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金色の乙女。

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 幸い落ちた地面は柔らかい土。無事だといいけどと思いつつ急いで駆け寄ってみたレイアは気絶してるみたいだったけど、手のひらと膝をすりむいているみたい。
 ああ、足首が変な風に曲がってる。
 これは骨折してるかも、だ。

 もう。
 大人しいんだかおてんばなのかわかんないけどふにゃぁだ。
 こんなにきれいなお人形みたいな子が、肌に傷が残るとか、ちょっと勘弁。

 あたしはレイアに近づいてその傷口を舐めると、どうしようかこれはおうちの人を呼んでくるべきか、そう迷って。

「うう……」

 そう苦しそうな吐息を漏らす彼女をほかって置けなくて。

 前世のあたしだったらこんな怪我簡単に治してあげたのに。

 前世のあたしだったら……。

 そんな想いに包まれたところで。



 身体中の毛が逆立ち、ふんわりと金色に光出した。


 もしか、して……。


 あたし、前世で聖女と呼ばれてた。
 あたしに治せない怪我はなかった。
 治せない病気もなかった。

 癒しのオーラ。
 金色《こんじき》の乙女《おとめ》。
 そう呼ばれ。

 全身から溢れ出す金色《こんじき》のオーラを舌を伝ってレイアに注ぐ。

 あたしが舐めた所から傷が塞がり。

 あたしが舐めた所の骨折が癒える。

 最後にほっぺをぺろっと舐めると、苦しそうだったその表情が柔らかい笑みに変わった。



 よかった。
 これで、大丈夫。


 ちょっとお洋服は泥だらけになっちゃったけど。
 ちょっとふわふわの髪に枝が絡んでる、けど。

 もう彼女はすやすや天使の笑顔で眠っている。

 あたしもなんだかすごく疲れた。

 転生して初めてチカラを使ったのだ。

 この身体にも負担が大きかったのかな。

 とにかくすっごく疲れ切ったあたしは、横になって眠っているレイアの胸の上にちょこんと乗ると。


 そのまま、丸くなって眠ってしまった。

 金色の毛はもう普段通りのクリーム色のもふもふに戻っていた。
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