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第二章 Gambling with the Devil
2-14-8 Pandemonium
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「その、ルーシー……タカシさんは、後から入ったメンバーで、辞めてしまったギタリストよりも、付き合いは短い人です。でも、バンドが窮地に立たされた時、助けてくれた恩人で、そうやって、別のメンバーが入ってもなお、バンドを続けていけた、大切な仲間なんです。それに……俺達は……レインと、お宅の息子さんと、一枚だってアルバムが作れなかった、それがずっと心残りで」
「それはそのバカが勝手にバンドを辞めたからだろうが」
必死に言葉を紡ぐケリーを小ばかにしたように眺めていたレインの父親は、ケリーの切実な想いを無情に斬り捨てた。
「びょ、病気で……病気で辞めざるを得なかったのを、そんな風に言わないで下さい!」
ケリーは叫ぶ様に言ってレインの父親を睨んだ。
「確かに、確かにそんな無茶を強いたのは、俺達ではありました……だけど、だけど、そんな風にいう事は、絶対に許さない!」
張り上げられた声に鼓膜が痺れ、レインの父親は黙り込む。
「お宅の息子さんを、傷つけてしまった事は、謝っても許されないと分かっています。ですけど……彼が、彼が許してくれるなら……俺は、俺達は……今度こそ、夢を叶えたいんです……」
「……ゆうくん。ゆうくんは、どう思ってるの?」
レインの母親は父親なら絶対にしないであろう質問をレインに投げかける。
だが、問われるまでもなくレインの答えはひとつしかない。
レインはケリー、ハリー、そして鴇田を見て口を開いた。
「戻ります」
ケリーは目を瞠った。
「おい! 貴様!」
「俺は戻ります! とーさんが何を言おうが、俺は戻ります! ていうかとーさん!」
レインは父親を見た。
「とーさんは俺がバンドを辞めたのが半端だなんだって散々言ってたよね! だったら、此処でそれを清算したっていいだろ? それとも何? とーさんが望む人生を歩んでなかったら何もかもに文句言って、文書偽造も人権侵害も厭わずに俺の事そんなに社会的に殺したいわけ? 自分が何やってるか分かってる?」
父親は反論しようとするが、レインはそれを許さない。
「だけど! 俺は俺だし、俺は奪わせないよ! 絶対に!」
「……お父様」
少しの間を置いて、鴇田が父親の側へと歩み出る。
「今のユウキさんは、初めて我々のバンドに入って貰った時とは、違うんです。彼の人生を尊重するべきだとは思いませんか」
「知った口を利くんじゃない!」
「えぇ、私は知りませんよ。お二人の関係が、どういうものであるか、お父様の考えがどうであるか。ですが……不当な方法で一人の人生を棄損する事を、黙って見ていられるほど、私も寛容ではありませんで」
ケリーとは対照的に堂々と、そして整然と反論する鴇田に適当な反論が見つからずレインの父親は黙り込む。
「ただ、成功しない事を続けているのを見ているのは歯痒い、それはそうでしょう。私だって同じです、自分に任されたアーティストが大成しないのは、自分の敗北にも等しいのですから……ですが、割り切らなければならない事だって有るんです。仮令大成しなくとも、それなりに生活が成り立っていれば、それでいい、と……無論、今のご子息の生活が安定しているとは言い難いのは事実でしょう。ならば……我々が、そして私が、最低でもそれなりに育てますよ。お父様に代わって」
「貴様」
「そうでしょう? お父様は親ではありますが……音楽ビジネスにおいては、単なる傍観者に過ぎないのですからね」
父親は返す言葉が無く、再び歯噛みする。
「彼が復帰を決めた以上、これから先は我々が彼に責任を負う事になります……くれぐれも、妙な真似はされませんように」
鴇田の慇懃な言葉の中に果てしない怒りを覚え、父親はそれ以上反論する事を諦める。
「……では、詳しい事は後日、こちらの事務所で話し合いとしましょう。まずはこの状況を社長に報告し、そちらの担当者の方とも話をせねばなりませんからね」
「それはそのバカが勝手にバンドを辞めたからだろうが」
必死に言葉を紡ぐケリーを小ばかにしたように眺めていたレインの父親は、ケリーの切実な想いを無情に斬り捨てた。
「びょ、病気で……病気で辞めざるを得なかったのを、そんな風に言わないで下さい!」
ケリーは叫ぶ様に言ってレインの父親を睨んだ。
「確かに、確かにそんな無茶を強いたのは、俺達ではありました……だけど、だけど、そんな風にいう事は、絶対に許さない!」
張り上げられた声に鼓膜が痺れ、レインの父親は黙り込む。
「お宅の息子さんを、傷つけてしまった事は、謝っても許されないと分かっています。ですけど……彼が、彼が許してくれるなら……俺は、俺達は……今度こそ、夢を叶えたいんです……」
「……ゆうくん。ゆうくんは、どう思ってるの?」
レインの母親は父親なら絶対にしないであろう質問をレインに投げかける。
だが、問われるまでもなくレインの答えはひとつしかない。
レインはケリー、ハリー、そして鴇田を見て口を開いた。
「戻ります」
ケリーは目を瞠った。
「おい! 貴様!」
「俺は戻ります! とーさんが何を言おうが、俺は戻ります! ていうかとーさん!」
レインは父親を見た。
「とーさんは俺がバンドを辞めたのが半端だなんだって散々言ってたよね! だったら、此処でそれを清算したっていいだろ? それとも何? とーさんが望む人生を歩んでなかったら何もかもに文句言って、文書偽造も人権侵害も厭わずに俺の事そんなに社会的に殺したいわけ? 自分が何やってるか分かってる?」
父親は反論しようとするが、レインはそれを許さない。
「だけど! 俺は俺だし、俺は奪わせないよ! 絶対に!」
「……お父様」
少しの間を置いて、鴇田が父親の側へと歩み出る。
「今のユウキさんは、初めて我々のバンドに入って貰った時とは、違うんです。彼の人生を尊重するべきだとは思いませんか」
「知った口を利くんじゃない!」
「えぇ、私は知りませんよ。お二人の関係が、どういうものであるか、お父様の考えがどうであるか。ですが……不当な方法で一人の人生を棄損する事を、黙って見ていられるほど、私も寛容ではありませんで」
ケリーとは対照的に堂々と、そして整然と反論する鴇田に適当な反論が見つからずレインの父親は黙り込む。
「ただ、成功しない事を続けているのを見ているのは歯痒い、それはそうでしょう。私だって同じです、自分に任されたアーティストが大成しないのは、自分の敗北にも等しいのですから……ですが、割り切らなければならない事だって有るんです。仮令大成しなくとも、それなりに生活が成り立っていれば、それでいい、と……無論、今のご子息の生活が安定しているとは言い難いのは事実でしょう。ならば……我々が、そして私が、最低でもそれなりに育てますよ。お父様に代わって」
「貴様」
「そうでしょう? お父様は親ではありますが……音楽ビジネスにおいては、単なる傍観者に過ぎないのですからね」
父親は返す言葉が無く、再び歯噛みする。
「彼が復帰を決めた以上、これから先は我々が彼に責任を負う事になります……くれぐれも、妙な真似はされませんように」
鴇田の慇懃な言葉の中に果てしない怒りを覚え、父親はそれ以上反論する事を諦める。
「……では、詳しい事は後日、こちらの事務所で話し合いとしましょう。まずはこの状況を社長に報告し、そちらの担当者の方とも話をせねばなりませんからね」
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