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第50話 陛下と特訓
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俺は屋敷に帰らずそのまま王城を目指した。
王城へ着くとセバスチャンさんに連れられて来客専用の待合室前まできた。
「どうぞ中へお入り下さい」
謁見の間に通さないということは私的に会いたいということかな。なら俺も貴族の一員としてではなく、1人の少年として振る舞うとしよう。
俺はセバスチャンさんに従い、ノックをして入る。
「失礼します。アルバートです」
「おお、これはこれはアルバート殿。ようこそお越しくださいました」
俺の挨拶にそう返してきたのは予想外の人物だった。
「お久しぶりですルクセンド殿。手紙はしっかり見ましたよ」
「本日はお越し頂きありがとうございます。それでは早速本題に移りたいのですが宜しいでしょうか?」
「ええ、構いません」
今回俺は教える立場、簡単に言えば家庭教師みたいな感じだ。それはルクセンドさんの俺への振る舞いを見れば一目瞭然だろう。しかしなんだか目上の人にそんな態度を取られてしまうと少しむず痒い。
「これではお言葉に甘えて。これから魔法の訓練をするにあたり、王城内の室内訓練場に移りたいと思います。
外の訓練場でも良いのですが、少し肌寒いので風邪を引いてしまう恐れがありますのでそれで大丈夫でしょうか?」
「ええ、大丈夫です」
「陛下は修練場でお待ちです。それではセバスチャン。よろしく頼む」
「かしこまりました」
そう言ったあと、セバスチャンさんを中心に魔法陣が光りながら広がり、俺や宰相のルクセンドさんの足元まで広がった。その後、無詠唱で魔法を発動した。
『テレポート』
俺の視界はすぐさま変わり、室内訓練場と扉の上に書いてある場所に来た。
「アルバート様、先程の魔法は古代魔法である転移魔法です。王国が誕生した時は転移魔法が活発に使われていたそうですが今は私が知る限り私しか使えないため無属性魔法の括りに入れられています」
俺が驚いているのを見たのか、そうセバスチャンさんは声をかけてきた。
てか俺そんなこと知らなかったんだけど!?
今思ったんだが、別に俺が先生にならなくてもセバスチャンさんに教えて貰えば良くないか?
まあ、そんなことを口にすることもできず俺は話を進めることにした。
「なら使用者は実質セバスチャンさんただ一人ということですか。すごい魔法ですね」
しかし、なぜセバスチャンさんだけ使えるのだろう。全くもって分からない。
万能執事。この言葉を用いて俺は自分の疑問を無理やり解決することにした。今悩んでも仕方のないことだろう。
しかしまさかこの世界に転移魔法が存在するとは期待通りだな。さすが異世界だ。
「お褒めいただき光栄です。それでは中へお入り下さい。陛下がお待ちです」
俺はセバスチャンさんの言葉に従い、ルクセンドさんと一緒に室内訓練場の中へ入っていった。
「よく来てくれました。アルバート殿」
謁見の間で見る高貴で豪華な服装ではなく、訓練にふさわしい機能性を重視したラフな服装だった。
まさかの陛下もこんな態度だった。流石にやりづらすぎる。
「普段通りでお願いします陛下」
陛下は少し考えた素振りを見せたあと話し始めた。
「分かった。これで良いか?」
「ええ、それで構いません。それでは早速魔法の訓練を始めたいと思うのですが、何か希望などはありますか?」
「我は魔法は苦手でな。魔力を身にまとい身体を強化させる身体強化を使っての剣術を得意としている。それゆえにあまり魔法が使えなくてな。使えるのは精々中級魔法までじゃ。昔、学園入学した時は剣術が試験官の目について入学を果たせたがな」
いや、普通にすごいと思うが。鍛えてる体だと服の上から見てもわかるし。
「ということは上級魔法を使えるようになりたいということですか?」
「ああ、この年でできるようになれば良いのだが……。そんな簡単にいくとは思えんがな」
これは俺の師匠の受け売りだが、魔法を向上させるにはやはり体内の魔力操作だという。より上の段階の魔法になってくると魔力の質がモノを言う。
「まあ取り敢えず訓練をしましょう」
「とはいうがどうやって?」
「今日から取り敢えず1週間、心を落ち着かせてお腹のあたりに集中してください。もちろん私との訓練の時だけですが。魔力が感じられるはずなのでそれを動かしてください」
「い、1週間!? そんなので大丈夫なのか?」
「短期間ですが、やらないよりはマシです。魔法は魔力の質に比例します。10歳から15歳の間に魔力を操作できるようになると一般には言われていても、その実本領を発揮していません。やはり日々の訓練がモノを言います」
「それはお主が感じた感想か?」
「私の経験からくる感想でもありますが、私の師匠の感想でもあります」
「なるほど。それではやるとするか」
そうして陛下は訓練場にゆっくりと座り込み、やがて自分自身に目を向け始めた。
俺も訓練するとするか。
そうして俺と陛下の夜の特訓? が始まったのだった。
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王城へ着くとセバスチャンさんに連れられて来客専用の待合室前まできた。
「どうぞ中へお入り下さい」
謁見の間に通さないということは私的に会いたいということかな。なら俺も貴族の一員としてではなく、1人の少年として振る舞うとしよう。
俺はセバスチャンさんに従い、ノックをして入る。
「失礼します。アルバートです」
「おお、これはこれはアルバート殿。ようこそお越しくださいました」
俺の挨拶にそう返してきたのは予想外の人物だった。
「お久しぶりですルクセンド殿。手紙はしっかり見ましたよ」
「本日はお越し頂きありがとうございます。それでは早速本題に移りたいのですが宜しいでしょうか?」
「ええ、構いません」
今回俺は教える立場、簡単に言えば家庭教師みたいな感じだ。それはルクセンドさんの俺への振る舞いを見れば一目瞭然だろう。しかしなんだか目上の人にそんな態度を取られてしまうと少しむず痒い。
「これではお言葉に甘えて。これから魔法の訓練をするにあたり、王城内の室内訓練場に移りたいと思います。
外の訓練場でも良いのですが、少し肌寒いので風邪を引いてしまう恐れがありますのでそれで大丈夫でしょうか?」
「ええ、大丈夫です」
「陛下は修練場でお待ちです。それではセバスチャン。よろしく頼む」
「かしこまりました」
そう言ったあと、セバスチャンさんを中心に魔法陣が光りながら広がり、俺や宰相のルクセンドさんの足元まで広がった。その後、無詠唱で魔法を発動した。
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俺の視界はすぐさま変わり、室内訓練場と扉の上に書いてある場所に来た。
「アルバート様、先程の魔法は古代魔法である転移魔法です。王国が誕生した時は転移魔法が活発に使われていたそうですが今は私が知る限り私しか使えないため無属性魔法の括りに入れられています」
俺が驚いているのを見たのか、そうセバスチャンさんは声をかけてきた。
てか俺そんなこと知らなかったんだけど!?
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まあ、そんなことを口にすることもできず俺は話を進めることにした。
「なら使用者は実質セバスチャンさんただ一人ということですか。すごい魔法ですね」
しかし、なぜセバスチャンさんだけ使えるのだろう。全くもって分からない。
万能執事。この言葉を用いて俺は自分の疑問を無理やり解決することにした。今悩んでも仕方のないことだろう。
しかしまさかこの世界に転移魔法が存在するとは期待通りだな。さすが異世界だ。
「お褒めいただき光栄です。それでは中へお入り下さい。陛下がお待ちです」
俺はセバスチャンさんの言葉に従い、ルクセンドさんと一緒に室内訓練場の中へ入っていった。
「よく来てくれました。アルバート殿」
謁見の間で見る高貴で豪華な服装ではなく、訓練にふさわしい機能性を重視したラフな服装だった。
まさかの陛下もこんな態度だった。流石にやりづらすぎる。
「普段通りでお願いします陛下」
陛下は少し考えた素振りを見せたあと話し始めた。
「分かった。これで良いか?」
「ええ、それで構いません。それでは早速魔法の訓練を始めたいと思うのですが、何か希望などはありますか?」
「我は魔法は苦手でな。魔力を身にまとい身体を強化させる身体強化を使っての剣術を得意としている。それゆえにあまり魔法が使えなくてな。使えるのは精々中級魔法までじゃ。昔、学園入学した時は剣術が試験官の目について入学を果たせたがな」
いや、普通にすごいと思うが。鍛えてる体だと服の上から見てもわかるし。
「ということは上級魔法を使えるようになりたいということですか?」
「ああ、この年でできるようになれば良いのだが……。そんな簡単にいくとは思えんがな」
これは俺の師匠の受け売りだが、魔法を向上させるにはやはり体内の魔力操作だという。より上の段階の魔法になってくると魔力の質がモノを言う。
「まあ取り敢えず訓練をしましょう」
「とはいうがどうやって?」
「今日から取り敢えず1週間、心を落ち着かせてお腹のあたりに集中してください。もちろん私との訓練の時だけですが。魔力が感じられるはずなのでそれを動かしてください」
「い、1週間!? そんなので大丈夫なのか?」
「短期間ですが、やらないよりはマシです。魔法は魔力の質に比例します。10歳から15歳の間に魔力を操作できるようになると一般には言われていても、その実本領を発揮していません。やはり日々の訓練がモノを言います」
「それはお主が感じた感想か?」
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俺も訓練するとするか。
そうして俺と陛下の夜の特訓? が始まったのだった。
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