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後編
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取り調べも若奥様の気が済んだことで朝方に終了したようだ……多分、グリスがわたしの部屋で物真似を披露していた前後でしょう。身支度を済ませうきうきと野次馬に向かいましたが、すでに旦那様と若奥様は仮眠されていました……残念。
サバス様が1度だけですが、物真似を披露してくれたのでよしとしておきましょう。
その後、少しの睡眠にも関わらずパワフルな若奥様たっての希望で本来は週末の予定だったレファルテ様へのご挨拶を急遽やることが決まり、わたしたちも同行します。
そしてなぜか若奥様と人差し指どうしをくっつけるご挨拶もさせていただきました。
だってキラキラの笑顔で「人差し指出してちょうだいっ!」って言われたら断れませんよ!
やだ、旦那様が羨ましそうに見つめてくるんですけど。あ、グリスへの挨拶はすごい形相で止めていますね。こら、グリスも面白がって人差し指ださないっ!
あれ?若奥様にデロデロじゃないですか……レファルテ様を前にしたときと相違ない気がします……
サバス様になだめられようやくレファルテ様の元へ……通常の移動の3倍、時間がかかってますがなにか?決して若奥様の歩みが遅いわけではないのです。旦那様が小さな段差や小石にいちいち反応しては若奥様をエスコートしようとするので時間がかかっています。
レファルテ様の住まいは広大な敷地に建てられた竜舎です。
この国では竜を敬愛しており、竜と共に生活しています。
貴族家はほとんどの場合、契約している竜がいて当然です。
平民でも竜と契約することができれば貴族入りもはたせるほど重視されています。
まぁ、家と契約するか個人と契約するかで扱いは変わりますけど。
つまり、竜第一主義の国民性ですね。
ロバート様はそれに輪をかけてです。竜好きが高じて研究者になったほどです……そもそも貴族の婚姻は契約竜が気に入らなければ白紙になることも多いんです。
過去には契約している竜に気に入らないと言われたのにも関わらず、無理に結婚したら不幸が続いたとかで今ではお伺いをたてて候補を絞り込み……その中から家格や性格の相性で決めていくのが貴族家のやり方らしいです。使用人も竜の気質によっては選別されるようです。
そのため、竜のために広大な敷地を持ち、竜舎を用意することなど常識なのです。借金してでも家宝を売り払ってでも竜舎を建てる……そんなお国柄です。まぁ、竜に関することは国から補助金が出やすくなっているのでそこまでする方は少ないですけど。閑話休題。
◆ ◆ ◆
まさか、レファルテ様への挨拶もそこそこに「わたくしも頑張って子供産みますから、卵産んでくださいな?実家の子はまだまだ産めないんですって」っておねだりするとは思いませんでしたけど。
そんなお願いするなんておそれ多いと思いますが、むしろレファルテ様は面白がって『ふむ。我の番を見つけて来れたらよいぞ?今なら北のほうかの?』っていうものだからおふたり張り切って新婚旅行がてら探しにいくんですって……
当然のようにわたしとグリスも同行することが決定してしまいました……どうしてこんなことにとつぶやくと
「「当たり前でしょう!ふたりは通訳じゃないか(なんですから)」」
あ、そうでしたね。我らの一族、竜の言葉が分かるんです。
ですから我々、わりと貴重な存在なんですよ。先程の幼い頃の訓練というのも身を守るためですね。ほら、血筋を狙って誘拐を考える輩がいるかもしれませんし……まぁ、そんなことしたら国中からフルボッコな上、我らが仲良くさせてもらっている竜からの厳しいお仕置きが待っているようですが……
なので、別に屋敷に住み込まずとも時々通訳を請け負うだけで暮らしていけるんですけど、レファルテ様に誘われて面白そうだねってことで働いております。
だからご当主様も多少のことは多目にみてくださるんですよね。睡眠時間も十分にとれるよう融通をきかせてもらうことも可能って訳です。
我らの一族を囲みこむのは暗黙のルールでご法度なんですけど、本人が望めばやむなしということになってます。機嫌を損ねられて竜と意志疎通ができなくなってしまいますから。
ちなみに竜との契約には通訳は必要ありません。お互いがいいなと思って魔力を交換したら完了です。どちらかが少しでも嫌がれば魔力が弾かれるのでその場合は契約失敗です。
はじめは個人との契約が多く、その後我らの通訳を経て家との契約になることもあります。
でも……我らの一族は知ってるんですよ。高位竜の方々は我らの力など借りずとも人間と会話できるって。なので我々が嘘の通訳をすると竜にばれて、場合によっては首と胴体がおさらばです。ですから我らも誠心誠意取り組んでいます。
かつて、こっそりレファルテ様にお伺いしたら『我らと直接話せると知ったらうるさいじゃろ?だからお主らの一族は虫除けみたいなもんじゃ。それにお主らの力も本物だしの。持ちつ持たれつじゃ』だそうです。
もちろん旦那様と若奥様の相性チェックの通訳もしましたよ。
レファルテ様が『うーむ。我に夢中でも怒らない妻はアレくらいじゃな?次点はホレ出戻りの娘じゃ。あともう1人いるがあっちの竜と我、相性微妙なんじゃよ。向こうが嫌がるわい』って楽しそうに言われ、オブラートに包むこともできずそのまま伝えました。
幸い上手く話がまとまって婚姻されたんですが、旦那様がやらかしてしまったという結果付きでしたね。相性のおかげかレファルテ様の見る目に間違いはなかったのか丸く収まってひと安心です。
「ただなぁ……フィラ、旅の間は睡眠時間減ると思うけど大丈夫そうか?」
「は、ははっ。なにか用事で起こすときは絶対グリスにしてもらおうね?」
「俺が蹴られる前提かよっ!」
「グリスならしっかり受け止めてくれるし!多少のことじゃ怪我しないでしょ」
「ま、まぁなっ!」
こうして、数日後から新婚旅行ははじまったのです。
◆ ◆ ◆
その後、予定よりも長引いた新婚旅行の末に見つけ出したレファルテ様の番の竜はかなりの方向音痴で……ちょっと出掛けたつもりが何十年もレファルテ様のもとへ戻れなくて困っていたそうで、喜んでついてきてくれることとなりました。
ただ、契約したわけではありません。
レファルテ様の番さま曰く『契約はちょっとなー……しばらくは居候でよろしくー』とのことです。それでもディーテル伯爵家に住む竜が増えると旦那様も若奥様も大喜びでしたが……
旦那様があまりレファルテ様にデロデロして番さまが不機嫌になり、しばらくの間接近禁止になり旦那様が血の涙を流すことに。
旦那様が毎日、いや毎時間のように通訳してくれってうるさ……しつこ……んんっ。ええ。大変でしたとも。かくれんぼの技術が上達するくらいには……グリスの方がうわ手で旦那様に見つかるのがわたしばかりでしたけど。
しかし、しばらくすると許可されたギリギリの位置から自分の鱗や牙を熱心に見つめる視線に気付き、レファルテ様だけでなく番さまにも同じだったと知り、無事接近禁止は解除されました。
若干、番さまには引かれてましたけど……そう思うとレファルテ様は至近距離でデロデロされてもおおらかに受け入れていてすごいですよね。
小さな子と子竜が庭で戯れる日もそう遠くないかもしれません……
サバス様が1度だけですが、物真似を披露してくれたのでよしとしておきましょう。
その後、少しの睡眠にも関わらずパワフルな若奥様たっての希望で本来は週末の予定だったレファルテ様へのご挨拶を急遽やることが決まり、わたしたちも同行します。
そしてなぜか若奥様と人差し指どうしをくっつけるご挨拶もさせていただきました。
だってキラキラの笑顔で「人差し指出してちょうだいっ!」って言われたら断れませんよ!
やだ、旦那様が羨ましそうに見つめてくるんですけど。あ、グリスへの挨拶はすごい形相で止めていますね。こら、グリスも面白がって人差し指ださないっ!
あれ?若奥様にデロデロじゃないですか……レファルテ様を前にしたときと相違ない気がします……
サバス様になだめられようやくレファルテ様の元へ……通常の移動の3倍、時間がかかってますがなにか?決して若奥様の歩みが遅いわけではないのです。旦那様が小さな段差や小石にいちいち反応しては若奥様をエスコートしようとするので時間がかかっています。
レファルテ様の住まいは広大な敷地に建てられた竜舎です。
この国では竜を敬愛しており、竜と共に生活しています。
貴族家はほとんどの場合、契約している竜がいて当然です。
平民でも竜と契約することができれば貴族入りもはたせるほど重視されています。
まぁ、家と契約するか個人と契約するかで扱いは変わりますけど。
つまり、竜第一主義の国民性ですね。
ロバート様はそれに輪をかけてです。竜好きが高じて研究者になったほどです……そもそも貴族の婚姻は契約竜が気に入らなければ白紙になることも多いんです。
過去には契約している竜に気に入らないと言われたのにも関わらず、無理に結婚したら不幸が続いたとかで今ではお伺いをたてて候補を絞り込み……その中から家格や性格の相性で決めていくのが貴族家のやり方らしいです。使用人も竜の気質によっては選別されるようです。
そのため、竜のために広大な敷地を持ち、竜舎を用意することなど常識なのです。借金してでも家宝を売り払ってでも竜舎を建てる……そんなお国柄です。まぁ、竜に関することは国から補助金が出やすくなっているのでそこまでする方は少ないですけど。閑話休題。
◆ ◆ ◆
まさか、レファルテ様への挨拶もそこそこに「わたくしも頑張って子供産みますから、卵産んでくださいな?実家の子はまだまだ産めないんですって」っておねだりするとは思いませんでしたけど。
そんなお願いするなんておそれ多いと思いますが、むしろレファルテ様は面白がって『ふむ。我の番を見つけて来れたらよいぞ?今なら北のほうかの?』っていうものだからおふたり張り切って新婚旅行がてら探しにいくんですって……
当然のようにわたしとグリスも同行することが決定してしまいました……どうしてこんなことにとつぶやくと
「「当たり前でしょう!ふたりは通訳じゃないか(なんですから)」」
あ、そうでしたね。我らの一族、竜の言葉が分かるんです。
ですから我々、わりと貴重な存在なんですよ。先程の幼い頃の訓練というのも身を守るためですね。ほら、血筋を狙って誘拐を考える輩がいるかもしれませんし……まぁ、そんなことしたら国中からフルボッコな上、我らが仲良くさせてもらっている竜からの厳しいお仕置きが待っているようですが……
なので、別に屋敷に住み込まずとも時々通訳を請け負うだけで暮らしていけるんですけど、レファルテ様に誘われて面白そうだねってことで働いております。
だからご当主様も多少のことは多目にみてくださるんですよね。睡眠時間も十分にとれるよう融通をきかせてもらうことも可能って訳です。
我らの一族を囲みこむのは暗黙のルールでご法度なんですけど、本人が望めばやむなしということになってます。機嫌を損ねられて竜と意志疎通ができなくなってしまいますから。
ちなみに竜との契約には通訳は必要ありません。お互いがいいなと思って魔力を交換したら完了です。どちらかが少しでも嫌がれば魔力が弾かれるのでその場合は契約失敗です。
はじめは個人との契約が多く、その後我らの通訳を経て家との契約になることもあります。
でも……我らの一族は知ってるんですよ。高位竜の方々は我らの力など借りずとも人間と会話できるって。なので我々が嘘の通訳をすると竜にばれて、場合によっては首と胴体がおさらばです。ですから我らも誠心誠意取り組んでいます。
かつて、こっそりレファルテ様にお伺いしたら『我らと直接話せると知ったらうるさいじゃろ?だからお主らの一族は虫除けみたいなもんじゃ。それにお主らの力も本物だしの。持ちつ持たれつじゃ』だそうです。
もちろん旦那様と若奥様の相性チェックの通訳もしましたよ。
レファルテ様が『うーむ。我に夢中でも怒らない妻はアレくらいじゃな?次点はホレ出戻りの娘じゃ。あともう1人いるがあっちの竜と我、相性微妙なんじゃよ。向こうが嫌がるわい』って楽しそうに言われ、オブラートに包むこともできずそのまま伝えました。
幸い上手く話がまとまって婚姻されたんですが、旦那様がやらかしてしまったという結果付きでしたね。相性のおかげかレファルテ様の見る目に間違いはなかったのか丸く収まってひと安心です。
「ただなぁ……フィラ、旅の間は睡眠時間減ると思うけど大丈夫そうか?」
「は、ははっ。なにか用事で起こすときは絶対グリスにしてもらおうね?」
「俺が蹴られる前提かよっ!」
「グリスならしっかり受け止めてくれるし!多少のことじゃ怪我しないでしょ」
「ま、まぁなっ!」
こうして、数日後から新婚旅行ははじまったのです。
◆ ◆ ◆
その後、予定よりも長引いた新婚旅行の末に見つけ出したレファルテ様の番の竜はかなりの方向音痴で……ちょっと出掛けたつもりが何十年もレファルテ様のもとへ戻れなくて困っていたそうで、喜んでついてきてくれることとなりました。
ただ、契約したわけではありません。
レファルテ様の番さま曰く『契約はちょっとなー……しばらくは居候でよろしくー』とのことです。それでもディーテル伯爵家に住む竜が増えると旦那様も若奥様も大喜びでしたが……
旦那様があまりレファルテ様にデロデロして番さまが不機嫌になり、しばらくの間接近禁止になり旦那様が血の涙を流すことに。
旦那様が毎日、いや毎時間のように通訳してくれってうるさ……しつこ……んんっ。ええ。大変でしたとも。かくれんぼの技術が上達するくらいには……グリスの方がうわ手で旦那様に見つかるのがわたしばかりでしたけど。
しかし、しばらくすると許可されたギリギリの位置から自分の鱗や牙を熱心に見つめる視線に気付き、レファルテ様だけでなく番さまにも同じだったと知り、無事接近禁止は解除されました。
若干、番さまには引かれてましたけど……そう思うとレファルテ様は至近距離でデロデロされてもおおらかに受け入れていてすごいですよね。
小さな子と子竜が庭で戯れる日もそう遠くないかもしれません……
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