が………』と嘆いていた。


まさか………目の前のこの子がアイツなのか?


「お、お前まさか………滝沢………滝沢たきざわ、滝沢さとるか?」


感激し過ぎて声も出せないのか首だけを上下に数回降ると、泣きながら抱きついてきた。


「ぜんぱい~」


何が何だかさっぱりだ。多分、滝沢なんだとは思うが見た目も違うし歳も違う。知らない高校生に泣きながら抱きつかれている46のおっさん………あぁ、俺も若返ってるんだった。


取り敢えずいつまでも男に抱きつかれても嬉しくない。俺は事情を聞くために滝沢を引き剥がした。


それから30分程掛けていろいろ聞いた。滝沢も産まれてから今までの苦難を吐き出す様に話続けた。


うん。最後まで聞いたが間違いなく彼女の仕業だ。


ここからは俺の憶測だが………俺をこっちの世界に呼ぶ前に滝沢で実検したんじゃないかと思う。彼女は目的の為なら手段は選ばない、そして失敗のリスクを最小限にする為にも手段は選ばない。


滝沢の話を最初から整理すると、初めに目覚めると訳のわからない場所にいたそうだ。その場所では焦りとか危機感とかもなく凄く居心地が良かったらしい。

暫くボーーっとしていたら知らない夫婦が表れたらしい。

その夫婦は滝沢の曾祖父さんと曾祖母さんだと説明を受け滝沢が死んでしまった事を教えて貰ったのだとか。


時間の感覚も無いその場所で出来る事、出来ない事を教えて貰ったが、何となくわかっていたらしい。


それから曾祖父母と別れ、先に亡くなっていた同期生に会いに行ってみたりしたそうだ。不思議と思い浮かべて少し歩くと会えたらしい。


そんな感じで何かの迎えを待っていると女神のコスプレをした女性が表れたそうだ、多分だが彼女だろう。


その女神に生まれ変りを薦められ『今なら初回特典で記憶はそのままで生けますよ。』となかば強引に決められて、この世界に産まれたらしい。


記憶を持ったまま産まれるというのは、地獄の様な毎日だったと………


まず目が見えない。ぼんやりと明るいとか暗いのがわかるだけ。耳だけは問題なく聴こえるせいで物音で何回も驚いて漏らしたらしい。


手も足も首も………いや身体全部に筋肉が足りなく動かせない。

糞も尿も意思とは違い我慢出来ずに垂れ流し、不快感だけはしっかり感じる。


寝返りが出来ない。そのせいで背中とかお尻やちんちんの所が蒸れて痒くなっても手が動かせないから掻けない。あまりにも痒くて死にたくなったらしい。産まれたばかりなのに………


それから1才2才と無事に成長するにつれて自分の母親が異常な程過保護な事に気がついた。何が過保護というと全く外に出た事が無いのだ。

成長してこの世界を知れば当たり前の事だったのだが………


外に出るとは街に出るという事なのだが3才になっても街には出掛けなかった。


当たり前だ。外に3才の男の子を連れて歩けば、誘拐されかねない。


住んでいるマンションの屋上には遊具もあったしプールもあった。金持ちの家に産まれたのだと喜んだ。


同年代の男の子も同じマンションに住んでいたので何もおかしいとは思わず屋上で一緒に遊んでいたそうだ。


定期的にマンションに住む男の子達を診る為に医師も来てくれた。


それからまた成長して幼稚園に行くようになって初めてこの世界の異様さに気がついたらしい。


大人の男がいない。周りは女性と女の子ばかり。


マンションに住んでいた自分も合わせて5人しかいない男の子。


ハーレムみたいだと喜んだ。


その環境を楽しみながらまた成長して大きくなるにつれて周りの女性の視線に段々と意味のわからない恐怖を覚える様になった。


前世では女好きで女性を捕食する立場だったのが、捕食される側になったのに気がつかなかったのだ。


オオカミの群れに自分から近づくヒツジの様に………


そしてオオカミの群れはヒツジが美味しそうに成長すると逃げられない場所に連れ込み○○○○や××××な事を丸一日群れで楽しんだらしい。


馬鹿なヒツジも最初は楽しんでいたらしいが群れの勢いが凄すぎた。身体中の水分が無くなり脱水症状になり掛けて初めて捕食されている事に気がついた。そして理解できなかった恐怖の意味を知った。


そして現在入院中。胃にきたらしい。


胃だけで済んでるのがまず凄い。この世界の男なら確実に不能者か精神を壊しているはずなのだが………やはり泥酔して風呂に入って死んだ馬鹿は死んでも変わらず馬鹿らしい。


そんな馬鹿な滝沢だが、ずっと苦しんで抱えていたのは、共感者が誰一人としていない事だった。


俺もこっちの世界に来て1週間ちょっとだが、もう何回も前の世界との違いに悶絶した。


滝沢は産まれてから今まで何回悶絶したのだろう?


「なぁ、滝沢。女性が怖いか?」


何気なく聞いてみると


「えっ?いや女性とゆうか集団が怖いっす。先輩も気をつけた方がいいっすよ。」


うん。こいつ間違いなくまたやられるな。


最初は感動的な再会かと思ったが、相変わらずな滝沢に笑いしか起きなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

クロハナです。(*`・ω・)ゞ
ストック無くなりました。
気長にお待ちください。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

熟女教師に何度も迫られて…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
二度と味わえない体験をした実話中心のショート・ショート集です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

処理中です...