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魔法の練習。

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「ミーシャ、みーしゃ、そろそろおきないかなぁ?」

 可愛らしい声であたしを起こしてくれるレイア。

 あたしは両前足をふにゃーって伸ばしてノビをする。

 ——おはよーレイア。

 そう念話を送るとふしゃふしゃって頭を撫でてくれた。

「じゃぁお庭にいこー」

 そういうとレイアはあたしの脇の下に手を突っ込んでひっぱると、くるっと前でかかえて抱いてくれて。

 ちょうどレイアの左手にあたしの前足がちょこんと乗って。

 後ろ足は右手の腕の上。

 そんな感じの抱っこをされて、あたしはお庭に連れていかれた。

 すれ違うメイドさんたちがこちらを見て微笑ましそうな顔をしてるのも、お人形みたいなかわいいレイアがぬいぐるみみたいなあたしを抱いてひょこひょこ歩いているからだろう。



 お庭に出ると池の手前にグリーンのカーペットがひかれてた。

 たぶん、あそこで遊ぶからってメイドさんに頼んだっぽい。

 あれならレイアがしゃがんでも怪我とかしないしね。


 靴を脱いでカーペットに上がると、ぽんってあたしも飛び降りた。

 ちょっと背中を擦り付けてみたけど。

 うん。このカーペット毛足がいい感じ。

 気持ちいい!


 レイアも一緒になってゴロゴロ転がってるけど。

 ——ああ、まだ幼いとはいえ侯爵令嬢がこんなお庭で転がってるとみっともないよ?

 自分のことは棚に上げてそういうと。

「えー。ミーシャは良くてわたしはだめ? ずるーい」

 そう、ふくれられてしまった。

 ——まあ、あたしはねこだからね。ねこは自由なの!

「いいなぁ。わたしも猫が良かったなぁ」

 ——まあレイアはまだ小さいからね。大きくなったらそのうちきっと猫にだってなれるかも?

「ほんと? あ、でも、ミーシャってまだ生まれたばっかりだよね? わたしよりちいさいよね? どうしてそんなにいろいろ知ってるの?」

 ——あは。それはないしょ。

「ずるーい。ないしょばっかりずるい!」

 ——しょうがないなぁ。じゃぁ、これも二人だけの秘密だよ? あたし、昔人間だったの。今はねこだけどね?

「そっかー。じゃぁわたしもがんばって大きくなったらねこになる!」

 ——うん。がんばろー。



 あたしとレイアは遊びを通じていろんな魔力の流し方を試して。

 そうこうするうち、レイアも自然と自分でマナをコントロールできるようになってきた。

 池のほとりで、ちょっと萎れたお花に手をかざし。

 ——そう、そこで、『げんきになあれ』って祈るの。

「げんきになあれ、げんきになあれ」

 ふわんとレイアの両手から溢れた金色のマナがお花にかかる。

「わぁ。おはな、げんきになったよ!」

 萎れていた花が色鮮やかに蘇る。茎もぴーんと伸びて葉っぱもしおしおだったのが元通りに。

 ——はい。良くできました!

「ありがとうミーシャ!」
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