俺はモブなので。

サイドストーリー③皇太子の前世4

『痙攣しちゃってるよ。』

すべてが終わった後、そう言いながら現れたアイツは、僕の腹を蹴り上げる。


『ちゃんと動画あげたんだよね？』

『おう！バッチリ！』

携帯をアイツに渡し男共が帰っていく中、その言葉に嫌な予感がした僕は重い身体を持ち上げアイツから携帯を奪い取った。



『何...これ...』

初めてを奪われた日から僕が今までされていた事が、SNSに無修正で投稿れている。顔すら隠されていない。

『あーあ、バレちゃった。』

僕の名前もバレているようで、中にはこの学校の生徒だと思われるようなコメントもあった。


『なんで...なんで、こんな事...！』

『お前が気に入らないから。』

僕から携帯を奪い返すと、アイツは携帯を操作して僕に画面を見せる。


『見て。さっきの動画、君の親友にも送っておいたよ。』

そこには晴人の連絡先と、僕が自ら男の上へ跨り腰を振る動画。


『え...、あ...あぁ....』

削除しようと手を伸ばすも届かない。

なぜ晴人の連絡先を知っているのか。なんて、疑問が吹き飛ぶぐらいのショックが襲う。


そして...

『...あ、既読ついた。』

その言葉を聞いた瞬間、僕の中で何かが壊れる音がした。

『嫌だ...もう、嫌だ！！！』

心臓が痛い。身体が痛い。全部...痛い。

錯乱し、走り出した僕は柵を超える。


『お、飛び降りるの？動画撮ろ～。』

アイツを見ると、笑顔を見せながら今度はクラスラインにでも送ろうかなと楽しそうに僕を撮っていた。


最悪だ。もう嫌だ、こんな人生....もう...嫌だ！！！


精神的にも肉体的にもボロボロだった僕は、残される人の事なんて考えもしなかった。もう死にたくて死にたくて仕方なくて...

『お前を一生恨んでやる。』

最後にそう言い残して、自らその身を投げた。







『...死んだか。こんな小細工に騙されるとか、ほんと馬鹿なヤツ。』