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自ら求めた
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名前を呼ばれただけで身体が宙に浮き上がり、光りだす。
そんな意味不明な状況が怖くて仕方なかったのに、しっかりと握られた手に安堵を覚えた。その手に触れられるのが当たり前になってしまったのだと、こんな場面でも思い知らされる。
ずっと一緒だと嬉しそうに微笑む彼の顔を見て、自分の選択が間違いではなかったと安心した。
どれだけ長い時間だったのか、ほんの刹那なのかも分からない。
光が収まり、浮き上がった身体が落ちかけた。だが即座に彼が受け止める。
「これで君は僕と一緒に生きるんだ」
「ずっと一緒に」
「そう、ずーっと」
間違いなく取り返しのつかないことをしてしまったのだろう。それでも後悔はない。このまま彼とひたすら身体を繋げるだけの毎日でも、あの生活に戻るよりマシだ。
あの頃の自分は、勉学に勤しみ、誰からも認められる完璧な令嬢として生きていた。でも何のためにそうしていたのか。
貴族の娘として生まれ、家のために王家との縁をつなぐ。そのために自分の心を押し殺し、厳しい教育に耐えていたのに。
婚約者から手酷い裏切りを受けた。何故あの男があんな暴挙に出たのか分からない。でもあの時に自分の努力は何だったのかと虚しくなり、婚約者として築いていた筈の信頼も親愛も消え去ったのは確かだ。
おまけに騎士に襲われそうになり、それまでの常識も矜持も吹き飛び今に至る。
「もう何の心配も要らないよ、僕達を引き裂くことは誰にも出来ないから。この紋章が君に刻まれている限りは、ね」
「紋章?」
彼が触れる下腹の辺りに不思議な感覚がある。
ごく弱いけれど、脈打つような感じ。それに彼が触れると、言いようのない安らぎが胸を満たす。
もう二度と、あんな生きているという実感のない毎日に戻る必要はない。ずっと彼と共に生きていける。
それは今までの自分の常識に照らし合わせると、完全に堕落した生き方。
なのに嬉しい。今この瞬間に命を落とそうと、きっと後悔しない。
「そんなに物欲しそうな顔しないでよ」
「そんな顔……してる。貴方がほしい、今すぐに」
朝からずっと抱かれて、際限のない快楽がつらくて泣き叫んでいた筈なのに。何故か今すぐに組み敷かれたくて仕方ない。
奥深くまで貫いて、何もかも分からないくらいに揺さぶり続けてほしい。何度も注いで、苦しいと言ってもやめないで。
「コレ、やっぱり君がその気になるまで待って良かったよ」
「あっ」
「抱きしめただけでそんな声出すとか、本当にいやらしいなぁヴィヴィは」
だって気持ち良い。ただ抱き込まれただけなのに、もっと強い刺激を受けたかのような快感が背筋を貫く。
「君からも見えやすいようにしてあげるね」
彼がそう言った瞬間、天井一面が鏡に変わる。
「いやっ、見たくない」
天井に映し出されるのは全裸で横たわり抱き合う男女。しかも女は男に脚を絡めている。その様が物欲しげで堪らなくいやらしい。
彼が自分をいやらしいと言う度に内心で否定していた。でもこれを見たら認めざるを得ない。こんなに全身で媚びるような真似をしていたとは。
でも目を逸らすヴィクトワールを愉しげに見る彼は、容赦なく仰向かせる。
「天井だと少し遠いか、じゃあこっち」
そして宙に大きな姿見を出現させ、彼女の身体をそこに映す。
「コレが、僕の紋章」
「綺麗」
自分の裸体から目を背けようとした彼女だが、腹部に浮かび上がる花を凝視する。
「カトレアの花」
「そうだよ、僕が手を触れて力を流すと見えるんだ。綺麗でしょ?」
大切そうに撫でながら言う彼こそが綺麗だと思った。
「君は僕のものだという印。確か人間は淫紋と呼んでいたね。でも、これは強化版だよ」
「淫紋」
本当に取り返しのつかないことになっている。それでも構わないと思える自分は、もうマトモではないのだろう。
そこで疑問を覚えた彼女は質問する。
「これは相手の意思に関係なく刻めるものではないの?」
彼が名を呼んだだけで刻めるのなら、もっと早く出来たのではないか。
「そうだね。名さえ知っていれば結べるよ」
ヴィクトワールがここに連れ込まれた当日の夜には結べたらしい。
そうしていたら、彼女は最初から彼を求めていたとも言われて戸惑う。そんな楽な方法があるのに、どうしてあんなに時間をかけたのか。
「勝手にコレを刻まなかったのは、君に言い訳させないため」
疑問を察したのか、説明してくれる。
「この紋があるから僕を求めたのではなく、君自身が求めたんだと自覚させたいからね。
でないと」
「ふああっ」
凄まじい快楽が身体を駆け抜ける。
「さっきとは違う力を流した。これでは君の意思なんて関係なくなるだろう?」
「あっ、んっ、もう挿れてっ!!」
今はそんなこと、どうでも良い。早く貫いて、めちゃくちゃにかき回してほしい。
「はいはい、ホント可愛いね」
すぐに腰を持ち上げ貫かれる。背中が浮いているせいか安定感がなく快感が逃がしにくい。それに深く入り込まれているせいか、いつもより苦しい。
「うあっ、もっ、だめぇ」
「もうイってる。そんなに良いの? って、聞いてないか」
理性が留守になっている彼女の瞳を覗き込み、腰を掴む手に力を込める。物理と魔力、両方で。
「ぁ……?」
「何も分からない状態の君を抱くのは、あまり楽しくないからね」
しっかり認識してほしい。今、君を抱いてこの快楽を突き付けているのは、他ならぬ自分なのだと。
だから理性を取り戻させた。
以前は美味しくいただけるなら、彼女の理性など気にも留めなかった。だけど今は自分だけを求め縋り付いて快楽に喘ぐ姿を見ないと楽しくない。
「本当に、君は何もかもが魅力的だ」
「なに?」
腰を掴む自分の手に彼女が自ら手を重ねる様が、求められているという充足感を与える。それに欲を煽られ、攻めが激しくなると分からないのだろうか。
今の彼女には全てが快楽となる。どんなに激しくしても、苦痛を与える心配はない。
悦びに咽ぶ彼女から溢れ出るエネルギーが部屋中に満ちる。勿体ない。たとえ大気にでも、これを味わわせるなんて嫌だ。
甘美なそれを余すところなく取り込み、堪能する。
「何て素晴らしい。君に会えて、良かった、よ!」
「それっ、ふかいぃ!!」
二人の時間は、今始まったばかり。
「長生きして良かった、これからが楽しみだ」
そんな意味不明な状況が怖くて仕方なかったのに、しっかりと握られた手に安堵を覚えた。その手に触れられるのが当たり前になってしまったのだと、こんな場面でも思い知らされる。
ずっと一緒だと嬉しそうに微笑む彼の顔を見て、自分の選択が間違いではなかったと安心した。
どれだけ長い時間だったのか、ほんの刹那なのかも分からない。
光が収まり、浮き上がった身体が落ちかけた。だが即座に彼が受け止める。
「これで君は僕と一緒に生きるんだ」
「ずっと一緒に」
「そう、ずーっと」
間違いなく取り返しのつかないことをしてしまったのだろう。それでも後悔はない。このまま彼とひたすら身体を繋げるだけの毎日でも、あの生活に戻るよりマシだ。
あの頃の自分は、勉学に勤しみ、誰からも認められる完璧な令嬢として生きていた。でも何のためにそうしていたのか。
貴族の娘として生まれ、家のために王家との縁をつなぐ。そのために自分の心を押し殺し、厳しい教育に耐えていたのに。
婚約者から手酷い裏切りを受けた。何故あの男があんな暴挙に出たのか分からない。でもあの時に自分の努力は何だったのかと虚しくなり、婚約者として築いていた筈の信頼も親愛も消え去ったのは確かだ。
おまけに騎士に襲われそうになり、それまでの常識も矜持も吹き飛び今に至る。
「もう何の心配も要らないよ、僕達を引き裂くことは誰にも出来ないから。この紋章が君に刻まれている限りは、ね」
「紋章?」
彼が触れる下腹の辺りに不思議な感覚がある。
ごく弱いけれど、脈打つような感じ。それに彼が触れると、言いようのない安らぎが胸を満たす。
もう二度と、あんな生きているという実感のない毎日に戻る必要はない。ずっと彼と共に生きていける。
それは今までの自分の常識に照らし合わせると、完全に堕落した生き方。
なのに嬉しい。今この瞬間に命を落とそうと、きっと後悔しない。
「そんなに物欲しそうな顔しないでよ」
「そんな顔……してる。貴方がほしい、今すぐに」
朝からずっと抱かれて、際限のない快楽がつらくて泣き叫んでいた筈なのに。何故か今すぐに組み敷かれたくて仕方ない。
奥深くまで貫いて、何もかも分からないくらいに揺さぶり続けてほしい。何度も注いで、苦しいと言ってもやめないで。
「コレ、やっぱり君がその気になるまで待って良かったよ」
「あっ」
「抱きしめただけでそんな声出すとか、本当にいやらしいなぁヴィヴィは」
だって気持ち良い。ただ抱き込まれただけなのに、もっと強い刺激を受けたかのような快感が背筋を貫く。
「君からも見えやすいようにしてあげるね」
彼がそう言った瞬間、天井一面が鏡に変わる。
「いやっ、見たくない」
天井に映し出されるのは全裸で横たわり抱き合う男女。しかも女は男に脚を絡めている。その様が物欲しげで堪らなくいやらしい。
彼が自分をいやらしいと言う度に内心で否定していた。でもこれを見たら認めざるを得ない。こんなに全身で媚びるような真似をしていたとは。
でも目を逸らすヴィクトワールを愉しげに見る彼は、容赦なく仰向かせる。
「天井だと少し遠いか、じゃあこっち」
そして宙に大きな姿見を出現させ、彼女の身体をそこに映す。
「コレが、僕の紋章」
「綺麗」
自分の裸体から目を背けようとした彼女だが、腹部に浮かび上がる花を凝視する。
「カトレアの花」
「そうだよ、僕が手を触れて力を流すと見えるんだ。綺麗でしょ?」
大切そうに撫でながら言う彼こそが綺麗だと思った。
「君は僕のものだという印。確か人間は淫紋と呼んでいたね。でも、これは強化版だよ」
「淫紋」
本当に取り返しのつかないことになっている。それでも構わないと思える自分は、もうマトモではないのだろう。
そこで疑問を覚えた彼女は質問する。
「これは相手の意思に関係なく刻めるものではないの?」
彼が名を呼んだだけで刻めるのなら、もっと早く出来たのではないか。
「そうだね。名さえ知っていれば結べるよ」
ヴィクトワールがここに連れ込まれた当日の夜には結べたらしい。
そうしていたら、彼女は最初から彼を求めていたとも言われて戸惑う。そんな楽な方法があるのに、どうしてあんなに時間をかけたのか。
「勝手にコレを刻まなかったのは、君に言い訳させないため」
疑問を察したのか、説明してくれる。
「この紋があるから僕を求めたのではなく、君自身が求めたんだと自覚させたいからね。
でないと」
「ふああっ」
凄まじい快楽が身体を駆け抜ける。
「さっきとは違う力を流した。これでは君の意思なんて関係なくなるだろう?」
「あっ、んっ、もう挿れてっ!!」
今はそんなこと、どうでも良い。早く貫いて、めちゃくちゃにかき回してほしい。
「はいはい、ホント可愛いね」
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「もうイってる。そんなに良いの? って、聞いてないか」
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「ぁ……?」
「何も分からない状態の君を抱くのは、あまり楽しくないからね」
しっかり認識してほしい。今、君を抱いてこの快楽を突き付けているのは、他ならぬ自分なのだと。
だから理性を取り戻させた。
以前は美味しくいただけるなら、彼女の理性など気にも留めなかった。だけど今は自分だけを求め縋り付いて快楽に喘ぐ姿を見ないと楽しくない。
「本当に、君は何もかもが魅力的だ」
「なに?」
腰を掴む自分の手に彼女が自ら手を重ねる様が、求められているという充足感を与える。それに欲を煽られ、攻めが激しくなると分からないのだろうか。
今の彼女には全てが快楽となる。どんなに激しくしても、苦痛を与える心配はない。
悦びに咽ぶ彼女から溢れ出るエネルギーが部屋中に満ちる。勿体ない。たとえ大気にでも、これを味わわせるなんて嫌だ。
甘美なそれを余すところなく取り込み、堪能する。
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