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第二章 Gambling with the Devil
2-14-6 Pandemonium
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到着した警察官はその場に居る全員の身元を確認し、何が起こったかを順次聞き取った。
とりわけレインはその渦中にあり、父親と男二人はレインに精神疾患があると主張した為に聴取に時間を要した。だが、レインは助手の連絡で叩き起こされた安川に連絡を取り、これが引きこもり支援を謳う悪質業者を使った家族間トラブルに起因する事件であると警察官を納得させる事に成功した。
そうして警察官が引き上げたのは夜明けも近くなった午前三時頃だったが、混乱はまだ終わらない。
踏み荒らされた室内に憤りの収まらないレインは家中の窓を閉め切ったまま掃除機をかけ、ランとリンはそれに付き合い雑巾がけをし、土足に汚された居間のパネルカーペットから砂を払い、日が昇ったら外で下洗いが出来る様にとまとめていく。
話し合いどころではなくなってしまったが、話をせずには帰るに帰れないケリーとハリー、そして鴇田は空っぽの作業部屋に座り込んで混乱の終息を待つ事となった。
そして、バンドメンバーの当事者でありながらレインとその父親の身内であるルーシーは、警察官に散々説教をされて不機嫌を極めたレインの父親を台所へと連れてゆき、消臭スプレーで台無しにされたコーヒーを始末しながらその愚痴を受け止め続ける事となった。
早朝の家屋に広がる静かな騒乱の中、レインを守ろうと奔走した小鳥遊は疲れ果て、居間のソファに沈み込んでいる。
冬の空はまだ明けないが、朝早い住宅に日常の物音が戻った頃、リンは車が修理工場へ引き渡されて空になった駐車場を簡単に掃除し、パネルカーペットに水をかけて下洗いを始めた。
ランはリンが水洗いしたカーペットを洗濯機に入る数だけ引き受けて洗濯液に入れ、注水を短縮すべくバケツに水を張って洗い上がりを待っている。
世間が動き始めた頃、エアコンの暖気が流れる居間の低い机には洗われたカーペットが立てかけられ、ルーシーに呼び出されたレインの母親がレイン宅へと到着した。
「隆君! う、うちのひとは?」
「台所でふてくされています」
出迎えたルーシーにレインの母親は激しく詰め寄る。
「ゆ、ゆうくん、ゆうくんは?」
「無事ですよ。それよりおばさん、ひとつ教えて下さい、おばさんは、知っていたんですか」
「え……」
「おじさんは、グレーゾーンの業者を使って、ユウキ君をありもしない病名で精神科の閉鎖病棟に閉じ込めようとしたんですよ?」
レインの母親は絶句し、上がり框でルーシーを見上げて小さく震えた。
「……知らなかったんですね」
「そ、それは……うちの人が、本当にうちのひとがそんなこと!」
ルーシーは溜息を吐き、レインの母親を台所へと連れて行く。
「あなたーっ!」
甲高い絶叫を上げながら、ダイニングテーブルの椅子で居眠りをしていた父親へと母親は飛び掛かった。
「う……え、どうし」
「なんて、なんてこと! なんてことを! 私から……ゆうくんまで、ゆうくんまで取り上げようなんてーっ!」
首を閉めんばかりの勢いで迫ってくる妻を前に、レインの父親は首に掛けられた手を引き離す事しか出来ない。
「この、ひとでなし! ひとでなしーぃ!」
椅子から引きずり降ろされ平手で何度も叩かれながら、レインの父親は話を聞けと叫ぶが、母親の方は聞く耳を持たない。
「ひとでなしっ、ひとでなしーっ!」
泣き喚きながら一頻り夫を叩きのめしたレインの母親はその場に崩れ落ち、ただ泣き叫んだ。
とりわけレインはその渦中にあり、父親と男二人はレインに精神疾患があると主張した為に聴取に時間を要した。だが、レインは助手の連絡で叩き起こされた安川に連絡を取り、これが引きこもり支援を謳う悪質業者を使った家族間トラブルに起因する事件であると警察官を納得させる事に成功した。
そうして警察官が引き上げたのは夜明けも近くなった午前三時頃だったが、混乱はまだ終わらない。
踏み荒らされた室内に憤りの収まらないレインは家中の窓を閉め切ったまま掃除機をかけ、ランとリンはそれに付き合い雑巾がけをし、土足に汚された居間のパネルカーペットから砂を払い、日が昇ったら外で下洗いが出来る様にとまとめていく。
話し合いどころではなくなってしまったが、話をせずには帰るに帰れないケリーとハリー、そして鴇田は空っぽの作業部屋に座り込んで混乱の終息を待つ事となった。
そして、バンドメンバーの当事者でありながらレインとその父親の身内であるルーシーは、警察官に散々説教をされて不機嫌を極めたレインの父親を台所へと連れてゆき、消臭スプレーで台無しにされたコーヒーを始末しながらその愚痴を受け止め続ける事となった。
早朝の家屋に広がる静かな騒乱の中、レインを守ろうと奔走した小鳥遊は疲れ果て、居間のソファに沈み込んでいる。
冬の空はまだ明けないが、朝早い住宅に日常の物音が戻った頃、リンは車が修理工場へ引き渡されて空になった駐車場を簡単に掃除し、パネルカーペットに水をかけて下洗いを始めた。
ランはリンが水洗いしたカーペットを洗濯機に入る数だけ引き受けて洗濯液に入れ、注水を短縮すべくバケツに水を張って洗い上がりを待っている。
世間が動き始めた頃、エアコンの暖気が流れる居間の低い机には洗われたカーペットが立てかけられ、ルーシーに呼び出されたレインの母親がレイン宅へと到着した。
「隆君! う、うちのひとは?」
「台所でふてくされています」
出迎えたルーシーにレインの母親は激しく詰め寄る。
「ゆ、ゆうくん、ゆうくんは?」
「無事ですよ。それよりおばさん、ひとつ教えて下さい、おばさんは、知っていたんですか」
「え……」
「おじさんは、グレーゾーンの業者を使って、ユウキ君をありもしない病名で精神科の閉鎖病棟に閉じ込めようとしたんですよ?」
レインの母親は絶句し、上がり框でルーシーを見上げて小さく震えた。
「……知らなかったんですね」
「そ、それは……うちの人が、本当にうちのひとがそんなこと!」
ルーシーは溜息を吐き、レインの母親を台所へと連れて行く。
「あなたーっ!」
甲高い絶叫を上げながら、ダイニングテーブルの椅子で居眠りをしていた父親へと母親は飛び掛かった。
「う……え、どうし」
「なんて、なんてこと! なんてことを! 私から……ゆうくんまで、ゆうくんまで取り上げようなんてーっ!」
首を閉めんばかりの勢いで迫ってくる妻を前に、レインの父親は首に掛けられた手を引き離す事しか出来ない。
「この、ひとでなし! ひとでなしーぃ!」
椅子から引きずり降ろされ平手で何度も叩かれながら、レインの父親は話を聞けと叫ぶが、母親の方は聞く耳を持たない。
「ひとでなしっ、ひとでなしーっ!」
泣き喚きながら一頻り夫を叩きのめしたレインの母親はその場に崩れ落ち、ただ泣き叫んだ。
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