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野良猫聖女、誓う。
しおりを挟む晩御飯をいただいてベッドに入ったところでレイモンドさまが帰宅したのがわかった。
いつもよりなんだかバタバタしている?
いつもなら、アンナが寝ている時間にこんな大きな物音は立たないのに。
どうしたんだろうとねまきの上からガウンを羽織り、ロビーまで出てみる。
お仕事で何かあったんだろうか。
何か大変な事が起こったのだろうか。それが心配で。
「セバス、すまない。私は今からまたすぐ行かなければならなくなった」
「こんな夜更けにでございますか。ご用意は如何程必要でございますか?」
「ああ、数日は戻れそうにない。第一級戦闘装備で頼む。それと……」
ロビーに着くとレイモンドさま、執事のセバスさんに色々と指示を出しているところだった。
「アンナの事を頼む。セバス」
「承知しました。旦那様、お気をつけて」
(え? どういう事? 戦闘装備? そんな、でも)
セバスさんは詳しく尋ねる様子は無いようだった。
(嫌だ。嫌だ。嫌!)
「レイモンドさま!! 危険な場所に行かれるのですか!?」
「アンナ、起きてたのかい」
「ごめんなさい、立ち聞きするつもりじゃなかったんです。なんだか胸騒ぎがして起きてきてみたら」
「そっか。ごめんね。私はちょっとこれから出かけなきゃいけないけれど、君はここに残って待っていてくれ。なに、数日の話さ。すぐ戻ってくるから」
「嘘! 第一級戦闘装備っておっしゃったの、聞こえました。危険な所にいらっしゃるんでしょう? ダメですそんなの、レイモンドさまが危険な目に遭うのにあたし、黙ってここにいるなんてできません!」
「うーん、こう見えても私もけっこう魔力が使えるんだよ? だからね」
「ダメですダメです。行くなら、あたしも連れていってくれなきゃ嫌です! あたし、足手まといにはなりません! 絶対にレイモンドさまのお役に立ちますから!!」
アンナの瞳からは大粒の涙が溢れ出していた。
レイモンドはハンカチを出し、彼女の涙を拭って。
「じゃぁ、一緒に行こう。君の聖女のチカラは確かに今回必要になるかもしれない。セバス! 彼女の装備も頼む!」
「承知いたしました。少々お待ちくださいませ」
そう言うと、さっと奥に引っ込むセバス。
「レイモンドさまぁ。ごめんなさい、わがまま言って……」
「いいよ、アンナ。君は私が守るから」
そう言って優しく頭を撫でてくれるレイモンドさまに。
(ううん、あたしが絶対にレイモンドさまを守るから)
そう誓った。
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