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信仰心の厚い相談者
9話
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ーーもうお昼ですよ~! 媛ちゃんが起きるより先に、苑子さん来ちゃったよーっ! ーー
そうそう。昨晩は苑子さんの夢の中にお邪魔して、草餅を一緒に作ることになった。レシピサイトに投稿するなんて、我ながらナイスアイディアだと思う。写真は璃三郎さんが撮ってくれるのかな。そういうのも得意そ……
「こらっ、いつまで寝坊助なんだ! お天道様が許しても、この神と崇め奉られる璃三郎が容赦はしない! 」
「ん? 歌舞伎の見栄を切ってるんですか」
「この前、幼馴染に連れてってもらってね……って! そうじゃないよ!いくらなんでも熟睡しすぎ! 苑子さん、台所で待ってるよ! 」
「ええええええ!! 」
♢
「おはようございます」
「まぁ、昨日の晩と同じ格好なのね。ごきげんよう」
「媛ちゃん、さっきまで寝てたんですよ」
「璃三郎さん、そんなこと言わないでくださいよ! 」
「あら、神様は璃三郎さんと言うのねぇ」
「すみませんっ! つい」
「良いのよ。昨日の夢をね、思い出したの。起き抜けに手に握りしめてた折り鶴を見た時に、何もかも。お若いお二人が私たちの家に訪ねてきてくれた。分かったの。神様は神様なんだけど、老いぼれた私の夢を叶えてくれようとする優しい青年なんだって……。私の知ってる神様は無慈悲だわ。私の為に泣いてくれたりはしないわ」
「ふふ、俺もその方がやりやすいです」
「まぁ、現代風な神様ね」
璃三郎さんは、号泣していたことを蒸し返されて、気恥ずかしそうである。人と人としての立場で、2人は対等になったんだ。
あれ……? そもそも璃三郎さんはどうして神様と呼ばれているんだろう? 異能が使えるから? 神様は異能者の数だけいるのかな。
「人様のお勝手で不躾なこと言うけれど、このよもぎは朝摘んだばかりなの。新鮮なうちに草餅にしてしまいましょ」
まるで夢の中からそのまま飛び出てきたみたいに、明るい苑子さんがいる。
「夢の影響が現実にも及ぼされる時もある。特に今日は山場だ」
苑子さんが調理器具を確認している間に、そっと璃三郎さんに耳打ちされた。
なるほど、最近体が動くようになったと言うのも、現実より夢の世界の自分の存在が強くなっていたからなんだ。
「やっぱり、無かったら困ると思って用意してきて正解ね! はい、媛さんには私の手縫いのエプロンよ。うふふ」
舞い上がって少女のよう。仕草の一つ一つが可愛い苑子さんがいる。
「俺は動画とか写真とか撮るから」
「え!? 手伝わないですか? 」
「いやぁ、カメラマンはいつでも忙しいからなぁ」
苑子さんの言う通り、冷蔵庫もマヨネーズと醤油くらいしかなくて、調理器具もとりあえず買い揃えたように仕舞ってあった。璃三郎さんは私が来るまで、ここで一人で暮らしていたのかもしれない。
そうそう。昨晩は苑子さんの夢の中にお邪魔して、草餅を一緒に作ることになった。レシピサイトに投稿するなんて、我ながらナイスアイディアだと思う。写真は璃三郎さんが撮ってくれるのかな。そういうのも得意そ……
「こらっ、いつまで寝坊助なんだ! お天道様が許しても、この神と崇め奉られる璃三郎が容赦はしない! 」
「ん? 歌舞伎の見栄を切ってるんですか」
「この前、幼馴染に連れてってもらってね……って! そうじゃないよ!いくらなんでも熟睡しすぎ! 苑子さん、台所で待ってるよ! 」
「ええええええ!! 」
♢
「おはようございます」
「まぁ、昨日の晩と同じ格好なのね。ごきげんよう」
「媛ちゃん、さっきまで寝てたんですよ」
「璃三郎さん、そんなこと言わないでくださいよ! 」
「あら、神様は璃三郎さんと言うのねぇ」
「すみませんっ! つい」
「良いのよ。昨日の夢をね、思い出したの。起き抜けに手に握りしめてた折り鶴を見た時に、何もかも。お若いお二人が私たちの家に訪ねてきてくれた。分かったの。神様は神様なんだけど、老いぼれた私の夢を叶えてくれようとする優しい青年なんだって……。私の知ってる神様は無慈悲だわ。私の為に泣いてくれたりはしないわ」
「ふふ、俺もその方がやりやすいです」
「まぁ、現代風な神様ね」
璃三郎さんは、号泣していたことを蒸し返されて、気恥ずかしそうである。人と人としての立場で、2人は対等になったんだ。
あれ……? そもそも璃三郎さんはどうして神様と呼ばれているんだろう? 異能が使えるから? 神様は異能者の数だけいるのかな。
「人様のお勝手で不躾なこと言うけれど、このよもぎは朝摘んだばかりなの。新鮮なうちに草餅にしてしまいましょ」
まるで夢の中からそのまま飛び出てきたみたいに、明るい苑子さんがいる。
「夢の影響が現実にも及ぼされる時もある。特に今日は山場だ」
苑子さんが調理器具を確認している間に、そっと璃三郎さんに耳打ちされた。
なるほど、最近体が動くようになったと言うのも、現実より夢の世界の自分の存在が強くなっていたからなんだ。
「やっぱり、無かったら困ると思って用意してきて正解ね! はい、媛さんには私の手縫いのエプロンよ。うふふ」
舞い上がって少女のよう。仕草の一つ一つが可愛い苑子さんがいる。
「俺は動画とか写真とか撮るから」
「え!? 手伝わないですか? 」
「いやぁ、カメラマンはいつでも忙しいからなぁ」
苑子さんの言う通り、冷蔵庫もマヨネーズと醤油くらいしかなくて、調理器具もとりあえず買い揃えたように仕舞ってあった。璃三郎さんは私が来るまで、ここで一人で暮らしていたのかもしれない。
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