116 / 120
第9章
116.女神見習いとアラクネ
ダメ元だったけど、魔物は高位の種なのか言葉を理解していたみたい。
『アラクネさんです!このアラクネさんはリーダーなので助けないと配下のアラクネ達が暴れ出すです!』
え、まじかー……どうしよう。
「我ヲ殺セ……コノママ自我ヲ失ウマエニ、ハヤク」
狂暴化する一歩手前みたいだけど、自分を殺してくれなんていう魔物に初めて会った。こできることはしてみようと色々試してみる……ポーションはダメ。回復魔法もダメ……浄化してみたら
「おっ、うまくいったかも」
よかったー……
「ナゼ、タスケタ?ニンゲン、我ラ殺ス……」
「うーん。意思疎通のできる魔物で私を襲わないなら、自分からわざわざ攻撃する必要はないかなって。それにあなたは襲おうと思えばできたのに襲ってこなかったじゃない?それに私は鉱石採掘に来たんであってあなたを殺すために来たわけじゃないし……いくらライムのお願いでも、あなたの狂暴化が止まらずに攻撃されていたらやり返してたとは思うけどね」
「フン、オマエヘンナニンゲンダナ……ココニアル糸スキナダケモッテイケ」
それってお礼って受け取っていいのかな?
「えっ、糸?なんかネバネバしてるけど……」
「我ラノ糸ハ、時ガタツトネバネバシナクナル。獲物ノタメニアラタナ罠ヲツクル。古イノナラ、ネバネバシナイ」
「へえ、そうなんだ。じゃあ遠慮なく」
ネバネバしない糸を選び回収していく。ライムも手伝ってくれてるけど、それ捕獲されてるみたいになってるよ?
「ねえ、ちなみにこれって編んで布に出来たりするの?」
「フン、我ラニハタヤスイコト」
目の前でささっと糸が編まれていき、10センチ四方の布が完成した。その間に小さな蜘蛛がどこからともなくワサワサ出て来てリーダーの周りに集まってきていた。これもアラクネなのかー……ほぼ蜘蛛にしか見えないけど。やっぱリーダーだから女性の上半身があるのかな?それとも大人になると進化するとか?
ただね、その量に若干引いた……あんまり大量にいると気持ち悪く感じるのは私だけ?ライムは戯れてるもんねー……でもこの蜘蛛全てが暴れ出してたらやばかったかも……通りで坑道内でどこからかカサカサ動く音が聞こえたわけだね。
「フン、デキタゾニンゲン」
「おお、すごい!ねえねえ、これってもっと作れたりする?」
流石に断られるかなーって思ったけどどんどんとハンカチサイズやタオルサイズなど山ほど望み通りのものを作ってくれた。うん、具体的には古い罠がなくなって蜘蛛たちがどこからか(多分他の坑道から)糸を運んでくるまでかな……思わぬ収穫に頬が緩む。
「ありがとう!また罠が古くなったころに来るね。それまで元気でねー」
「……モウ、クルナ」
そういいつつもどこか嬉しそうなアラクネと別れリディたちとわかれた場所に戻る。
その後、エナが来ない間に古くなった罠でせっせと編み物をしているアラクネを見たものがいるとかいないとか……面倒で手もつけず住処を変えていたとは思えないほど楽しそうだとか……
まあ、エナは割と頻繁に訪れるのでそんなアラクネの姿はレアらしいけど。
◇ ◇ ◇
入り組んだ道をライムの案内で戻る……うん、これでライムが迷ったらリディたちと合流できないから、まじで頑張って!
進むうちにカーン、カーンとつるはしを振り下ろす音が聞こえてきてひと安心。
「おまたせー」
ちょっ、ブラン!私ってわかってて攻撃しようとしたね?まぁ、本気じゃないんだろうけど、ビビるからやめてほしい。
「ん、おかえり。ライムの用、なんだった?」
「なんかねー、アラクネが狂暴化するのを止めてほしかったみたい」
「アラクネですかっ……」
もう、ユリスさんたらそんなことで驚きすぎ……いい加減慣れてもいい頃なのに。
「あ、でもなんとかなったから安心して。ジャジャーン!これも作ってもらいましたー」
「ん、布?」
「そうそう。古くなった罠に使ってた糸なんだって。お願いしたら編んでくれたんだー」
「ん、すごい」
あれ、ユリスさんまた固まってる……うん、スルーでいいや。
「で、リディたちは採掘できた?」
「ん、少し増えた」
「おー。じゃ、そろそろ帰るってことでいい?」
「ん」
「いーよー」
『お婿さんはいなかったけど、お友達ができたです!また来るです!』
「……はっ!はい、帰りましょう」
帰り際、女神の聖域で水の中でも結界を維持できるのかちょっと気になり、びしょ濡れ覚悟で家の近くの湖に潜ってみたら成功した。
水中は若干濁ってて見づらいけど、釣ったことのある派手な魚や見たことのない魚がうようよと泳ぐ中、なんか遺跡チックなものを発見したけど十中八九ダンジョンぽいから見なかったことにした。
一旦戻るとみんなも行きたいというので少しだけ水の中へ……ダンジョンも興味津々だったけど、今日は鉱山で疲れたし、ここならいつでも来れるからもう少し強くなってからと理由をつけて回避した。
はじめての水中もみんな楽しそうだったのでよかった。気になった物はいくつかゲットするのは忘れない。
心眼の結果、拾った石は魔石が多いと発覚した、わーい。本当は魔結晶の方が嬉しいけどねー……他はユリスさんが使えるらしいので進呈。あと、地味に鱗が結構あった。うん、ドーラにでも売りつけよう。
「あ、鉱石は重たいので向こうの家で渡しますね」
「はい、お願いします」
「ん、ユリス……魔結晶と交換ね」
「うん、リディわかったよ」
ユリスさんの工房のそばに大量の鉱石を出し、魔結晶は私たちがもらうことになった。ユリスさんはしばらく工房にこもって鉱石からインゴットにしたり、それで何かを作ってみるらしい。ひとまず、胸当てや腕当ても問題なかったのでその場で微調整を済ませた。
「というわけなので今日から5日ほど、食事の支度ができそうにないんですが……」
がーん!食事担当がユリスさんだってことすっかり忘れてたよ……どうしようかな?
「ん、わたしに任せて」
「リディ……」
リディに後光が射して見える……
「ありがとう。もし大変なら黄金の羊亭にお願いしてもいいし……」
「ん、でも美味しい魔物ないから……」
「いや、リディ。別に美味しい魔物持って行かなくても普通に行っていいんだよ」
「ん、わかった」
あなたにおすすめの小説
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について
水定ゆう
ファンタジー
【火曜、木曜、土曜、に投稿中!】
千年前に起こった大戦を鎮めたのは、最強と恐れられ畏怖された「魔女」を冠する魔法使いだった。
月日は流れ千年後。「永久の魔女」の二つ名を持つ最強の魔法使いトキワ・ルカはふとしたことで眠ってしまいようやく目が覚める。
気がつくとそこは魔力の濃度が下がり魔法がおとぎ話と呼ばれるまでに落ちた世界だった。
代わりに魔術が存在している中、ルカは魔術師になるためアルカード魔術学校に転入する。
けれど最強の魔女は、有り余る力を隠しながらも周囲に存在をアピールしてしまい……
最強の魔法使い「魔女」の名を冠するトキワ・ルカは、現代の魔術師たちを軽く凌駕し、さまざまな問題に現代の魔術師たちと巻き込まれていくのだった。
※こちらの作品は小説家になろうやカクヨムでも投稿しています。
スナイパー令嬢戦記〜お母様からもらった"ボルトアクションライフル"が普通のマスケットの倍以上の射程があるんですけど〜
シャチ
ファンタジー
タリム復興期を読んでいただくと、なんでミリアのお母さんがぶっ飛んでいるのかがわかります。
アルミナ王国とディクトシス帝国の間では、たびたび戦争が起こる。
前回の戦争ではオリーブオイルの栽培地を欲した帝国がアルミナ王国へと戦争を仕掛けた。
一時はアルミナ王国の一部地域を掌握した帝国であったが、王国側のなりふり構わぬ反撃により戦線は膠着し、一部国境線未確定地域を残して停戦した。
そして20年あまりの時が過ぎた今、皇帝マーダ・マトモアの崩御による帝国の皇位継承権争いから、手柄を欲した時の第二皇子イビリ・ターオス・ディクトシスは軍勢を率いてアルミナ王国への宣戦布告を行った。
砂糖戦争と後に呼ばれるこの戦争において、両国に恐怖を植え付けた一人の令嬢がいる。
彼女の名はミリア・タリム
子爵令嬢である彼女に戦後ついた異名は「狙撃令嬢」
542人の帝国将兵を死傷させた狙撃の天才
そして戦中は、帝国からは死神と恐れられた存在。
このお話は、ミリア・タリムとそのお付きのメイド、ルーナの戦いの記録である。
他サイトに掲載したものと同じ内容となります。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく
タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。
最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。
スラム街の幼女、魔導書を拾う。
海夏世もみじ
ファンタジー
スラム街でたくましく生きている六歳の幼女エシラはある日、貴族のゴミ捨て場で一冊の本を拾う。その本は一人たりとも契約できた者はいない伝説の魔導書だったが、彼女はなぜか契約できてしまう。
それからというもの、様々なトラブルに巻き込まれいくうちにみるみる強くなり、スラム街から世界へと羽ばたいて行く。
これは、その魔導書で人々の忘れ物を取り戻してゆき、決して忘れない、忘れられない〝忘れじの魔女〟として生きるための物語。
ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった
仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。
そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。