異世界トリップしたら女神(見習い)でしたが一般人として自由に生きていこうと思います

瑞多美音

文字の大きさ
67 / 120
第5章

67.女神見習い、神様と少女の出会いを見守る

しおりを挟む

 すっかり秋も深まり、木々の葉も紅く染まり外套が手放せなくなってきた頃……

------

 【交信】
 《大地神 アルネルディ》から交信されています。

    [はい(許可)] [いいえ(拒否)]

------

 「あれ、アルさん……」

 [はい]を選択する。

 『エナちゃん、久しぶりじゃ!』
 「アルさん、お久しぶりです」
 『わし、今日降臨したんじゃ! 夕方にはそっちに行くからよろしくの。じゃあ後でな……』

 
------

  【交信】
 《大地神 アルネルディ》との交信を終了しました。

------

 「あ、返事する前に切れちゃったよ……」 

 もうアルさんの降臨時期なんだ……なんかあっという間だなぁ。つい、この前帰ったような気がしてた。
 どうしよう……とりあえずリディ達に神様についての説明とここに来ることを話さないと。

 「エナ、おはよう……」
 「あっリディ、ブランおはよう。ちょうどいいところにっ」
 「ん、なに?」 

 すぅ、はぁー……よしっ

 「あ、あのね……この国には神様が降臨するんだけどそのことは知ってるかな?」
 「……知らない」
 「そっか……人が少ない土地やそもそも神を信じない人が多いとか信仰が薄い地では神の降臨の頻度が開くらしいから、帝国ではあまり信仰されてなかったのかもね……」
 「ん、多分そう……」
 「降臨するためにはある程度の信仰が必要で、それと引き換えに降臨しているらしいんだけど……リタール王国では色々な神様がたくさんの街に降臨してるの」
 「……ん」
 
 リディはわかったようなわからないような微妙な顔だ。ブランは珍しく真剣に話を聞いている。

 「もちろんランヴィの街にも降臨するんだけどその時になったら教会へ行ってみようね」
 「ん」
 「で……本題はここからなんだけど、今日の夕方に神様がここに来ます」
 「え……」
 「その神様はリディと出会う前には降臨期間中この家に泊まってたのね……だから今回もそのつもりだと思うの」
 「……神様って家に泊まるの?」
  
 あー、まずはそこなんだ。なんで知り合いなのとかじゃなく……

 「うん、なんか教会に泊まるの飽きたんだって……」
 「そう……」
 「どうして、エナと知り合いなの?」
 「んー……まぁ、訳は色々とあるんだけど……困ってた時に助けてもらったからかなぁ」
 「そっか……わかった」
 「え、わかったの?」

 こんな説明で納得しちゃうなんて、どれだけ私を信用してくれてるのさ。

 「ん……でも、お部屋どうしよう。私、リビングで寝る?」

 おっと……ブランさんがめっちゃ睨んで
る。お前がリビングだよな?的視線だ。

 「あー……それは多分アルさんが解決してくれると思う。それがダメなら今回は教会に泊まってもらうから大丈夫だよ」
 「アルさん……?」
 「そう、神様の名前……優しい神様だから緊張しなくても大丈夫だよ。それに、リディとブランの指輪もアルさんがくれたものなんだよ」
 「ん、わかった……会った時にお礼言う」
 

◇ ◇ ◇


 夕方……
 
 「来たぞー、おーい!エナちゃーん」
 「あ、アルさん来たっ……リディ大丈夫?」
 「ん、へいき」
 「はーい!」

 外に出るとアルさんがニコニコして立っていた。まさに好々爺って感じ……
 
 「アルさん、お久しぶりです」
 「うむ」
 「えっと、リディ……こちらは大地神アルネルディ……アルさんだよ。アルさん、こちらはリディで魔物がブランです」

 珍しくブランが大人しい。やっぱ、神様相手だと大人しくなるものなのかな。

 「ふむ、怖がることはないぞ……リディちゃんの生まれた国はわしらがなかなか降臨せんからのぉ。わしのことは好きに呼ぶがよいアルちゃんでもアルおじいちゃんでも……」
 「ん……リディ、よろしくアルさん。あと、指輪ありがと」
 「うむ。役に立ったのじゃな……さて、そういうことじゃからわしの部屋を作らんといけんな」
 「あー、そうですね……」

 やっぱり泊まることに変わりはないのね。

 「ふむ。躊躇したくなる気持ちもわかるがの……エナちゃんにいいことを教えてやろう。わしもリディちゃんに浄化をかけられるんじゃぞ」
 「え、でもあれって1日に1度しか効果がないんじゃ……」

 そう言うとアルさんは意味ありげにニヤリと笑い……

 「ふぉっふぉっふぉっ……それはそうじゃが。他の者でも試してみたのかの?」
 「いえ、試してはないですけど……えっ。じゃあもしかして……」
 「ふむ、あれはひとりにつき1日1回効果があるんじゃ……つまり、わしがお泊まりすれば毎日2人分の効果が得られるんじゃぞ?」

 なんてこった……ますますアルさんを泊めないわけにいかなくなった。

 「リディ……アルさんが降臨期間中この家に泊まってもいいなら、毎日浄化してくれるみたいだけど」
 「ん……お願いします」
 「ふぉっふぉっふぉっ……よし!わし張り切っちゃうぞ!」

 その言葉通りアルさんは家をさらに改築し、部屋をひと部屋増やしそれぞれの部屋にはクローゼットまで完備された。
 おおー……少し服をかけておこうかな。雰囲気的に。

 台所がアップグレードし、火を使っても前より安全になったらしくさらには冷蔵庫と冷凍庫ができた。

 お風呂はひとまわり大きくなり、家具もわずかにアップグレードされている。
 おおー、ソファの座り心地が抜群ですね。
 
 そして、ボロかった外壁も大分改善されている……頑張って壁直した意味よ…… 
 
 「ん、すごい……」
 「あっ、そっか……リディには言ってなかったけど、こうやって改築してくれるからリディはそのまま部屋で寝ていいんだからね」
 「ん、わかった」


◇ ◇ ◇
 
 アルさんの滞在中、食事に関してはテイクアウトが増え……楽ができたことは言うまでもない。
 そして、なぜかお茶を一緒に飲むため、アルさん専用のティーカップまで持ち込まれた。
 アルさんのオススメのお茶も差し入れてもらったりしてお茶の時間が日課へと加わっていた。穏やかで優しい時間でなんだか癒されるんだよね……

 アルさんは作り置きのジャムを大層気に入ったらしく、砂糖やここらで取れない果物なんかを大量に提供してくれた。いろんな街で購入してきたらしい。
 おかげでいちごやブルーベリーなど、ジャムのレパートリーが増え、ジャム作りだけは1人でも失敗しなくなってきた。わーい。

 まあ、リディのほうが手際がいいんですけどね……ぐすん。


 他にもドーラの防具屋へブランのリュックの試作品を見に行ったら既に出来上がっていて驚いたり……うん、すごくいい出来だった。試作じゃなくて完成品だったよ。さすがプロだけあって、ブランの羽ばたきの邪魔にならないよう細部に工夫が施されていた。
 それをブランが自慢げに見せつけてきたり……それにより少しうざいが安全な金庫番が誕生した。

 薬草採取、ポーションの納品、リディと一緒に畑の世話なんかをしているうちにあっという間に賑やかで楽しい日々が過ぎ去り……アルさんの降臨期間が終わる日になっていた。

 「ふむ。残念じゃが今日で降臨期間は終わりじゃ」
 「そうですか……」
 「ん……次はいつ来る?」

 リディもすっかりアルさんに心を開いていたので寂しいようだ。

 「そうじゃな……ふた月後くらいかの」
 「ん、わかった」

 なんと、アルさんは宿代だと言ってリディのショルダーバッグをマジックバッグに作り変えたらしい。しかも、認識阻害と専用登録でリディ以外使えない上鑑定されてもマジックバッグ(小)と出るらしい。すげえ……

 さらに畑の土に加護を授けてくれた。大地神だけあってアルさんの加護をもらうと作物の収穫率や品質が上がるとか。 
 アルさんは帰る直前にドサドサッといろいろと見たことのあるものや、よくわからない素材やら石やらを大量に置き土産として置いていってくれた。
 いろいろと試してみるとよいぞと言っていたので……また今度、実験してみようと思う。

 もちろんリディとブランにも加護を授けてあるから安心していいって……

 「エナちゃん、次もよろしくのぉ……またな、リディちゃん、それにブランよ」
 「ん、またね……」 
 「ありがとうございました」
 「困ったらすぐに連絡するんじゃぞ?」
 「はい」

 アルさんは別れを惜しみつつ……天界へ戻っていった。
 
 こうして、また2人と1羽の生活に戻ったのだった……


しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

神託が下りまして、今日から神の愛し子です! 最強チート承りました。では、我慢はいたしません!

しののめ あき
ファンタジー
旧題:最強チート承りました。では、我慢はいたしません! 神託が下りまして、今日から神の愛し子です!〜最強チート承りました!では、我慢はいたしません!〜 と、いうタイトルで12月8日にアルファポリス様より書籍発売されます! 3万字程の加筆と修正をさせて頂いております。 ぜひ、読んで頂ければ嬉しいです! ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 非常に申し訳ない… と、言ったのは、立派な白髭の仙人みたいな人だろうか? 色々手違いがあって… と、目を逸らしたのは、そちらのピンク色の髪の女の人だっけ? 代わりにといってはなんだけど… と、眉を下げながら申し訳なさそうな顔をしたのは、手前の黒髪イケメン? 私の周りをぐるっと8人に囲まれて、謝罪を受けている事は分かった。 なんの謝罪だっけ? そして、最後に言われた言葉 どうか、幸せになって(くれ) んん? 弩級最強チート公爵令嬢が爆誕致します。 ※同タイトルの掲載不可との事で、1.2.番外編をまとめる作業をします 完了後、更新開始致しますのでよろしくお願いします

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

狼になっちゃった!

家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで? 色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!? ……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう? これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

処理中です...