ディソナンス・コード:残響

魔王の下僕

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第29章「夜明け前の対話」 (共通視点)

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はだかさねたあと二人ふたりはベッドのなかで、しずかに言葉ことばわしていた。
まどそとは、まだふか藍色あいいろつつまれている。

「なあ、佐原さわら
「なんだ」
おれたち、このさきどうなるんだろうな」
「さあな。わかるわけないだろ」
佐原さわらはそうって、七原ななはらかみやさしくでた。
「でも、ひとつだけわかることがある」
「……なに?」
「もう、一人ひとりでいようとはおもわない。きみがどこでなにをしようと、おれかえ場所ばしょは、きみとなりだけだ」

七原ななはらは、佐原さわらむねかおをうずめたまま、ちいさくわらった。
おれもだよ。……どんだけボロボロになっても、最後さいごもどってくるのは、あんたのところだ」
迷惑めいわくはなしだな」
「おたがさまだろ」

それは、未来みらい約束やくそくする言葉ことばではなかった。
ただ、いまこの瞬間しゅんかんたがいがたがいを必要ひつようとしているという、絶対的ぜったいてき事実じじつ確認かくにん
それだけで、十分じゅうぶんだった。

「……こわくないのか?」
佐原さわらたずねる。
こわいよ。またあんたをきずつけるのも、あんたにこわされるのも。……でも、それ以上いじょうにあんたがいないほうが、もっとこわい」

その言葉ことばは、二人ふたり関係かんけい本質ほんしついていた。
「おまえがいないとダメなんだ」と「おまえさえいなければ」。
そのふたつの感情かんじょうは、矛盾むじゅんしたまま、これからも二人ふたりさいなつづけるだろう。
だが、もうその矛盾むじゅんかららすことはしない。

おれたちは、たぶん、ずっとこのままだ」
「うん」
「それで、いいのか?」
「……それが、いい」

七原ななはらかおげ、佐原さわらくちびるに、そっと自分じぶんくちびるかさねた。
夜明よあまえの、一番いちばんしずかな時間じかんの、ちかいのキスだった。
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