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好きになったのは~sideレイ~
しおりを挟む初めて会話をした時から、私はすでに彼に惹かれていた___
あの時......カグラと兄の告白現場を目撃した時、私は酷く安心した。
これでカグラを愛さなくてすむと.....
私はカグラを好いていた。
だがそれは、私の中になぜかあった"カグラを愛さなくてはいけない"という使命感のようなものだったのだと、兄上とカグラの告白現場を目撃した時にはっきりと気付いた。
カグラに恋愛感情はなく、ただ弟のように思っていただけだったのだと.....
(私は無理にカグラを好きになろうとしていたんだな....)
そんな事を考えながら抱き合う二人を見つめていた時だった。
彼が私にハンカチを差し出してこう言った。
「泣いてしまうかもと思いまして。」.....と。
その時はとても驚いた。
この国の第二皇子であり、周囲の者達からは冷酷で残忍な生きた人形のようだと言われているこの私に、そんな事を言ってきた人物は彼が初めてで.....
実に面白いと思った。
そして同時に、クレノ・シアがどのような人物でどんな生活をし、どんなものが好きなのか、また嫌いなのかとても興味が湧いた。
彼をどうしても知りたくて、あの出来事があった翌日には彼を茶に誘った。.....というか無理矢理連れ出した。
そして私が用意したお茶菓子を美味しそうに食べながら見せたあの満面の笑顔に、私の心は一瞬で奪われてしまった。
(可愛い....愛しい....抱き締めたい.....)
ドクドクと鼓動が早くなり、顔の熱が上がるのを感じながら私は咄嗟に顔を彼から背ける。
もっと笑顔が見たい.....そう思った瞬間、私は自分の気持ちに気付いた。
この感情こそが、本物の恋なのだと。
気付いてしまった途端、この可愛い子爵令息を帰したくなくなってしまった。
だがそういう訳にもいかず、楽しい茶会が終わり別れる事が名残惜しい。
(次はもっとお菓子を用意しておこう。)
離れていく背中を見つめながら、私は自分の寮へと帰った。
だがそれからしばらく生徒会や勉学の方で忙しく、なかなかクレノに会いに行けない日々が続き、クレノ不足でストレスが溜まっていく。
(会いたい.....一瞬でも良いから顔が見たい......)
そんな事を思いながら私は早く生徒会の雑務を終わらせ、クレノをまた茶に誘おうと急ピッチで仕事をこなしていった。
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