歴史迷探偵 波子伊太郎 聖徳太子伝

桜小径

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聖徳太子の謎4~用明天皇と蘇我氏そして鬼 前編~

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突然ですが、先日近くのコミュニティーセンターで挨拶と短い講演をしたのでここに 紹介します。

~~~~~少年犯罪についての講演記録~~~~~○○地区文教委員会、○○校区保護者会 

「みなさんこんにちは、平成の名探偵波子伊太郎です。教育関係者ではないのに壇上で挨拶せねばならないことになってしまい、少々面食らっております。これもあれも、うちの馬鹿な探偵助手の聞き間違いからはじまったことなのです。リソースメータを振り切った頭についた耳には「少年と犯罪について講演のお願い」というのを「少年が、犯罪を公園で女の子あいてに行っている」と聞き間違えたあげく、「探偵を行かせます」と、何の確認もせず引き受けてしまう馬鹿です。(会場(笑)) 

さて、平安時代。ご存知ですね?ヘブライ語ではエルシャロームというらしいですがこの時代の日本にも不良少年はいました。と、いったら皆さんはびっくりされますか ? 

「鬼」というやつがそれです。そうシマシマパンツで角のあるやつです。 

平安時代というと何だか平和そうな気がしますが、平和なのはお金持ちの貴族さんたち。われわれのような庶民には戦争の悲劇こそすくなかったが、生活が厳しいのは何時の時代も変らない。 

厳しい生活の中、人里はなれた山奥などに子捨て、姥捨てが行われます。おっそこの奥さん、同じ平でも「安」の時代じゃなくて「成」の時代でよかったですね(会場・しらける) 

ゴホン。さてその中でも幸か不幸か生き残った子供たち、それが「鬼」の正体だったのです。 

桃太郎。。あれなんかも捨て子なんでしょうね。で、同じく捨てられたおじいさんとおばあさんが拾うわけです。(会場・眉を顰める) 

ここで一つわかりますよね。捨てた側は捨てた子を鬼とよび、捨てられた子は捨てた側を鬼と呼ぶわけです。今の世ではこれを勝ち組だの負け組みだのともという(会場・シーンとする) 

鬼なんていない。これは古代だろうが、中世だろうが現代だろうが、同じです。鬼を作るのは人間なんです。 

ここで、それらの鬼から一つモデルを出しましょう。茨木童子。酒呑童子の子分です。手元のパンフレットの中に挟んであるプリントに書いてある昔話をご覧下さい。 

『茨木童子についての史料』http://www.1134.com/ibaraki/01douji2.html 

はい。目を通されましたね? 

この茨木童子女の子かもしれないですね。拾われた床屋というのは寝床、おそらくいかがわしい場所だった。そこで養われたはいいが稼ぎがなくて放り出されました。 

しかしこの子は、生みの親を探し出し最後に恩返しに表れるわけです。金銀を持ってきたというのはそれだけが童子が信じられる大事なものだった。でも捨てた娘が不良になって戻ってきたことで悪い噂を流されたら困る親は追い返してしまう。童子は更正のチャンスを失ったわけです。なんとかわいそうなことでしょう。(会場・さらにシーン) 

いまの時代、子や年寄を捨てるっていうことは少ないかもしれない。でもね、子や年寄にお金だけ渡して関心を持たないってことは、子や年寄を捨ててるっことと同じなんです。生活や仕事のために子や年寄の相手をする時間がない。これが事実なら子供 
もおそらく捨てられたなんて思わない。子は親が時間を子供のために使わず親自身のために使っていることをみぬいているんじゃあないでしょうか?少ない時間を子供のために使うっていうことが、子供に人間を思いやることの大事さを教えるんではない 
でしょうか? 

鬼は勝手にできるものじゃない。人間が作るんです。いや知らぬ間に作ってしまうのです。。 

童子には産まれる前後から、16ヶ月も腹の中にいたとか、生れ落ちたとき既に歯が生え揃っていたとか、すぐに歩いたとか最初ッから鬼だったかのようにいわれています。これは最初から鬼であったから、悪くなるなるのもしようがないという周囲の諦めを正当化するためにアトヅケされた伝説でしょう。鬼に育ててしまった事への一つの言い訳なんじゃないかと私は思う。 

つまりこいつは最初の最初ッから異常であって自分達とは違うのだ。ということを際立たせ、犯罪を日常的に行う人間とそうでない自分たちとの「線引き」をした。そうした心理作用が「異常な生い立ち」。 

関心がないと相手におもわれること。それが問題なのではないでしょうか!?(会場 ・納得) 

みなさん。家族に関心をもちましょう。それが少年犯罪を発生させない手段の一つです。(会場。拍手) 

まあ、教育問題より、殺人事件の推理ようですが、これで私の挨拶とさせていただきます。 

みなさん、悩み事や行方不明調査は3丁目の波子探偵事務所まで、秘密厳守。相談だけなら三十分500円でキャンペーン開催中です。ではみなさんさようなら(^^ゞ 
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堂田「しかしよく、誤魔化しましたね」 

波子「堂田君、君ねぇ。。少年の行方不明者捜索事件の依頼と少年犯罪問題についての講演依頼とを聞き間違えるなんて嘘だろう。少年しかあってないじゃないか。まあ今回は騙されてやったけどさぁ」 

堂田「「そんなことないですよ。聞き間違いですって。。」 

波子「ふーん、そうかい?そうそう会場の手伝いをしていたボランティアの女の子、美人だったよなぁ。まさか美人に頼まれて私を騙したってわけじゃあないだろうねぇ?」 

堂田「ギクっ」 

波子「いまどき、珍しい清楚な子だったよな。今度お茶でも誘ってみようかな。ボランティアだからボラ子と名付けよう」 

堂田「ボラ子って。。。。。」 

波子「君と同い年くらいだったね。そういえばどこかボラにも似てるじゃないか」 

堂田「どこがですか!!!」 

波子「落ち着き給えよ。しかしなんでそんなに興奮するんだ?」 

堂田「いや別に興奮なんか・・・」 

波子「しらばっくれなくてもいいよ。もうネタは上がってる。彼女は高橋愛22歳独身おとめ座のA型。きみの大学の同窓生で、サークルも同じ推理小説研究会。」 

堂田「げっ!!!」 

波子「いい娘じゃないか、なんで隠してた。どうせ片思いってところなんだろう?その娘に『まあ堂田君探偵事務所に務めてるの?私探偵とか珍しい仕事してる人の話がききたいな』とか言われたんだろう。」 

堂田「ろろ」 

波子「呂律がまわってないよ」 

堂田「そそそそそ、んなことより『茨木童子』の話、なかなか良かったですよ。波子先生にしては準備万端でしたね。」 

波子「あっあの話ね。茨木童子の昔話は愛ちゃんがたまたま持ってただけだよ。昔話をモチーフにした推理小説をつくるとかでさ。控え室で見せてもらったんでね。それをコピーして配ってもらったということさ。彼女は桃太郎をモチーフにすると言ってたよ。茨木が目に付いたのは昨日君がパソコンで茨木皇子がどうしたとか書き込んでたろ。それを横目で覗いてんだ。愛ちゃんの持ってた昔話もてっきりその話しかと思って目に止まったんだよ。でもそれが大江山の鬼退治だったってわけさ。君も推理小説家を目指してるんなら、ネットばかりしてないで勉強したらどうだい。」 

堂田「僕だって勉強してますよ。」 

波子「勉強?ネットの掲示板とにらめっこして更新ボタン押すのが勉強なのかい?」 

堂田「よく見てますねェ」 

波子「注意力がいいだけだよ。君が何してようと私には関係無いからね」 

堂田「ふっふっふっ。僕だって知ってますよ。昨日駅前のパソコン教室に行ってたでしょ?」 

波子「ぎくっ」 

堂田「あそこの初心者コースのインストラクターの女性、美人だもんなぁ」 

波子「えっ?そうなのかい」 

堂田「またまた。とぼけちゃって、さっき背広の中なら「初心者向けインターネット・Eメールコース」の領収書がでてきましたよ」 

波子「あああああ」 

堂田「呂律が回ってませんよ。」 

波子「どうでもいいだろ?そんなこと!ところで茨木皇子ってのもいるんだね。」 

堂田「あっ先生のほうから歴史の話をふってくるなんて珍しい。。。パソコン教室から話を逸らそうとしてますね?」 

波子「で、逸らすのか逸らさないのか?」といって、机の上のビール瓶を握り締める。銘柄はヤタガラスビールだ。 

堂田「逸らしましょう。」 

波子「で、童子と皇子は同じ人物なわけ?」 

堂田「まさか!茨木皇子といえば欽明天皇の皇子の名前です。詳細は不明な点も多いのですが、一説によると後の用明天皇、つまり聖徳太子のパパの別名かもしれない、とも言われてる名前です。同一なわけないでしょう?」 

波子「歴史素人を馬鹿にしてるのか?素人相手にその態度は、そんな答えられ方したら、質問もできやしない。これだからオタクってやつは。。。」 

堂田「気に障ったたらすいません。」 

波子「誤って済む問題かい?質問者に対してそんな態度を取るってことは相手を馬鹿にしてる証拠だ!だいたいね、用明天皇なんて名前自体知ってる奴はほとんどいないよ。試しにそこの商店街に行ってアンケートでもとってみろよ。100人中99人は知らないはずだ。しかも茨木皇子なんてのは有名人の父さんしかも別名ってわけだろ?そんな名前しってるのはこの町内でおそらく君一人だけだ!!!民主主義の原則からいえば君こそ異端だ!」 

堂田「異端だなんてそんな、大げさな。。」 

波子「君がそんな大人になってしまった原因はおそらく教師だな。きっと君は教師に『何か質問ある者は挙手しなさい』とかいわれておそらくクラスで一人だけ手を上げるタイプだったんだろう?手を上げて当てられてはじめて自分一人しか手を上げてないことに気が付いて恥ずかしい思いをしたはずだ。」 

堂田「何を根拠に。。」 

波子「根拠?それは目の前にいる君に他ならない。君は教師に質問した。その質問を受けた教師はきっと『なんだこいつ、こんなこともわからないの?』と思ったはずだ。そして口に出してこういったはずだ」 

堂田「えっ?」 

波子「『ちゃんと授業を聞いてたのか?』ってね」 

堂田「何でわかるんですか?」 

波子「言ったろ、ヒントは今の君自身だ。まぁそんなことは今はどうでもいい。そう言われて君はその後なんて答えた?」 

堂田「そりゃ、聞いてましたと答えましたよ。だいたい聞いていたから質問できるんでしよう?」 

波子「そう、いいところに気が付いたね。その通りなんだ。質問が無いということは当該箇所の説明を百パーセント理解できたか、乃至は聞いていなかったか。あっもう一つある。聞いても理解できなかった。でもこれは聞いてないのと同じなんだ。だからその教師はおろかにも君に向かって『聞いていたのか?』と問いかけた。」 

堂田「はあ、そうなりますね。」 

波子「君の対応はその教師と同じなんだよ。」 

堂田「え?どういうことですか?」 

波子「教師が児童に『質問があるものは挙手しなさい』といった理由は何だと思う?」 

堂田「そりゃ、詳しく、解かりやすく教えるためでしょう?」 

波子「馬鹿か、君は。その教師には最初の説明より詳しく、解かりやすく説明できる能力がある分けないだろう?そんな能力があるんなら、最初の説明のときにもうやってるはずだ!」 

堂田「ええええっ!?」 

波子「その能力が教師にあるんなら最初から詳しく解かりやすく教えりゃ、そんな手間はいらない。そうだろう?」 

堂田「まぁ、そう言われればそうですねぇ。じゃあなんで挙手させるんです??」 

波子「挙手させることが自分の授業の計画予定に最初からあったからだ。」 

堂田「よくわからないなぁ。じゃあ何でそんな予定を計画するわけですか?詳しく説明するためでしょう?」 

波子「違うよ。聞いてなかった奴を炙り出すためだ。彼の仕事は児童に理解させることではない。児童に自分の授業を聞かせることなんだ。」 

堂田「それって、同じことなんじゃ?」 

波子「もちろん。聞いて理解できる理解力の高い児童にとってはそうだろう。しかし君のように察しが悪くて魯鈍な人間にとっては同じことではない。で君はまんまと炙り出されたわけだ。」 

堂田「魯鈍で悪かったすね。」 

波子「つまりだ。教師というのは、自分の言いたいこと、やりたいことや、上からやれと言われた事をしているだけに過ぎない。児童がそれを理解できたかできてないか、なんて教師の知ったことではないのだよ。教師が確認したいのは、自分がいったこと 
を聞いてたかどうか。それだけなんだ。」 

堂田「そんな馬鹿な!教師っていうのはものを教える職業のはずでしょう?」 

波子「違うね。授業を遂行し学校行事をこなす事。それが彼らに課せられた最大の任務であり最低限の責任なのだ。モノを教えるっていうのは副次的な仕事なのだ。」 

堂田「そんな馬鹿な!!」 

波子「だってそうだろう?教えるのが仕事なら教わったことを子供達全員が理解していなくてはいけないはずだ。そうなっていないのは君をみていれば明白だろう?いいかい?児童や生徒には教わる義務、学ぶ義務、習う義務というのがある。」

堂田「絶句」 

続く
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