9 / 29
第1章
9 ステータスオープン!
しおりを挟むそうやって目覚め、転生を理解し、死にかけグループでの生活がはじまってからあっという間に数日が過ぎ去っていた。
慣れるだけで精一杯で……あまり記憶には残っていない。
この部屋に来る前とそこまで変わったことはしていないはずなのにね……でも、みんなとは少し親しくなれたと思う。
ハワードに関しては進展なしだけど、部屋にひとり増えたのは認識してるっぽい!
だって、トイレへ行くときにたまたま導線にいたわたしのことをちゃんと避けていったもん!避けるってことは認識してるってことだよね?ほかのひとだと思った可能性もあるけどねぇ……
まぁ、いつもお腹はすいているし、疲れているけど……慣れてきたことでようやくゆっくりと考える余裕ができてきた。
わたしは夜は疲れてすぐに寝てしまう……瞑想?やってるよ?ただ、寝落ちしてしまうことが多いから、何かするなら朝かなーってことで……
「ステータスオープン」
とりあえずはファンタジーならお約束の言葉を言ってみる。
よくあるステータスプレートとか出ないかなーって期待したが……うんともすんとも言わない。
「オープンザステータス!ステータス開示!……むぅ」
やはり、これも見送られたパターンじゃないと駄目なのか……ちぇー。
「メリッサ、ステータスが知りたいのか?」
「うん!しりたい」
あら、マイケルじいちゃん起きてたのね。もっと小さな声で言えばよかった。ちょっと恥ずかしい……
「そりゃ、鑑定の魔道具とやらで調べられるらしいぞ……たしかスキル?とかいうものも見れるとか」
「ほんとに?」
鑑定の魔道具とかスキルってまさにファンタジーじゃん!
「まぁ、儂らには関係ないことじゃがのぉ……その恩恵を受けられるのは帝国人だけなんじゃよ」
「そうなのかぁ……」
なんだ。ステータスがあったとしても確認するのは難しいのか……ちぇー、残念。
「メリッサ、がっかりするのは早いよ。その代わり私たちにしかないものもあるんだよ」
あら、おばばさまも起きてたのね……
「わたしたちにしかないもの?」
「おぉ、ばば様。そうじゃったの……」
そう言うとマイケルじいちゃんは服を捲り上げて腕の模様を見せてくれた。
「これは我々にしかないようじゃぞ?」
「それはだって、奴隷のしるしでしょう?」
そりゃ、奴隷のしるしなんだからわたしたちにしかないよ……なんだ、おばばさまのブラックジョークってやつか?
「うむ。それが少し違うそうじゃ。ほれ、よく見てみろ……この手首の魔方陣は奴隷のしるしじゃが、この腕にある蔦のような模様は魔力量を示してるとされてるんじゃ」
「この模様は帝国人にはないんだよ……私たちだけのものだ」
「へぇ……」
おぉ!ブラックジョークじゃなかったっ!
マイケルじいちゃんの見せてくれた蔦のような模様は手首のうえにほんの少ししか伸びていない。
「儂は元々は肩近くまで蔦が伸びていたんじゃが……理由はよくわからないが、いつの間にかここまで短くなっちまったんじゃ。魔力が枯渇気味なのは間違いないようでの……それにこの年じゃあ、肉体労働などしても足手まといじゃし、いつ死ぬかわからんからの……この部屋に来ることになったんじゃよ」
「……そうなんだ」
「ふっ、いつ死ぬかわからないといったね?たしかにそうさ。でも、皮肉なことに健康な年寄りはこの部屋に来たことで外より長生きできるのさ」
「たしかにそうかもしれんの……ここに来ると決まったときは干からびてすぐに逝くと覚悟したもんじゃが不思議なものだ……」
「マイケルは器用で魔力が枯渇気味、反抗する体力がない。向こうからすればあの担当にうってつけだ。きっと前から目をつけられていたんだろうよ」
あー、魔道具の基盤担当か。
「でなけりゃ、もう少し外の生活を強いられていたと思うね」
「ふむ……ばば様に言われるとそんな気がしてくるから不思議じゃの」
どうやら帝国人はこの蔦の模様で、ある程度わたしたちをグループ分けしているようだ。
蔦が短いものほど肉体労働に回され、鉱山での採掘や畑作業、水汲み、森への採取や狩りなどが割り当てられるみたい。
鉱山から魔石を掘り出すことから坑道の魔物討伐まですべてわたしたち奴隷の仕事らしい。
鉱山ではツルハシや金槌ぐらいしか持たせてもらえないのに……それで魔物を倒せってどんな無理ゲー?そりゃ、殴るだけで倒せる魔物ばかりなら問題ないだろうけど……
残念ながら、殴っただけでは倒すことのできない魔物もいるらしい……
そして見張りは坑道には入ってこないし、危険な魔物が出れば入り口が封鎖され……倒すまで裏口からほんのすこしいい武器を持たされ送り込まれる世界だという……恐ろしい。ほぼ、見殺しってことでしょ……
しかも、入り口付近でも命がけなのに、さらに強い魔物が跋扈する場所の鉱脈を目指せと言われることもらしい……たしかに年寄りなら、なおさらそこへ送られるよりこの部屋にきたほうが長生きできるかも。
「それに、ひとによって太さも違うし……ばば様のように変わった模様が付いてるひともいるぞ」
「そうだね。私のようなひとはかつては沢山いたんだけどね……いまはどうだろうね」
ふむ。自分の腕を見てみると二の腕の中程まで蔦が伸びていた……すごいひとは首まであるらしいから、魔力量とやらは真ん中らへんだろうか?
だから、前は水汲みの他に魔石に魔力込める仕事だったのかな。
両手に魔石を持って作ってみたら差が出たのも魔石の大きさだけでなく、その辺りも関係している可能性もあるな……
でも、マイケルじいちゃんの言うことが確かなら魔力量は一定ではなくて、蔦は長くなったり短くなったりするのかも……自分の蔦の長さをよく覚えておこう。何か変化があるか確かめてみたいな。
そして、おばばさまには細い蔦に絡まるように変わった模様があるらしい。
時々そういうひともいるらしく、みんなとくに不思議には思わないそう……確かにひとそれぞれ蔦の模様が違えばあまり深く考えないのかもしれないな。
帝国人にとって重要なのはどんな模様かよりもどれだけ魔力量があるかだろうし。
今度、時間があるときにおばばさまに変わった模様っていうの見せてもらえないか聞いてみよう。
部屋をグルっと見回し、みんなの腕を見てみる……
グウェンさんは前腕のなかほどまで。
マチルダさんは肩に近い位置まで蔦が伸びている。
フランカお姉ちゃんは火傷のせいでかろうじて隷属の魔方陣が判断できる程度で蔦の模様は確認できなかった。ただ、両手での魔石作りが早くならなかったことからおばばさまと同程度ではないかと考えた。
おばばさまは肘より少し上くらいらしいので、フランカお姉ちゃんもそのくらいなのかな?
そして、まだ寝ているハワードをちらりとみると……肩ぐらいまで蔦が伸びている。ハワードは元々魔力量が多かったみたい。この部屋ではいちばんだと思う……だから、大きな魔石でも問題なく作れたんだね。
魔力量はマイケルじいちゃん<グウェンさん<フランカお姉ちゃん、おばばさま<わたし<マチルダさん<ハワードって感じかな?同じ位置にあっても蔦の太さで魔力量が違う可能性もあるけど……検証のしようがないので一旦放置しておこう。
23
あなたにおすすめの小説
狼になっちゃった!
家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで?
色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!?
……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう?
これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
どうやら悪役令嬢のようですが、興味が無いので錬金術師を目指します(旧:公爵令嬢ですが錬金術師を兼業します)
水神瑠架
ファンタジー
――悪役令嬢だったようですが私は今、自由に楽しく生きています! ――
乙女ゲームに酷似した世界に転生? けど私、このゲームの本筋よりも寄り道のミニゲームにはまっていたんですけど? 基本的に攻略者達の顔もうろ覚えなんですけど?! けど転生してしまったら仕方無いですよね。攻略者を助けるなんて面倒い事するような性格でも無いし好きに生きてもいいですよね? 運が良いのか悪いのか好きな事出来そうな環境に産まれたようですしヒロイン役でも無いようですので。という事で私、顔もうろ覚えのキャラの救済よりも好きな事をして生きて行きます! ……極めろ【錬金術師】! 目指せ【錬金術マスター】!
★★
乙女ゲームの本筋の恋愛じゃない所にはまっていた女性の前世が蘇った公爵令嬢が自分がゲームの中での悪役令嬢だという事も知らず大好きな【錬金術】を極めるため邁進します。流石に途中で気づきますし、相手役も出てきますが、しばらく出てこないと思います。好きに生きた結果攻略者達の悲惨なフラグを折ったりするかも? 基本的に主人公は「攻略者の救済<自分が自由に生きる事」ですので薄情に見える事もあるかもしれません。そんな主人公が生きる世界をとくと御覧あれ!
★★
この話の中での【錬金術】は学問というよりも何かを「創作」する事の出来る手段の意味合いが大きいです。ですので本来の錬金術の学術的な論理は出てきません。この世界での独自の力が【錬金術】となります。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
転生少女と黒猫メイスのぶらり異世界旅
うみの渚
ファンタジー
ある日、目が覚めたら異世界に転生していた主人公。
裏庭で偶然出会った黒猫に魔法を教わりながら鍛錬を重ねていく。
しかし、その平穏な時間はある日を境に一変する。
これは異世界に転生した十歳の少女と黒猫メイスの冒険譚である。
よくある異世界転生ものです。
*恋愛要素はかなり薄いです。
描写は抑えていますが戦闘シーンがありますので、Rー15にしてあります。
第一章・第二章・第三章完結しました。
お気に入り登録といいねとエールありがとうございます。
執筆の励みになります。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる