婚約者の王子に追放されたら魔族の少年の餌になりました

睡眠不足

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欠かせないもの

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「朝……?」
「おはよう、よく寝てたね」

 薄く目を開けたヴィクトワールに覆い被さって挨拶をする美少年。だが、今の彼女にはその顔が悪魔に見える。

「いやっ! 来ないで、悪魔!!」
「あれ? 僕、種族名を君に教えたっけ?」

 憤慨するかと思いきや、少し驚いたような顔をするだけの相手に呆然とする。

「そんな……まさか本当に?」
「何だ、確証もなしに適当に言っただけか」

 がっかりしたような顔をする相手に戸惑いを隠せない。その反応では、まるで言い当ててほしかったようではないか。

「悪魔、淫魔。君たち人間が僕たちを呼ぶ時は、大体そう言うね」

 この少年は魔族で、生気を餌に生きているようだ。
 普段の彼は人間と直接関わらずに、その生活を覗いて、おこぼれのように生気をもらうらしい。
 昨夜のような状況では、ヴィクトワールが輪姦されるところを見るだけで手出しはせず、その場に満ちた生気を掠めとるだけ。それが彼の普段の行動だとのこと。
 だがヴィクトワールの生気に少し興味が湧いて声をかけると、助けを求められたから取り引きを持ちかけたと言われた。

「僕もこんなに美味しいご馳走を手に入れられたし、お互いに満足だよね」
「こんなコトをするなんて、知らなかった」

 だが、生気をいただくという場合、生命を丸ごと奪うか、血液を飲むか、または性的興奮を吸い取るかのどれかであることが殆どだ。
 特に彼のような美しい少年の姿をしている場合、血か性を求められるのは常識とも言える。知らない方がおかしいと言われたら、どうしようもない。
 幼い頃より厳しい教育を受けた弊害で、世間では当たり前となっている事柄を知らないと気付いたことは、今までに何度もある。それでも今までなら何の問題もなかった。
 今になって少しばかり後悔している。もっと世俗的な知識を得るべきだった、親や教育係の目を盗んででも。

「とにかく君は生身の人間だ。まずは腹ごしらえをしよう」

 彼が言うと同時にワゴンがひとりでにドアから入ってくる。彼がクロッシュをとった瞬間に立ち上る香りに、胃が勝手に空腹を主張し騒ぎ始めた。

「恥ずかしがることないよ。食は生きるために欠かせない、いわば全ての基本だから」

 真っ赤になってお腹を押さえるヴィクトワールを見て、優しく微笑む彼。こうしているとマトモなのに、何故にああなってしまうのか。

 だがもうヴィクトワールの空腹は限界だった。
 少年に抱き上げられ椅子に座らされ、流れるようにカトラリーを握らされては、抵抗する気力も失せる。

「おいしい?」

 警戒していた料理は意外な程に美味しかった。彼の手料理だと言われ、それでも背に腹は代えられないからと、恐る恐る口に運んだのに。

「ああ、良かった。料理なんて久しぶりだから、少し心配だったんだ」

 嬉しそうに天使のような微笑みを浮かべる少年に笑いかけそうになり、慌ててとどまる。騙されてはいけない、この淫魔に。


「身体は浄化しておいたけど、もし入浴したいなら言って。ちゃんと用意するからね」

 言われてみれば、確かにさっぱりしている。
 昨日の一連の流れで、下着までが清潔なのは少しおかしい。
 だって、あんなに……と思い出して顔が熱くなったヴィクトワールは、不意に顎を掬われ唇を奪われる。そのまま舌の侵入を拒む間もなく、咥内を好き勝手に蹂躙された。

「ふっ、ん、あっ」
「ふふっ、気持ち良いんだ? キスだけで、そんな物欲しそうな顔しちゃって」

 思わずカッとなるが、彼の言うことを否定できない。
 どれだけの間吸われたのか、力の入らない舌ではマトモにものも言えないのがまず一つめの理由。次に、もう身体が熱を上げ始めているから。

「次は僕の食事だよ。生きるためには欠かせないものだからね」

 有無を言わせず運ぶ少年に抵抗する力も出ず、ベッドに転がされた。




「いや、やめ……」
「まだそんなコト言ってるの? 強情だなあ」

 まだも何も、徹頭徹尾、断固としてお断りだ。なのに彼が触れると、抵抗する力が出ない。
 特に今触れられている下腹部の敏感な部分が恐ろしい程の悦楽を与え、考えることすら出来なくなり、ただ声を上げるだけになってしまう。

「ここ、気持ちいいでしょ? 処女でも感じる場所だよ。もう下着の上からでも分かる程に膨らんでる」

 夜に触れられた時も、そこは特に刺激が強かった。そこを指で擦ると同時に胸の先端を口で弄ばれ、何度も達してしまった程に。

 思い出していると、少年も思い出したのか又もや胸の先を口に含む。
 そうされると、たったの一晩で覚え込まされた快楽に腰が跳ね、甘えるような声が出てしまう。

「ふうっん、あ、ああっ、いや」
「いや、じゃなくて良い、でしょ?」

 胸の先に唇が触れる場所でそのまま話され、何度も先端を唇が掠める。
 その度に腰が跳ね上がるヴィクトワールを眺める少年は、この上なく満足そうだ。

「まだまだ序盤なのに、こんなに感じていたら大変だよね」
「まだ、序盤……?」
「うん。もっとずっと気持ち良くさせてあげるね」

 確実に聞こえている筈の、もう要らないというヴィクトワールの抗議は綺麗に黙殺してまた愛撫を始める少年。
 その指先が敏感な蕾を捉えたまま、小刻みに振動を始めた。

「いやあっ! それ、だめぇっ」

 今までで一番大きく腰が跳ね上がり、手足が激しく暴れ出す。指先までが暴れ回る快感に満たされて苦しい。シーツを蹴る足先までが悦楽に支配されている。
 もう息をすることさえ難しい。

「あ、しまった、またやり過ぎちゃった。
 君があまりにも美味しいから、つい」

 完全に意識を飛ばしたヴィクトワールを見て肩を竦める少年は、震えの治まらない彼女を抱き唇を啄む。震える肩を撫でながら舌を侵入させると更に震えが大きくなり、微かな喘ぎを漏らす。
 それを聞いていると、今までに感じたことのない感覚を覚える。まるで頭の芯が痺れるような、不思議な感覚。慣れないけれど嫌ではない。
 それを感じながら彼女の咥内を味わうと、更に気分が良くなる。

「君のここも最初から美味しかったけど、達する度に味わい深くなってる」

 もう何があろうと手放せない。これ程の美味な獲物を味わったことがない。当初の予定よりもたっぷり時間をかけて、じっくり堕とそう。

「君にもっと悦んでもらえるように、僕、張り切ってご奉仕するからね。楽しみにしていて」
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