ムーンライトセレナーデ 〜あなたに寄り添いたい〜

友坂 悠

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偽善、とか、善、とかじゃない。

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 最初の農家さんで洗面器にお湯を貰って。

 タオルを浸して猫を拭いてあげた。

 何回か濡らして撫でるように拭いて。そのうち綺麗な白い毛の子が現れた。うん。かわいいねって撫で回すと嬉しそうに頭を擦りつけてくる。

 つけていたピンクの首輪にはミーコと書かれてた。

「ミーコちゃん。かわいいねーおうちはどこかなぁ? すぐわかるといいねぇ」

 そう撫でながら囁くと、農家さんのお兄さんが寄ってきた。

「まみちゃん、そのこ、もしかしたら裏のシズさんの所のねこかもしれないよ。ちょっと待ってな。シズさん呼んでくる」

 そういうとお兄さん走って行った。

「そっか、ミーコはシズさんちのこかもかぁ。早くおうち帰れるといいねー」

「にゃぁ」

 あはは。ミーコが返事をしてくれたことが嬉しくて。
 わたしはたぶん、おもいっきりの笑顔になっていたとおもう。



「ミーコ! ああ、ミーコ。生きていたんだね。良かった……」

 走るように、精一杯の早足でやってきたたぶんシズさん。おばあちゃん。

 わたしがミーコをそおっと渡すと、愛おしいそうに頬ずりして涙を流して。

「ありがとうお嬢ちゃん。水に呑まれた時にこの子と逸れてもう生きた心地がしなくって。ああ、生きててくれて良かった。本当に嬉しい」



 シズさんは何度も何度もお辞儀をして、ミーコを抱いて帰って行った。

 ほんと、良かった。

 ミーコが家族の元に帰れたことも。

 シズさんが喜んんでくれた事も。

 そして。

 こんなわたしでも、ここに来て良かった。

 そう、思えた事も。

 偽善、とか、善とか、じゃ、ない。

 わたしがここに来た事で、一つ、幸せな事が有ったことが、本当に嬉しい。



 なんだか清々しい気持ちになれた。

 これで今夜のライブも頑張れそう。

 みんな、元気になってくれるといいな。そう願って頑張って歌おう。



 夕焼けがすっごく綺麗。わたしは軽やかな足取りで公民館に急いだ。
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