ぽんこつ美少女聖女さま!! 野良猫聖女はお飾り聖女じゃありません! ありませんったらありませんよ?

友坂 悠

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野良猫聖女、恋をする。

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 ♢ ♢ ♢


「おはようアンナ。今日もかわいいね」

「ありがとうございますレイモンドさま」

 そう、にっこりと笑うアンナマリナ。
 よくわからないままお城のようなお屋敷に連れてこられ、かわいく着飾られた彼女。
 毎日侍女さんによってお風呂で磨き上げられ、肌を整えられるうちに、そのかわいさに磨きがかかっていた。

「わぁ。今朝のごはんも美味しいデス」

 ここにきてから毎日、二人で朝食がいただけることがアンナにはとても嬉しくてしかたがなかった。
 出てくる食事も美味しいものばかり。
 でももちろん、レイモンドと一緒にいただくごはんは何よりも美味しく感じた。

「それはよかった。昼間はいそがしくて一人にしてしまうから、せめてこうして朝だけでもともに摂れて私も嬉しいよ」

 そう、にこりと微笑むレイモンド。
 アンナはレイモンドの年齢を知らないけれど、初めて出会った時からもうすでに大人だったから、すくなくとも今はもう30歳に近いくらいじゃないかなぁと漠然と感じている。
 自分が今年十五歳。倍くらい年齢差があるのかなぁと。自分みたいな子供は恋愛の相手にはならないのだろうなぁと。そう少し悲しく感じて。
 幼い頃野生の猫のように育ったせいでなかなか人間の世界に馴染めなかったけれど、アカメディアで同年代の子供と接していくうちに、こどもながらに社会常識というものを学んでいった。
 皆が恋だの愛だのと騒ぐのも、なんとなくはわかるようになって。
 自分がレイモンドに持っている感情も、もしかしたらそんな「恋」というものじゃないのか、と、そう思い始めていたけれど。
 それでも。

(レイモンドさまは、あたしのことなんてそんなふうな目では見てくださらないんだろうなぁ)

 そんなふうにも感じていた。

 それ、と。

「レイモンドさま。あたし、何かレイモンドさまの役に立つ事がしたい。このまま何もしないでいるのは申し訳ないの。お願いです。何かお仕事を与えてください。なんでもいいんです!」

 ここに来てからずっと考えてきた事。
 何もしない、は、もう嫌。
 だから。


「ふむ。じゃぁ君には日中教会に行ってもらおうか。君の能力を伸ばすためにもね」

「ありがとうございます! レイモンドさま!!」

「じゃぁ教会には連絡をしておくから、行くのは明日からにしようか」

 そう優しく言って席を立つレイモンド。彼の後ろ姿を眺めながら、胸の奥がきゅうっと締め付けられるような気がするアンナ。
 せめて、役にたつ自分でありたい。
 自己満足かもしれないけど、それでも。
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