6 / 7
Little good story
しおりを挟む
メリー ライブ パレードが終わって年末まで少し時間が出来た。
わたしも結構お仕事が増えてきたけど、まだ年末のテレビに呼ばれるほどではないので地方含めあちこちのライブに遠征してる。
今回は名古屋まで行ってきた。
若手の歌手がいっぱい出演するライブ。クリスマスライブだ。
マネージャーさんがずっと着いてきてくれるから一人で行ってこいじゃないだけマシなのかな。
今のご時世、仕事の連絡はスマホで、あとは現地まで自力で行けって所も多いらしい。
地方だと交通費とか宿泊費とかかかるしまだ16歳のわたし一人だと予約も無しに泊めてくれるホテルもなかなか無い。
家出少女だって補導とかされても困るし、お母さんに心配もかけたく無い。
流石にマンガ喫茶とかは避けたいかな。日中に時間潰しで入った事はあるけど深夜だと怖い。
知らない男性とかがいっぱいなあんなところじゃ眠れないしね。
映画とかで家出少年とかが利用してるの見たことあるけど、わたしは無理かなぁ。
「次は年末年越しライブだから。幸楽苑ホールで31日。本番18時リハ14時ね。どうしよっか、事務所にお昼集合か現地13時がいいかどっちがいい?」
「ああ、それなら現地13時が助かります。わたしのおうちからだとどっちも似たような距離なので」
「じゃぁそういう事で。そこまでは数日オフだけど何か予定はあるの?」
「あはは、何にもないんですよー。寂しい人生なんです」
「まみちゃんまだ若いのに。そういうのは僕みたいな年齢になってからいう台詞かな」
「えー。時田さんってまだ若いしかっこいいからモテるでしょ?」
「出会いがないんだよね。まさかタレントに手を出す訳にもいかないし」
まじめなんだ。時田さん。
優しいしけっこうハンサムだし好きになる子おおい気がするのに。
「まみちゃんこそ。うちは恋愛ダメなんて言わないからさ。まあいいヤツ捕まえてよ」
「そうですよねぇ。恋愛禁止条例とか無いですしうちの事務所。そういう面ではいい事務所なんですけどねー」
「そういう面だけ?」
「あは。いい事務所ですよー。わたしアオイプロで良かったって思ってます」
これは本音。
弱小だしお金の力で新人売り出しとかはあんまりしないけど、それでもやっぱりいい事務所。社長もちょっと変だけどいい人だし。
この半年、いろんなお仕事させられたけど、みんないい思い出だ。
「じゃぁ一旦事務所に戻って社長に報告、で解散ね。会社に戻るまでが遠征だからねー」
「はい。マネージャー」
駅のホームでそんな話をして、わたしたちはアオイプロの事務所に向かった。
タクシーを拾って移動。
どうやら多分自社ビル? 葵ビルの地下駐車場までタクシーで乗り付け、エレベーターに乗る。
15階にある事務所の入り口に到着したところで、わたしはひとつ深呼吸をして。
「栗宮まみ、ただいま帰りましたー」
そう大きな声で挨拶しつつ扉を開けた。
☆
「お疲れ様。まみ、仕事が入ったぞ」
え?
すっごくきになる笑顔でそう話す裕貴社長。何企んでるんだか。
「テレビ局からオファーが入った。石山市の猫助けのエピソードな、あれを今年のいい話スペシャルで取り上げて貰えることになった。現地から住人とまみの再会を生で流すそうだ」
えーーーー?
ちょっとまって、そんないかにもなヤラセ……。
「わたし、いやです……。そんな事のためにあの子助けたんじゃありません」
「わがまま言うんじゃ無い。もう受けた仕事だ。変更はない」
「そんな……」
「それになまみ、これは別に俺が仕掛けた話とかじゃないんだぞ? 住人からの投稿があってテレビ局が動いたんだ」
「え……?」
「手紙のコピーも貰ってある。ほらこれ見てみろ」
そう言ってA4サイズの紙をひらっとよこす社長。
そこには。
差出人はあの時の農家さんのお兄さんっぽい。しづおばあちゃんがわたしに感謝してて会いたがってる、いい話スペシャルで取り上げてくれって。
そんな事が書かれてた。
あは。
わたしがやったことは間違ってなかった。
ちゃんと役にたってたんだって、そう思ったら少し心が温かくなった。
じわっと涙が滲み、でも、我慢する。
「おまえなー、俺のこと疑ってたろ? 別に売名とかでやらせさせようとか思ってないから。信じろ?」
「ありがとうございます社長……、ごめんなさい」
どこまで本当かちょっとわからない社長だけど、でも。
うん。
わたしこの事務所で良かった。
甘いかもだけどでも。
うん。がんばろう。
いい話スペシャルは29日の日曜日。
そのあと年越しライブが31日。
今年もあとわずか。
ほんと、みんな、ありがとう。
わたしは元気に頑張ります!
End
わたしも結構お仕事が増えてきたけど、まだ年末のテレビに呼ばれるほどではないので地方含めあちこちのライブに遠征してる。
今回は名古屋まで行ってきた。
若手の歌手がいっぱい出演するライブ。クリスマスライブだ。
マネージャーさんがずっと着いてきてくれるから一人で行ってこいじゃないだけマシなのかな。
今のご時世、仕事の連絡はスマホで、あとは現地まで自力で行けって所も多いらしい。
地方だと交通費とか宿泊費とかかかるしまだ16歳のわたし一人だと予約も無しに泊めてくれるホテルもなかなか無い。
家出少女だって補導とかされても困るし、お母さんに心配もかけたく無い。
流石にマンガ喫茶とかは避けたいかな。日中に時間潰しで入った事はあるけど深夜だと怖い。
知らない男性とかがいっぱいなあんなところじゃ眠れないしね。
映画とかで家出少年とかが利用してるの見たことあるけど、わたしは無理かなぁ。
「次は年末年越しライブだから。幸楽苑ホールで31日。本番18時リハ14時ね。どうしよっか、事務所にお昼集合か現地13時がいいかどっちがいい?」
「ああ、それなら現地13時が助かります。わたしのおうちからだとどっちも似たような距離なので」
「じゃぁそういう事で。そこまでは数日オフだけど何か予定はあるの?」
「あはは、何にもないんですよー。寂しい人生なんです」
「まみちゃんまだ若いのに。そういうのは僕みたいな年齢になってからいう台詞かな」
「えー。時田さんってまだ若いしかっこいいからモテるでしょ?」
「出会いがないんだよね。まさかタレントに手を出す訳にもいかないし」
まじめなんだ。時田さん。
優しいしけっこうハンサムだし好きになる子おおい気がするのに。
「まみちゃんこそ。うちは恋愛ダメなんて言わないからさ。まあいいヤツ捕まえてよ」
「そうですよねぇ。恋愛禁止条例とか無いですしうちの事務所。そういう面ではいい事務所なんですけどねー」
「そういう面だけ?」
「あは。いい事務所ですよー。わたしアオイプロで良かったって思ってます」
これは本音。
弱小だしお金の力で新人売り出しとかはあんまりしないけど、それでもやっぱりいい事務所。社長もちょっと変だけどいい人だし。
この半年、いろんなお仕事させられたけど、みんないい思い出だ。
「じゃぁ一旦事務所に戻って社長に報告、で解散ね。会社に戻るまでが遠征だからねー」
「はい。マネージャー」
駅のホームでそんな話をして、わたしたちはアオイプロの事務所に向かった。
タクシーを拾って移動。
どうやら多分自社ビル? 葵ビルの地下駐車場までタクシーで乗り付け、エレベーターに乗る。
15階にある事務所の入り口に到着したところで、わたしはひとつ深呼吸をして。
「栗宮まみ、ただいま帰りましたー」
そう大きな声で挨拶しつつ扉を開けた。
☆
「お疲れ様。まみ、仕事が入ったぞ」
え?
すっごくきになる笑顔でそう話す裕貴社長。何企んでるんだか。
「テレビ局からオファーが入った。石山市の猫助けのエピソードな、あれを今年のいい話スペシャルで取り上げて貰えることになった。現地から住人とまみの再会を生で流すそうだ」
えーーーー?
ちょっとまって、そんないかにもなヤラセ……。
「わたし、いやです……。そんな事のためにあの子助けたんじゃありません」
「わがまま言うんじゃ無い。もう受けた仕事だ。変更はない」
「そんな……」
「それになまみ、これは別に俺が仕掛けた話とかじゃないんだぞ? 住人からの投稿があってテレビ局が動いたんだ」
「え……?」
「手紙のコピーも貰ってある。ほらこれ見てみろ」
そう言ってA4サイズの紙をひらっとよこす社長。
そこには。
差出人はあの時の農家さんのお兄さんっぽい。しづおばあちゃんがわたしに感謝してて会いたがってる、いい話スペシャルで取り上げてくれって。
そんな事が書かれてた。
あは。
わたしがやったことは間違ってなかった。
ちゃんと役にたってたんだって、そう思ったら少し心が温かくなった。
じわっと涙が滲み、でも、我慢する。
「おまえなー、俺のこと疑ってたろ? 別に売名とかでやらせさせようとか思ってないから。信じろ?」
「ありがとうございます社長……、ごめんなさい」
どこまで本当かちょっとわからない社長だけど、でも。
うん。
わたしこの事務所で良かった。
甘いかもだけどでも。
うん。がんばろう。
いい話スペシャルは29日の日曜日。
そのあと年越しライブが31日。
今年もあとわずか。
ほんと、みんな、ありがとう。
わたしは元気に頑張ります!
End
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる