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第二章 Gambling with the Devil
2-8-1 水と油
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夏の暑さも紅葉色に変わった十一月、鷲塚は一人の青年をイエロー・リリー・ブーケのメンバーに紹介した。
「初めまして、Ryu-Showの名前で活動やらせていただいております、滝上龍昇です」
恭しく頭を下げる青年は短めに刈ったツーブロックヘアを金髪にしていた。
メンバー一同は鷲塚から滝上がどの様な活動をしていたのかを聞かされていたが、対面した事でその経歴に反して礼儀正しい人物だととらえた。
「もう知ってるかもだけど、改めまして、俺は天海絢都、ケリーです」
ケリーを皮切りに、メンバーは一応の自己紹介をする。
「それで早速なんだけど……俺達のアルバム、聴いた事は?」
「めっちゃあります! デビューアルバム、ほんとーっに大好きで!」
ケリーの問いに滝上は目を輝かせ、デビューアルバムで何度も聴いた曲について熱く語り、ケリーとハリーは顔を見合わせながら笑ってその話を聞いた。
「それでさ、このバンドに入ったとして、どんな風に演奏したいとか、ある?」
「そうっすね……自分、今まではレゲエに力入れてたんですけど、実は昭和歌謡っていうのか、そうゆうの大好きで。おふくろがカラオケスナックやってるんで、普通の音楽とおんなじくらいよく聴いてたんすよ。で、ケリーさんの曲も、そうゆう雰囲気で、大好きで! だから、こう、演歌っぽいというか、懐メロっぽいというか、そんなのやりたいっすね!」
「そっかー、なんか嬉しいやら、照れくさいやらだね。それじゃさ、ちょっとスタジオいこっか。ちょっと音鳴らしてみよう」
「はいっ!」
ケリーに促され、メンバーと滝上はスタジオへと向かう。
「凄いっすね、事務所の中にスタジオあるとか!」
「練習だけなら十分出来るんだよ。ギターは俺の持ってきたから、弾いていいよ」
「え、マジっすか? ありがとうございますっ!」
滝上は敬愛するミュージシャンからギターを借りられる事に感激していた。
「何か弾いてくれるかな」
「何かっつーと」
「カバーでも即興でも、好きに弾いていいよ」
「そ、それじゃあ、前のバンドで俺が作った曲いきますっ!」
滝上は意気揚々とフレットを押さえてギターを弾き始め、様子を見ていたメンバーはそれぞれにそれとなく目配せをする。
「ど、どうでした? これ、カコイチの自信作なんすけど」
演奏を終え、滝上はメンバーの顔を見回す。
「そうだね、レゲエ的な間合いとツービートの攻撃性を併せ持ってて面白いと思ったよ。ただ、レゲエの間合いは少し独特だし、何かロックっぽい曲で知ってる曲が有ったら弾いてもらえるかな」
感想を求められ、すかさず意見を述べたのはルーシーだった。
「ロックっすか」
「出来たら洋楽で何か覚えているものが有ったら弾いて欲しいな、僕達の共通認識のひとつがそれだから」
「それじゃ、先輩が好きだったニルバーナの曲弾きます!」
滝上は弾き語りの体で一曲弾いて見せるが、その様子を見ていたハリーの表情がにわかに曇っていた。
「どうっす? 自分、音痴なんで歌は大目に見て欲しいっすけど」
「そうだな、歌はともかくとして……ギター、独学で覚えた?」
「そうっすね、先輩に教えて貰ったりはしたんすけど、独学っす」
「教本とかは」
ハリーの問いに滝上は答えられない。
「テキスト的なやつ、何か使ってたのかなって」
「あ、そういうの無いっすね」
「それじゃあ、カバーする時はどうやって?」
「何回も聴いて、それっぽく弾けるまで頑張ってました」
思わずハリーはルーシーと顔を見合わせ、ルーシーが口を開いた。
「タブ譜は読まないで?」
「自分、楽譜とかムリっすから」
「五線譜……学校の音楽の教科書も?」
「読めなくても大丈夫っすよね?」
ルーシーは返す言葉が無く、ケリーを見遣った。
「そっか、楽譜無しで耳コピして、曲も作れるんだから、凄い才能だよ」
「あ、ありがとうございますっ!」
目を輝かせる滝上をよそに、ハリーとルーシーは改めて顔を見合わせた。
「初めまして、Ryu-Showの名前で活動やらせていただいております、滝上龍昇です」
恭しく頭を下げる青年は短めに刈ったツーブロックヘアを金髪にしていた。
メンバー一同は鷲塚から滝上がどの様な活動をしていたのかを聞かされていたが、対面した事でその経歴に反して礼儀正しい人物だととらえた。
「もう知ってるかもだけど、改めまして、俺は天海絢都、ケリーです」
ケリーを皮切りに、メンバーは一応の自己紹介をする。
「それで早速なんだけど……俺達のアルバム、聴いた事は?」
「めっちゃあります! デビューアルバム、ほんとーっに大好きで!」
ケリーの問いに滝上は目を輝かせ、デビューアルバムで何度も聴いた曲について熱く語り、ケリーとハリーは顔を見合わせながら笑ってその話を聞いた。
「それでさ、このバンドに入ったとして、どんな風に演奏したいとか、ある?」
「そうっすね……自分、今まではレゲエに力入れてたんですけど、実は昭和歌謡っていうのか、そうゆうの大好きで。おふくろがカラオケスナックやってるんで、普通の音楽とおんなじくらいよく聴いてたんすよ。で、ケリーさんの曲も、そうゆう雰囲気で、大好きで! だから、こう、演歌っぽいというか、懐メロっぽいというか、そんなのやりたいっすね!」
「そっかー、なんか嬉しいやら、照れくさいやらだね。それじゃさ、ちょっとスタジオいこっか。ちょっと音鳴らしてみよう」
「はいっ!」
ケリーに促され、メンバーと滝上はスタジオへと向かう。
「凄いっすね、事務所の中にスタジオあるとか!」
「練習だけなら十分出来るんだよ。ギターは俺の持ってきたから、弾いていいよ」
「え、マジっすか? ありがとうございますっ!」
滝上は敬愛するミュージシャンからギターを借りられる事に感激していた。
「何か弾いてくれるかな」
「何かっつーと」
「カバーでも即興でも、好きに弾いていいよ」
「そ、それじゃあ、前のバンドで俺が作った曲いきますっ!」
滝上は意気揚々とフレットを押さえてギターを弾き始め、様子を見ていたメンバーはそれぞれにそれとなく目配せをする。
「ど、どうでした? これ、カコイチの自信作なんすけど」
演奏を終え、滝上はメンバーの顔を見回す。
「そうだね、レゲエ的な間合いとツービートの攻撃性を併せ持ってて面白いと思ったよ。ただ、レゲエの間合いは少し独特だし、何かロックっぽい曲で知ってる曲が有ったら弾いてもらえるかな」
感想を求められ、すかさず意見を述べたのはルーシーだった。
「ロックっすか」
「出来たら洋楽で何か覚えているものが有ったら弾いて欲しいな、僕達の共通認識のひとつがそれだから」
「それじゃ、先輩が好きだったニルバーナの曲弾きます!」
滝上は弾き語りの体で一曲弾いて見せるが、その様子を見ていたハリーの表情がにわかに曇っていた。
「どうっす? 自分、音痴なんで歌は大目に見て欲しいっすけど」
「そうだな、歌はともかくとして……ギター、独学で覚えた?」
「そうっすね、先輩に教えて貰ったりはしたんすけど、独学っす」
「教本とかは」
ハリーの問いに滝上は答えられない。
「テキスト的なやつ、何か使ってたのかなって」
「あ、そういうの無いっすね」
「それじゃあ、カバーする時はどうやって?」
「何回も聴いて、それっぽく弾けるまで頑張ってました」
思わずハリーはルーシーと顔を見合わせ、ルーシーが口を開いた。
「タブ譜は読まないで?」
「自分、楽譜とかムリっすから」
「五線譜……学校の音楽の教科書も?」
「読めなくても大丈夫っすよね?」
ルーシーは返す言葉が無く、ケリーを見遣った。
「そっか、楽譜無しで耳コピして、曲も作れるんだから、凄い才能だよ」
「あ、ありがとうございますっ!」
目を輝かせる滝上をよそに、ハリーとルーシーは改めて顔を見合わせた。
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