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11日目/岡崎優輝【嵐に追われての退院】
しおりを挟むまだ病院の中だが俺は退院した。
予定ではこれから静子さんと昼食をとってから鈴鳴家の保護区に向かうはずだった。
………だったのだが予定が変わった。
「優輝様すみません。天候の変化により予定していた昼食は鈴鳴家の保護区にておとりいただく事に変更になりました。」
永島さんがキリッとした表情で説明してくれた。
天候の変化?雨が酷くなるのか………まっ天気のせいなら仕方ないよな。
それにしてもキリッとしてるんだけど、高校生ぐらいにしか見えない。
150ぐらいの身長のせいかな。しかしいったい何歳なんだろ?
隊長やってるって事ならやっぱりそれなりの歳なのかな?
妙に気になってボーーと永島さんを見ていたら、静子さんに話しかけられた。
「あらあら優輝君。お腹空いても薫ちゃんを食べちゃダメよ?」
「………え?」
「だって好みでしょ?薫ちゃんみたいな小柄だけど胸も大きくてしっかりしている子。」
好み?………あ~好みか。結婚してずっと妻一筋できていたから好みとか恋愛とかの気持ち忘れてたわ。恋愛なんかもうしないと思ってたし………
「忘れてました。そうですね、静子さんの言う通り俺の好みでした。」
「あらあら、若いんだから自分の好み忘れちゃダメよ。」
中身はは40過ぎのおっさんだからな~。
でもそっか、そうだよな。もう妻もいない。独身か………好みの女性を見つけて恋愛してもいいんだよな。…………ってどうやるんだっけ?好みの女性をナンパ?
そう思い永島さんを見ると、顔を真っ赤に染めて………鼻血!
「永島さん!鼻血!」
あ~顎まで垂れて床に落ちてるし、でも永島さんは虚ろな目でわかってないみたいで何かずっと呟いてた。
永島さんの後に控えていた佐々木さんがすぐに鞄からティッシュを出して処置してくれた。
「あらあら、薫ちゃんも優輝君には敵わないわね。」
俺のせい?
いやいや元はと言えば静子さんが振った話だから。
処置が終わった後佐々木さんに睨まれた。
体格も身長も俺より大きいからマジで怖かった。
再起動した永島さん。
「す、すいませんでした。お見苦しい姿を見せて。」
「いやいや大丈夫です。俺も見慣れててきましたから。」
そう。こちらの世界の女性は刺激的な事でよく鼻血を出す。
「あらあら、それで薫ちゃんこれからどうするの?」
「はい。非常階段で屋上にあがり待機させているヘリでポイントSKまで移動する予定です。」
SK?って………いやいやちょっと待て。今ヘリって言った?
ヘリになんて俺乗った事ないぞ。正直怖いんですけど。
「あら?優輝君ヘリダメなの?」
静子さん?なぜわかるんですか?さっきから読み過ぎですから!
「いや………ダメっていうか乗った事ないんでちょっと怖いかな~って………」
「あらあら………薫ちゃん?他のプランで行ける?」
「はい。特殊車輌も近くに待機させていますので可能です。しかし移動中に嵐に巻き込まれる可能性が高いですがいかがいたしましょう?」
嵐?あれ台風の時期でもないよな?
「嵐ですか?そんなに酷くなりそうなんですか?」
「………あら?もしかして優輝君ちょっといいかしら?」
そう言って静子さんは俺にだけ聞こえるように耳元で質問してきた。
「もしかして100年前の天気と同じと思ってる?」
「え?違うんですか?」
「えぇ多分優輝君のいた時代からだと想像しにくいと思うけど、嵐と言えば昔の台風がくるのと同じぐらいなのよ。」
「じゃぁ本当の台風ってどんなレベルなんですか?」
「そうね………昔で言えばアメリカのハリケーンかしらね。」
マジか!
「じゃぁ車での移動はやめた方がいいんですか?」
「そうね。特殊車輌と言っても危険だわ。」
「………わかりました。ヘリだと嵐がくるまえに鈴鳴家の保護区に着けるって事なんですね?」
「そうよ。それにシェルターの準備も間に合うから。」
…………………シェルター。マジか。いったいどんだけ俺のいた時代から地球環境が悪化してるんだ。
子作りの事だけじゃなくそっちも調べておけばよかった。
そう思いながらも小声で静子さんと話していたら、病院内にアナウンスが流れた。
『警報情報をお知らせします。2時間後にレベル3の嵐が到達する可能性が高くなりました。規定に従い入院患者及び職員以外は建物から離れ近隣のSTSに移動してください。繰り返します。』
おいおい大丈夫かよ。
「静子様優輝様お時間があまりございませんご決断を!」
慌てる訳でもなく冷静に永島さんに問いかけられた。
…………仕方ないヘリで行くしかないか。
「静子さん!ヘリに乗ります。」
「えぇ、わかりました。薫ちゃんいい?」
「はい。では非常階段で屋上に向かいます。こちらです。」
俺は永島さんの誘導で屋上に向かった。先頭は永島さんで最後尾は佐々木さんで。
屋上に出ると生暖かい風が少しあるぐらいだったが、遠くの空には真っ黒な雲が見えていた。
その真っ黒な雲と同じ様な黒いヘリが一台あった。
静子さんは慣れているのか足早にヘリに近づき乗り込んだ。
俺も先に乗った永島さんに誘導されてなんとか乗った。これが今から浮くのかと思うと怖い。
中でヘルメットを渡され説明を聞いた。
エンジンの騒音で飛行中の会話がしにくくなる為、何かあれば無線で会話するそうだ。
説明も終わりエンジンが始動した。うわっマジで凄い音だ。
驚いているとヘルメットに装着された無線から永島さんの声が聞こえた。
「では静子様、優輝様、離陸いたします。離陸時少し揺れますのでご注意を。」
恐怖から身体と足に力が入る………初めて感じる妙な浮遊感。
建物の屋上から飛び立つヘリは思った以上に恐かった。いきなり地上何十メートルの上を飛んで行くのだから。
離陸後10分ぐらいで安定した高度になったのか浮遊感が少し変わった。一定の速度感と高度になった事と少し馴れた事で今まで力んでいた身体が自然に解れる。
「あらあら優輝君、大丈夫?」
俺の事をずっとで見ていたのか静子さんが心配してくれた。
「はい。やっと少し馴れました。」
「そう良かったわ。あと30分ぐらいで着くから我慢してね。」
やっと余裕が出て周りの景色を見ながら飛ぶこと30分。
見えてきたのは………基地?要塞?
ネットの地図での予想した景色とはあまりにもかけはなれた様子に唖然となった。
地図だと村かちょっとした町だったよね?そんな驚きの中永島さんが話始めた。
「優輝様。今見えてきたのが鈴鳴家の保護区です。保護区を取り囲む塀は地下に土台として深さ5㍍厚さ2㍍のコンクリートが埋めらその上に5㍍の電磁ネットが張られています。くれぐれもお近づかないようにお願いします。」
もう保護区じゃなくて基地ですよね?
そんな疑問もスルーされ丸い円の中にアルファベットの『H』の文字がある所に着陸した。
これからこの保護区でどんな生活が待っているのか不安になりながら俺は静子さんの後を付いて行った。
まさか、ここから人類の存亡を救う事になるとは………
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
長らく読んで頂きありがとうございます。
やっと!やっと一章の終わりです。
人の1日を文字で表現、説明するのにいったい何文字が必要なんだと1度挫折しかけたぐらい大変だった。
2章で完結の予定です。
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