夜想曲は奈落の底で

詩方夢那

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第二章 Gambling with the Devil

2-7-4  Summer's glory

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「どうする? 港は見えなかったし、ゲーセンで遊んでいく?」
「そうだね」
 屋上から一階下り、二人はゲームセンターへと向かうが、其処はゲームセンターとは名ばかりのテナントで、子供向けのアーケード筐体とクレーンゲームが並ぶばかりだった。だが、テナントの中心にはプレイヤーの多い有名な音楽ゲームの筐体が一台だけ鎮座している。
「音ゲーしよっか」
「いいね」
 二度目の逢瀬が叶ったのは約一年前、用心深いミカは人目のある場所での面会を望み、このゲームコーナーで顔を合わせた。そして、ミカが最初に選んだのはこの音楽ゲームだった。 
 二人は筐体に硬貨を投入する。
「何か遊びたい曲、有る?」
「いや、まずはミカちゃんの好きな曲にしなよ」
「うん、じゃあ……」
 ミカは適当な曲を選び、ゲームが動き始めた。
「……やっぱり予習しないと駄目だね、最低記録だわ」
 二人が同じ条件でプレイ出来る様にと二人してお互いによく知らない楽曲を選んだ結果、ミカは肩を震わせて笑う程に酷い結果を叩き出していた。
「俺、いわば本職なんだけどな」
 首を傾げるレインの結果はミカをさらに下回り、二曲目は一曲目さえも下回っていた。
「練習してないからじゃない? そうだ、次、エアホッケーしよ?」
「うん」

 二人はテナントの隅で細々と稼働する古いエアホッケーの筐体に硬貨を投入する。
「これは負けないよー?」
 レインに比べれば圧倒的に腕の長さは無いが、ミカはレインの隙を突いて三点を入れた。
「強くない?」
「これはね、板面を引きで見るものなのよ」
「へぇ」
「しかし……ワニ叩きゲームが無いのは残念よね。大昔には元々の筐体あったんだけど」
「そうなんだ」
 マレットを戻し、二人はゲームコーナーを離れてエスカレーターへと戻る。
「せっかくだし、百円ショップ行きたいの、いい?」
「いいよ」
 一回分を更に下り、二人が向かったのは百円均一の雑貨店だった。
「それこそ、昔はここにキャラクター雑貨の売り場や本屋が有ったの……今じゃレンタルのブックコーナーすらないけれど」
「ミカちゃんが小さい頃は此処が一番大きなショッピングモールだったわけ?」
「そう。郊外にあるチェーン店みたいなね……でも、今じゃ文房具すらまともに買うのが厳しい。百円じゃないノートを買う場所さえないに等しいわ」
「そっか……そりゃ、スケッチブックの一冊から通販で買いたくなるよね」
「えぇ、売ってないんですもの」
 衰退する一方の町とはそんなものなのか、レインは妙に感慨深く思いながら、洒落た均一雑貨を見回す。
「オアシスだね、此処は」
「確かに……百円クオリティでも、こんなに雑貨が揃ってるのは、天国みたいよね」
 多少の雑貨を清算し、二人は一階に広がる生鮮食品売り場へと向かった。
「暑かったし、飲み物買って帰りましょ? 帰りは私が運転するよ。県道回ればすぐだから」
「大丈夫?」
「運転しなきゃ慣れないし……ね?」
「じゃあ、お願いしまーす」
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