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episode8
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学院長であるシャーリーさんと別れてからフラーニャと共にもう一度帝都を散策した後、帝都にある公爵家の屋敷についた。
俺が小さい頃帝都に来た時、この屋敷を使ったことがある。
貴族は帝都に屋敷を持つことが普通だ。帝国にはさまざまな行事があり、泊まりがけで帝都に滞在することがある。そんな時のためにも帝都に屋敷を建てる。
それに帝都に屋敷を建てるのは貴族としてのステータスみたいなもので財力の象徴でもある。公爵家ならなおさらなのだ。
そんな例に漏れることなく我が公爵家の屋敷の敷地は帝都一広い。さすがに皇帝陛下が政務を執り行う皇城よりは敷地は小さいが。
まあ、そんな広い所を一人で管理できるはずもなく、執事やメイドを雇い、常日頃掃除をしたり、庭の手入れをしたりしている。そのおかげで、葉っぱや埃などが全く落ちておらず、管理が行き届いていることが分かった。
「お帰りなさいませ、レイン様。この屋敷の管理責任者である、グレイ=セバスチャンでございます。当主様からは一週間後から学校に通い始めると話は聞いております。早速ですが、お食事に致しましょうか?」
そう言ってきたのは、長身で髪は白髪混じりのロマンスグレーの執事だった。
「ああ、そうさせてもらう。でもその前に、帝都を散策して少し疲れた。楽な服装に着替えたいのだがいいだろうか?」
フラーニャも少し疲れている様子なので聞いてみた。
「もちろんでございます。部屋へお連れします」
そう言ってグレイは歩き始めたので俺達はそれに従いついていった。
数十分後。
俺達は部屋に用意されていた服に着替えが終わり、食事を取るためにグレイにリビングに連れて行ってもらった。
ちなみに言っておくが、俺とフラーニャの部屋は別々だ。
リビングに用意されていたのは、白身魚を筆頭に色とりどりの野菜やスープなど、視覚で楽しむことができる料理が並べられていた。口当たりもよく、おそらく俺たちが疲れているのを見越して、あっさりした食事を用意したのだろう。
俺はお腹いっぱいになるまで食べて、少し窓の外に目を向けると、オレンジ色の夕焼けが見えた。
「もう夕方か。楽しいとあっという間に時間が過ぎるな」
「はい! レイン様! この白身魚、とても美味しいですね!」
ん? フラーニャさん。食べることに夢中になりすぎて全然話噛み合ってないんですけど?!
「……はは、そうだね。美味しいよ白身魚」
本人は美味しそうに食べているし、ほっといてあげよう。
「ところでレイン様~。学院に通い始めるまでの一週間何して過ごすんですか?」
料理を食べながら話すフラーニャを見て笑いそうになってしまったが顔には出さず堪えた。
「そうだな。一週間もあるし、明日から模擬戦してみるか?」
「もちろんです!」
「そ、そうか」
あまりの気迫になぜか俺は背筋をピンと伸ばしてしまった。
俺とフラーニャの戦闘タイプは全然違う。故に互いの持ち味を活かすことができるのだ。
「なら、そうと決まれば早めに休んだ方がいい。グレイ、風呂に案内してもらいたい
「かしこまりました。こちらでございます」
俺は食べる手をまだ止めないフラーニャをおいて、風呂に向かった。
風呂に入った後、俺は来た時にグレイに案内してもらった部屋に戻り、ベッドに仰向けにダイブした。
「学院かー。楽しみだな。公爵家の顔に泥を塗らないよう、それ相応の振る舞いをしなくちゃダメだし。そのために明日からはフラーニャと模擬戦をしまくるし。まあ、そのためには早く休まないとな」
胸の奥から込み上げてくる、明日を待ちきれない思いを抑えて俺は意識を手放した。
俺が小さい頃帝都に来た時、この屋敷を使ったことがある。
貴族は帝都に屋敷を持つことが普通だ。帝国にはさまざまな行事があり、泊まりがけで帝都に滞在することがある。そんな時のためにも帝都に屋敷を建てる。
それに帝都に屋敷を建てるのは貴族としてのステータスみたいなもので財力の象徴でもある。公爵家ならなおさらなのだ。
そんな例に漏れることなく我が公爵家の屋敷の敷地は帝都一広い。さすがに皇帝陛下が政務を執り行う皇城よりは敷地は小さいが。
まあ、そんな広い所を一人で管理できるはずもなく、執事やメイドを雇い、常日頃掃除をしたり、庭の手入れをしたりしている。そのおかげで、葉っぱや埃などが全く落ちておらず、管理が行き届いていることが分かった。
「お帰りなさいませ、レイン様。この屋敷の管理責任者である、グレイ=セバスチャンでございます。当主様からは一週間後から学校に通い始めると話は聞いております。早速ですが、お食事に致しましょうか?」
そう言ってきたのは、長身で髪は白髪混じりのロマンスグレーの執事だった。
「ああ、そうさせてもらう。でもその前に、帝都を散策して少し疲れた。楽な服装に着替えたいのだがいいだろうか?」
フラーニャも少し疲れている様子なので聞いてみた。
「もちろんでございます。部屋へお連れします」
そう言ってグレイは歩き始めたので俺達はそれに従いついていった。
数十分後。
俺達は部屋に用意されていた服に着替えが終わり、食事を取るためにグレイにリビングに連れて行ってもらった。
ちなみに言っておくが、俺とフラーニャの部屋は別々だ。
リビングに用意されていたのは、白身魚を筆頭に色とりどりの野菜やスープなど、視覚で楽しむことができる料理が並べられていた。口当たりもよく、おそらく俺たちが疲れているのを見越して、あっさりした食事を用意したのだろう。
俺はお腹いっぱいになるまで食べて、少し窓の外に目を向けると、オレンジ色の夕焼けが見えた。
「もう夕方か。楽しいとあっという間に時間が過ぎるな」
「はい! レイン様! この白身魚、とても美味しいですね!」
ん? フラーニャさん。食べることに夢中になりすぎて全然話噛み合ってないんですけど?!
「……はは、そうだね。美味しいよ白身魚」
本人は美味しそうに食べているし、ほっといてあげよう。
「ところでレイン様~。学院に通い始めるまでの一週間何して過ごすんですか?」
料理を食べながら話すフラーニャを見て笑いそうになってしまったが顔には出さず堪えた。
「そうだな。一週間もあるし、明日から模擬戦してみるか?」
「もちろんです!」
「そ、そうか」
あまりの気迫になぜか俺は背筋をピンと伸ばしてしまった。
俺とフラーニャの戦闘タイプは全然違う。故に互いの持ち味を活かすことができるのだ。
「なら、そうと決まれば早めに休んだ方がいい。グレイ、風呂に案内してもらいたい
「かしこまりました。こちらでございます」
俺は食べる手をまだ止めないフラーニャをおいて、風呂に向かった。
風呂に入った後、俺は来た時にグレイに案内してもらった部屋に戻り、ベッドに仰向けにダイブした。
「学院かー。楽しみだな。公爵家の顔に泥を塗らないよう、それ相応の振る舞いをしなくちゃダメだし。そのために明日からはフラーニャと模擬戦をしまくるし。まあ、そのためには早く休まないとな」
胸の奥から込み上げてくる、明日を待ちきれない思いを抑えて俺は意識を手放した。
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