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崇神からヤマトタケルまで
しおりを挟む~プロローグ~
ヤマトタケルの実在を云々する前に、欠史八代を述べるべきなのだろうがここでは深く追求はしないでおこうと思う。欠史八代はそれより以前の事と推察される「神代」のことでさえ詳述されているのに対し、系譜を淡々と述べるに留まっている。そして異様な長寿、これらにより実在が疑われているのである。
簡単に私の考えをいうと以下の通りである。
「欠史八代の天皇=大王は存在はしたが崇神朝までは大王と呼べるほどの力も実績もなかったのではないかと考えています。奈良盆地周辺の一地方の首長であった崇神天皇の時代に四道将軍の活躍に反映される軍事活動によりヤマトの大王と呼べるほどの地位を手に入れたのではないか?」
このように、欠史八代は崇神の先祖とだけ理解するのが妥当なような気がしているのである。
さて、崇神天皇の時代といえば卑弥呼、トヨの時代と重なると見られている。つまりは3世紀後半から4世紀初めである。この時期には古墳祭祀が本格的に始まるのが注目点である。さて、この墳丘墓祭祀が前方後円墳という巨大な古墳に発達した背景には吉備・播磨の平野が統一され穀倉地帯となったことがあるのではなかろうか?
播磨風土記を見ると、地元の国津神伊和大神についての記述を除くと神功皇后と応神天皇の巡行がとくに目をひくが、その前にも天皇の巡行がある。それはヤマトタケルの父、景行天皇の巡行である。景行天皇も各地に自ら征討軍を率いて乗り込んだ記述が記紀や九州の風土記を中心に多数残されている。また景行自身もあまりにも超人的な天皇なので実在を疑われている。記紀神話の熊襲討伐のみならず先ほど挙げた播磨風土記、そして常陸風土記にもその足跡を刻んでいる。
系譜としては崇神朝(三輪王朝)に属するのだが、あまりにも熊襲討伐の印象が強く九州王朝という見方さえできそうだ。その後に続く成務の時に武内宿禰が大臣となり、更にその後の仲哀も九州で命を落とすあたり九州とこの王朝の縁は深いような気がする。書紀の武内宿禰と成務天皇は同日生まれという記述も何やら怪しげなものを感じさせる。がこれについては後述することにしよう。
酒宴の警備を二人して買って出て、酒宴に参加しなかったりもする。ひょっとして武内宿禰と成務は同一人物ではなかろうか?この二人の時、天に二日ができたのかもしれない。書紀、古事記ともに成務の事跡が少ないのが気に掛かる。全国の境を決めるということは、国家の基本でもある。それを成し遂げたはずの成務朝の記述はどうして少ないのだろう???この時期、境界線を決めるにあたって、もっとも活躍した人物は誰であろうか?そう、武内宿禰とは、蘇我氏の祖であるのだ。
もしそうなら、成務は大和、武内は九州なのか?逆かもしれない。いろいろと考えられる可能性はあるがこれについては後述することにしよう。しかしである。九州に王朝があったとしても、大和にあったにしても崇神から仲哀までの崇神朝全体での各地への討伐説話は凄まじいものがある。南九州から関東まで軍の移場所が王朝のような雰囲気である。どちらか一箇所ということでは単純に納得することはできない。この王朝の動きと性格は後世の「幕府」そのものといった感じである。もしかして、崇神朝は大物主朝廷の幕府であったのかもしれない。いやいやこれは妄想の行きすぎか。
話は変わるが九州王朝といえば、伊都都彦なる人物がいて天之日矛の渡来時に、自分が倭国の王だ他に国王などいないと日矛に言い放ち、自分の側にいる事を命じ、さらに国内をうろつくなと命じたらしい。この時の天皇とされる人物は崇神の息子垂仁であり、彼は四道将軍の北陸方面担当の大彦の娘を皇后とし、この二人の子がヤマトタケルの父である景行天皇である。 九州はかくも独立心が強い。というか大和の政権に対し臣従しているという意識が無かったのかもしれない。戦いを選択できない時だけ従属の姿勢をみせたのかもしれない。このあたり、戦国期の室町幕府と九州の大名との関係に近いのかもしれない。というより、大和の王権を大事な交易相手としてしか認識してなかったのかもしれない。だから、交易の相手としては下にも置かぬが、交易の利益は九州が得るという感じだったのかもしれない。
いずれにしても、垂仁は九州に舐められた存在であったのだろう。突然やってきた日矛に対しても、毅然とした態度とは言い難い態度をとっている。むしろ伊都都彦のほうが大王らしくさえ感じる。日矛は垂仁を気にいったらしいが・・・・・。好きな土地に移って自由にしていいと言われれば当然といえば当然である。日矛は新羅方面との関係を匂わせている存在なので、新羅と崇神朝、九州地域と南韓、という経済圏があり双方が対立していたのかもしれない。
伊都という文字を見ればといえば伊都国がまず思い浮かぶ。魏志倭人伝のアレである。大陸、半島との窓口になったあの国だ。戸数が少ないのにも関わらずこの国の王は偉そうだ。農耕や漁業による利益を当てにした産業経済でないのは明かなような気がする。現代でいうと、株か先物取引といった事業で儲けていたのか?大陸からの珍品・貴品を高値で日本列島で売りさばき、日本列島でしかとれない珍味・珍品を大陸半島に高値で売っていたのか?いずれにせよ、九州王権は地元以外では「地に足のついた支配体制」ではなかったのだろう。
また記紀神話で伊都といえばイザナギの佩いていた剣の名前である。イザナギノミコトとは伊都の武装集団のことか?とにかく伊都国に比定されている三雲遺跡の副葬品の豪華さと幅広さは、2世紀ではダントツに凄いものらしい。成金の墓のようにも感じる。魏の使節が常駐する地域であるとされている伊都国には普通の「クニ」とはまったく違ったニュアンスがある。
最初は魏の後ろ盾を得てつまりは、東アジアにおいて正当とされた倭国と九州と倭人の作った王権である出雲のあいだで列島の覇権が争われ、後に出雲の地位を受け継いだ大和と九州の戦いによって、倭国の覇権は大和朝廷に移ったのか?となると崇神朝というのは、本当の意味での「倭国統一前夜」という位置付けでいいような気がする。続く応神朝で本当の西国統一が成し遂げられたのか?
世界最大の規模を誇る巨大古墳は、九州の富、出雲の富そして瀬戸内海沿岸や関東地方の富まで集約したのが河内王朝と呼ばれる応神朝であったのか?前方後円墳であるあたり思想的には崇神幕府に通じ、経済的には九州王朝に通じているのかもしれない。古代日本を彩る九州の富の権利は応神以後河内に移ってきたのかもしれない。
さて、各地を転戦した崇神幕府の戦費、兵糧はどうやって賄ったのか?騎馬軍団なら現地調達と言う名の略奪、移動先が本拠地となるかもしれないが、そういう可能性(騎馬軍団渡来説?)も低そうだ。となると通常通りに兵糧を手配してからの移動と考えたほうがいいだろう。その場合やはり船が重要な輸送手段になるだろう。しかし三輪王朝は成立当初船を持たなかったとされている。船をもたない王が日本列島各地を支配していたとは到底思えない。やはり三輪の崇神王朝は本来、全国政権などではなく三輪地区周辺の王統であったのではないだろうか?
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