目覚めたら7歳児でしたが、過酷な境遇なので改善したいと思います

瑞多美音

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第2章

23 魔法陣の変化

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 「お、こわもておにーさんだ」

 あの大きさ、オーラ!他のひとに避けられてる……間違いない!

 「そ、そうだね」
 「まうしろに行きたいな」
 「……ほ、本当にわ、渡すつもりなの?」
 「うん!だって、自分でこしみのよういするくらいだよ!アレもみほんがあればつくれるってー」
 「そ、そうかなぁ?」

 必死に足を動かし追い付こうとするも、歩幅が違うのでなかなか追い付けない……あ、こっちに気づいた!ゆっくり歩くようになってくれたので頑張れば追い付けそうだ!

 「フランカお姉ちゃん!わたし、またあほな子のフリするから!フリだからね!しんぱいいらないから」
 「わ、わかったわ!」

 フランカお姉ちゃんの返事を聞き……へラっと笑いながら列に並ぶ。ちょうど強面おにーさんの真後ろだ。ふふ!狙いどおりだ!
 毎回、会える訳じゃないので、会えたときのために用意してきたものがある。それは……わらじだ!思ったより早く会えたので片足分しかないけど……

 時々、ボーッとしたり虚空を見つめ、ヘラっと笑いながら強面おにーさんの大きな背に隠れるように……様子のおかしな子がたまたまぶつかった風を装い、腰にわらじの片方をぶら下げる。
 ごそごそ……よし、うまくできた!

 ゆっくり後ろを振り返った強面おにーさんにアイコンタクトでぶら下げたことを伝えたらコクリと頷いたので大丈夫だと思う。

 ふぅ、ミッション完了だ。

 帰り道……
 「ね、ねぇ。メリッサちゃん……どうしてあのひとにわらじを渡すことにしたの?」
 「うーん……わたしたちのこと気にかけてくれそうだから?」
 「そ、そっか」

 実はわたしにも思惑はある……あの強面おにーさん……あれだけの魔力量だ。味方に付けておきたい。それに、お祈りのことだって伝えたら魔石班に広がるかもしれない……ってね。
 まぁ、1番はわたしたちのことを避けずに接してくれるからかな?ほとんどのひとは自分の末路かもしれないと同情の視線は向けても関わろうとはしないから……


 ◇ ◇ ◇



 次に強面おにーさんを見かけたときは不格好ながらわらじを両足にはいてた……見本だけでわらじが作れるとかすごい器用だ。

 それからは見かけるたび、強面おにーさんの後ろにならび……食べられる雑草を差し入れしたり、ポーション草のかけらをあげたりした。
 こちらを見たときには雑草をモグモグして見せたので通じてると思う。

 強面おにーさんと遭遇するたび、フランカお姉ちゃんがプルプルしてるけど、きっと、そのうち慣れてくれるはず……現に後ろに並ぶときはわたしが見張りから見えないように移動してくれてるし。あほの子のふりにも慣れてくれたみたいで、わたしがヘラっと笑ったイコール強面おにーさんが近くにいるって思うようになったけど。

 魔石班はご飯にそこまで困ってないと気づいたのは部屋にもどってからだった。
 雑草とか別に食べる必要なかったんじゃ……
 貴重なポーション草まで分けてあげたのに……ポーション草だって伝えられてないから雑草とひとくくりに考えるかも……ま、やってしまったものはしかたないかぁ。

 強面おにーさんは……あまり、表情筋がうごかないけど……ハワードに話しかけるより、反応があるのでまだ、わかりやすい。

 あれから……ハワードはわたしが甘い汁を取りに行くと言う時だけ器を持ってついてくるようになった……
 ハワードのつけた傷からもきちんと樹液はとることができたので、ハワード専用になっている。きっと、前世とは違うファンタジーな樹なんだと思って扱うことにした。
 ハワードに器で集める方法を教えたら、自分の分を採取できるようになった!
 「ハワードが覚えないとあそこのはとれないよー」って言ったらものすごい目でこちらを見てきたので……「だって、わたしとどかないもん」と言うと教えたとおりに動いてくれた。
 え?みんなの分は手伝ってはくれないよ?自分の分をとったらわたしか声かけるまで味わってるから……それに、この樹のそばってなんか落ち着くんだよね。樹に洞とかあったら、絶対秘密基地にしてたはず。

 それ以外では反応があまりないけど……大きな1歩を踏み出したのだ。いつか、話をできる日が来るかもしれないってみんな期待している。
 そして、あの甘い汁……樹液ね。ポーション草と混ぜるとポーションもどきがちょっとましになって飲みやすくなる上、効果もほんのりアップするという大発見をしたの!
 多分、たくさん混ぜればもっと飲みやすくなると思うけど、量に限りがあるのでしかたない。
 ちなみにグウェンさんの腕の内側でパッチテストはしっかりと済ませている……ハワードは飛び付かなかったので、そのままグウェンさんが舐めて2段階目のパッチテストに利用した。
 その際、グウェンさんが一向に動かなくなってしまったのでまさか!毒だったのか!とみんな慌てたが、今まで食べた甘味で1番だったので驚愕していたらしい。
 グウェンさんが硬直するくらい美味しいと知り、みんなも食べたがったが、そこは我慢。数日、グウェンさんの様子が変わらないことを確認してからとなる。
 あまった樹液はわたしとハワードでおいしくいただきました!
 当の本人は「毒味の特権だな!」とみんなに味の説明をして元気に過ごした。

 今となっては樹液のほとんどをポーションもどきに混ぜて食べている……甘味としては食べられないけど、それよりポーションもどきの不味さ軽減とポーションもどきの効果アップ(体がぽかぽかする)を優先した。みんなも了承済みだ。
 たまーにあまった樹液をみんなでわけあうのが楽しみだったりする。
 

 「ねぇ、メリッサちゃん!なんだか、私の手首の魔方陣……色が変わってきたと思わない?」

 そういうのは出会ったときとくらべ、随分と顔色のよくなったマチルダさんだ。

 「おぉ……たしかにちょっと、かわったかも?」
 「ほら、私はもうすぐメリッサと同じくらいの色になりそうだよ」
 「おおー!」
 「儂はあんまりかわってないのぉ……なんでじゃろうか?」
 「魔力枯渇とかいうのが関係してんじゃねぇの?つーか、俺もあんま変わってないんだが」
 「わ、私も……よ、よくわかりません」

 お祈りについては……どうやら個人差があることがわかった。

 「なんでだろうねー」

 ようやく、みんなには少しずつお祈りの効果が出始めてきているが色にばらつきはあるのだ……魔力量で違うのか想像力の差なのかはわからない。

 「マイケルもグウェンも全く変わってないわけじゃないだろう?」
 「まぁなー」
 「うむ。そうじゃな……」
 「帝国がいう嘘の流民話より、よっぽど希望があるんだ……気長にやりな」
 「は、はい」
 「うむ」
 「だな」

 わたしのときよりは随分と時間がかかっているけど、全員の隷属の魔方陣が濃紺になる日もそう遠くないだろう……

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