異世界トリップしたら女神(見習い)でしたが一般人として自由に生きていこうと思います

瑞多美音

文字の大きさ
28 / 120
第3章

28.女神見習いと瞬間移動(2)

しおりを挟む

 「あー、疲れた……って、ここに人いたらアウトじゃん」

 危なかったー……最後まで凡ミスばっかりだったな……はぁ。

 さて、気を取り直し広場で休憩しつつ、薬草を分けようかな。

 グキュルルル……

 「そういえばご飯食べてない……」

 瞬間移動に夢中になりすぎてお昼のことすっかり忘れてた……ひと段落ついたせいかお腹の虫が激しく主張している。

 「……まずはご飯食べてからにしよう」

 以前、街で買ってから時々購入している屋台のスープと串焼き、パンも出して……
 
 「いただきます」

 もぐもぐ……やっぱ美味しい。温かい料理っていいよね。

 「ふー、ごちそうさまでした!」

 お腹もいっぱいになったし、腹ごなしに薬草を頑張って分けよう、おー。
 え? 座ったままじゃ腹ごなしにならない? いいんですよ……こういうのは気分だよ、気分。

 深い霧や森の中で採取した薬草は、それぞれ結構な量があるので半分くらい自分用に分けておく。

------

〈サーシュ草〉
 ポーションの材料になる草 病気に効果を発揮する。

〈ベニーの花〉
 ポーションの材料になる花。集中力を上げる効果がある。
 蕾のままでないと効果がなくなるため注意が必要。

〈パーシュの花〉
 ポーションの材料になる花。効果の底上げと麻痺小回復が期待できる。
 根はさらに効果が高くポーションに使用できる。

〈ファルシュ草〉
 ポーションの材料になる草 魔力全回復の効果が期待できる。
 繁殖力が弱く、ファル草と間違われやすい。

------


 「ふむふむ。掲示板に依頼があるといいけど……まぁ、なかったらその時考えよう」


 早速ギルドへ向かい掲示板をチェックーーあ、もちろん歩いてだよ?
 
 うーん、採取依頼があるにはあるけど……わたしのランクでは受けられないものばかり。

 「どうしようかな……」

 ちょうどマルガスさんが買い取り受付に戻って来たので聞いてみようかな。

 「お、エナどうした? またポーションか」
 「いえ、そうじゃなくてですね……依頼書に書かれている素材を持ってるんですけど冒険者のランクが足りなくて。その場合はどうしたらいいですかね? やっぱり諦めるしかないですよね……」
 「……どの依頼だ?」
 「えーっと……Bランクの薬草採取?」
 「はぁ……ちょっと来い」
 「……はい」

 また奥の部屋へご招待ですか……そうですか。
 
 「ちょっと待ってろ」
 「はい」

 しばらく待つと……今度はサブマスさんもいるじゃないですかー。やだー。

 「サブマス、こいつが例のエナです」
 「ああ、はい」

 例のって何だろう……わたし有名なの?
 はっ、もしや問題児認定されてるのっ!? いやいや、まさか……ね。

 「はじめまして、エナです」
 「はい、どうも。冒険者ギルドでサブマスやってるエルネストです」
 「サブマスは俺の上な。買い取り部門や受付など総括的な責任者だ」
 「はぁ……」
 「で、エナ。お前なんの薬草持ってるんだ?」
 「えーっと……前にも買い取りに持っていったパーシュの花が株ごとと、ファルシュ草……とサーシュ草とベニーの花かな?」
 「おいおい、まじかよ……どれもポーション上級以上の材料じゃねぇかっ」
 「まあまあ、マルガス落ち着いて」
 「……すまん」

 あれー、これってあんまり量があるとか言わない方がいい系?

 「それで、エナくん……いくつあるのかな」
 「あー……ふたつずつ?」

 マルガスさん、お前絶対嘘だろって顔しないでよ……嘘だけどさ。

 「……そう」
 「はい」
 「うん、状態が良ければ依頼書と同じ価格で買い取ろう。ただ、依頼は受けたことにならないけど、それでもいいなら見せてくれるかな?」
 「はい、大丈夫です」

 さすがにBランクの採取依頼を私が受けられるとか、そこまでは望んでない……これが売れるだけいいと思ってる。
 たとえギルドに買い取ってもらえなかったとしても、ストレージに保存して(ほら、腐らないし萎びないから)必要な時に自分で使うからいいんだけど……ま、買い取ってもらえるならそれはそれで助かるんだよね、金銭的に。

 とりあえず、パーシュの花とファルシュ草をふた株、サーシュ草とベニーの花を2本ずつ出してマルガスさんに渡す。

 「マルガスが鑑定してる間、少し聞いてもいいかな?」

 ぎくっ
 
 「はい、なんでしょう」
 「うん、これどこで採取したのかと思って」
 「これですか? 森のちょっと奥にあったんですよ……多分」
 「多分?」

 ぎくっぎくっ……

 「いえ、恥ずかしいんですけど……調子に乗って森に入ったら迷子になりまして」

 ええい! この際、嘘を突き通してやるわっ。

 「ふーん、そういうこと。いや、これ森の浅い部分じゃ滅多にとれないからBランク推奨なんだよ」
 「へ、へぇ……」

 おかしいな……なんだか喉がカラカラになってきた。

 「サブマス、間違いない。状態もいいぞ」
 「わかった。エナくん、あと何個あるの?」

 ぎくっ……

 「……な、ないですよ?」
 「お前わかりやすすぎ……さっきから丸わかりだぞ?」

 むー、マルガスさんそういう事言っちゃう?

 「はぁ……あと何個ほしいですか?」
 「うーん、そうだね……あと3つずつかな?」

 思ったより少ないな……いや、採取してギルド用に分けたやつその倍以上残るからね。

 「わかりました……ただし、わたしから買い取ったことは内密にしてください。目立ちたくないので」
 「まさか、本当にあるとはね。カマかけただけなんだけどな……うん、わかったよ。エナくんから買い取ったことは漏らさないから安心して」
 「お前、大概にしてくれ……」
 「……すいません」

 もう少し嘘をつく練習しときますね。え、そこじゃない?
 
 パーシュの花が5株で銀貨1枚と小銀貨5枚、ファルシュ草が5株で銀貨45枚。
 サーシュ草は5本で銀貨5枚、ベニーの花を5本で銀貨1枚と掲示板に貼ってあった依頼書のとおりだ。

 ファルシュ草はどうやら前回の株が取り合いになるほど人気だったため状態の良い株のみ買取価格が上がったらしい。へー。


 「あの……お金はできれば細かい硬貨でお願いします」
 「わかったよ」

 つぐづくファルシュ草の株って規格外なんだな……
 計 銀貨52枚と小銀貨5枚、あとは通常依頼が小銀貨3枚……え、あれれ、わたし大金持ちじゃない? これだけあればお金気にせず宿に泊まれる。わーいわーい!

 帰り際にサブマスさんからなぜか貴重な薬草の絵や説明が書かれた紙をもらった……へぇ、木の根とか木ノ実もポーションの材料になるんだ。盲点だったわ……え、これ採取して持って来いってこと?

 女神様の気まぐれも時には役に立つんだなとか失礼な事を考えつつ、便利な魔法をありがとうございます。これでこの前の恨みは無くなりましたよ。と心の中でお礼を言っておいた。



しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

神託が下りまして、今日から神の愛し子です! 最強チート承りました。では、我慢はいたしません!

しののめ あき
ファンタジー
旧題:最強チート承りました。では、我慢はいたしません! 神託が下りまして、今日から神の愛し子です!〜最強チート承りました!では、我慢はいたしません!〜 と、いうタイトルで12月8日にアルファポリス様より書籍発売されます! 3万字程の加筆と修正をさせて頂いております。 ぜひ、読んで頂ければ嬉しいです! ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 非常に申し訳ない… と、言ったのは、立派な白髭の仙人みたいな人だろうか? 色々手違いがあって… と、目を逸らしたのは、そちらのピンク色の髪の女の人だっけ? 代わりにといってはなんだけど… と、眉を下げながら申し訳なさそうな顔をしたのは、手前の黒髪イケメン? 私の周りをぐるっと8人に囲まれて、謝罪を受けている事は分かった。 なんの謝罪だっけ? そして、最後に言われた言葉 どうか、幸せになって(くれ) んん? 弩級最強チート公爵令嬢が爆誕致します。 ※同タイトルの掲載不可との事で、1.2.番外編をまとめる作業をします 完了後、更新開始致しますのでよろしくお願いします

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

狼になっちゃった!

家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで? 色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!? ……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう? これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

処理中です...