4 / 6
聖徳太子の謎3〜彦人大兄皇子の正体 後編〜
しおりを挟む波子「推古前の天皇の死因を良く読め。病死だろ?疫病、天然痘が死因なんだろう」
堂田「彦人も天然痘で死んだと?」
波子「死んでないといっただろ。」
堂田「訳がわからないです???」
波子「彦人はね。ヘルペスつまり水疱瘡だったんだよ。天然痘と水疱瘡は初期症状が同じだ。でも彦人は水疱瘡だから回復した。罹ったのはおそらく崇峻即位のころだ。父親の敏達も大兄として仕えた用明帝も天然痘で死んだ。その頃水疱瘡に罹った彦人も短い命だと周囲の人間たちに思われたんだ。用明が短い在位で死んだのも教訓になってるはずだ。彦人は顔や体に跡が残ったんだね。当時の人にとってその跡は不気味なものだった。きっと何時死んでもおかしくないといことで、候補者から除外されたんだ。でも水疱瘡から回復した彦人は歴史の表舞台からは去ったが結構長生きした。」
堂田「・・・・・・。それは・・・・。じゃあ屍解仙伝説は?」
波子「屍解仙つまり片岡飢人のことだな?!これはね神聖化思想でアトヅケされた逸話ではないんだ。
堂田「え?仙人伝説みたいなものじゃないと?」
浪子「ああ実話だよ。片岡の飢え人とは彦人のことだったのだ。彦人の子である山代皇子や田村皇子、後の舒明天皇たちは厩戸に保護されたんだよ。厩戸の壬生部が作られた607年あたりに彦人、それに彼の子孫の男子で年少のものたちは厩戸の斑鳩の宮に集められた。厩戸に見込まれなかった彦人の縁者は百済寺に預けられた。」
堂田「彦人の血筋の田村皇子つまり舒明天皇は百済大寺を建てた人ですよ」
波子「そうさ、だから田村は百済寺を大きくしたんだよ。厩戸に見込まれた彦人の子が山代皇子だよ。彼は日本書紀の記述では山背大兄皇子となる。だって「やましろ」同じ読みだろう?いくらなんでも同時代のライバルに同じ名前をつけないだろう?彼が教育のため厩戸の上宮に迎えられたんだろう。おそらく厩戸の政策の後継者としてね。厩戸は屍解仙を知ってたのだ。それを利用して自らの神聖化をはじめた。ついでに彦人も持ち上げたはずだ。聖人は聖人を知るってのが本来の意味だからね。助けられた彦人もその血を受け継ぐ山背や田村も仙人つまり聖人の子だ。そして仙人の血を引き聖人の教育を受けた者こそ自分の選んだ対豪族政策ひいては中央集権化という苦難の道を歩んでくれると思ったのだろう。まぁ失敗したがね。聖徳太子も人の子だったということだ。何もかも思い通りには行かなかった。」
堂田「彦人の子の山代皇子が厩戸の子の山背大兄皇子になったなんて。でもそう考えれば血統としての山背は厩戸の子じゃないんだから蘇我氏が襲う理由は、はっきりしてくるけれど。つまり『やましろのおうじ』を接着点にして聖徳太子の理想と彦人大兄の血統が同化したってことですよね。血統主義の強い旧豪族たち、特に聖徳太子の血統の方に近い蘇我氏はそれを許さなかったということですよね。」
波子「そうだよ。山背は三輪君の一族に一度は救われてるだろう?それも当然なんだよ。彼は敏達の子孫だからね。敏達朝の忠臣の三輪君には助ける理由があったんだよ。山背は蘇我氏も話せばわかると思ったんだろうね。蘇我氏は山背の育ての親の厩戸の支持者でもあったわけだし。それに君は一番大事な事を忘れてる。日本書紀には山背が厩戸の子だなんて一言も書いてないんだよ」
堂田「そう、そういえば、山背が厩戸の子というのは、後に成立した上宮聖徳法王定説の記述ですよね。片岡飢人の伝承は皇位継承の政力争いから脱落して不遇をかこっていた彦人の事で、太子を持ち上げるために書紀の編纂者たちが「屍解仙」神話を挿入したんじゃなくつたわってた話を書いただけってこと?つまり厩戸は彦人を助けたことを、そして大王家に親政の力を呼び戻すために彦人の血統に大王位を託して、それを屍解仙伝説として広めたってことか。。。。」
浪子「そうだ。誰かを匿って後に埋葬したってことは隠せないだろうからね。彦人を助けたんじゃなくって見知らぬ仙人を助けたことにしたんだろう。そうすれば彦人の死がなくなっても不思議はないからね。この伝説は、彦人の王家と厩戸の王権が合一して、トップの血筋が入れ替わったことを暗喩してるんだよ。」
堂田「ちょっと待ってください。山背はいや彦人の子山代は蘇我入鹿に殺されたんですよね。」
波子「そうだよ、敏達の系統に大王位がいかないようにね」
堂田「おかしいじゃないですか、田村が大王位についている」
波子「山背より田村の方が御し易いと思ったのだろう。蘇我氏には自分たちの権益を守る大王が必要だった。普通は血筋が近ければ守るはずだからね。でもそれさえ保障してくれるのなら彦人の血筋だからといって皆殺しにする理由もない。王権の集中こそが豪族たちには脅威なわけだし。それに山背だって、厩戸の政策遂行者としての有能さを見込まれて厩戸の後継者に選ばれたわけだ。自分は死ぬ、けれども田村や他の親族たちを守ることを条件にしたんじゃないか?蘇我氏にしてみれば指導力の備わった山背は邪魔だが、田村を一旦傀儡にして、そのうちに厩戸の子たちの誰かが適齢になったらそっちに大王位を移すつもりだったんだよ。」
堂田「何いってんですか、厩戸の子孫は入鹿に根絶やしに」
波子「ばかか君は、斑鳩で死んだのは厩戸の子じゃないだろう。蘇我氏が敵対してた敏達系の彦人の子の山背とその子孫だよ。推古が山背に他人の意見を聞きいれよと遺言しているのは、実質的に王家内部のリーダーが山背だったからだよ。推古は当時の常識ではこの王権の血筋移動が受け入れにくい上に、厩戸が遺した隋に習った中央集権の政策の急進性に不安があったからそういったのだ。一方の田村はそれほど厩戸の政策に心酔するタイプじゃなかった。だから謹んで物事を考えよと遺言した。田村はそれに従って、旧来秩序の保障はするという政策を採った。山背が悲惨な最期を迎えた後だから余計に慎重になったのだろう。」
堂田「隋に学んだ政策か。。。その隋だって滅びて唐に代わってますしね。じゃあ本当の厩戸の子たちは?」
波子「入鹿が斑鳩から連れ帰ったにきまってるだろ。谷の宮門、つまり蘇我系の宮殿だよ」
堂田「まさか」
波子「蘇我蝦夷と入鹿の宮は、大化の改新で焼かれて全滅している。そこにいたのは蘇我蝦夷だけじゃない。厩戸の子孫たちもそこにいたはずだ」
堂田「つまり中大兄皇子たちは。。。。、」
波子「滅亡させたんだよ。蘇我氏だけじゃなくって厩戸の直系の子孫たちをね。その罪ごと蘇我氏に被せ闇に葬ったんだよ。まあ、誰が一番得をしたか?という考えだけだけどね。そっちの方がすっきりしないか?どうして同族ともいえる厩戸の子孫たちを蘇我氏が殺したのかっていう疑問に対しては、だけどね」
堂田「私の想像を超えた解釈ですねぇ。しかし何で山代の父が入れ替わってたとか、しかも実父は水疱瘡だとか考え付くんだろう???」
波子「彦人の名前で何か思い出せないか?押坂彦人。今日の依頼人と同じ名前だよ(笑)」
堂田「そんな、、、コジツケにもほどがありますよ。しかしまぁこの人の頭の中はどうなってるんだろう?」
波子「押坂(忍)だけに『それは秘密です』(昔押坂忍が司会してた番組)」(爆)
堂田「そんな中途半端な落ちじゃこまります。『ベルトクイズQ&Q』(昔押坂忍が司会してた番組)」(爆)みたいにきっちりと落としてくださいよ」
波子「そうだ!!依頼人の押坂さんの件、もう一度奥さんに聞いて見よう!!」
堂田「『ラーマ奥様インタビュー』なんて落ちだったら結構です」
波子「・・・・・・・・・・・・・・・・」
幕
9
あなたにおすすめの小説
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
公爵令嬢は結婚式当日に死んだ
白雲八鈴
恋愛
今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。
「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」
突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。
婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。
そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。
その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……
生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。
婚約者とその番という女性に
『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』
そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。
*タグ注意
*不快であれば閉じてください。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる