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あたしにつけられた『鈴』

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 最初の人生はわりと普通だった気がする。

 両親も優しくて。友達にも恵まれて。彼氏もできて。

 ほんわかと幸せに過ごせてた。たぶん一番平和な時代。


 魔法とは無縁な世界だったけど、あたしはけっこう信じてた。

 自作のおはなしも魔法が出てくるの多かったな。

 ちょこっとだけ不思議なのは、そんなあたしの中だけの想像の魔法の理論がこの世界でちゃんと通じたこと。

 前世で生まれてまだ小さい頃から普通に魔法が使えたのは、その日本人の時の妄想? が、役に立ってた感じ。


 おかげで大賢者なんて役職に祭り上げられて、勇者の教育係なんてことになったりしたんだけどね。

 ガイさんが転生者だって言ってたことからわかるのは、この世界にはけっこう転生者っているって事。

 実はあたし前世でも人間の転生者、あたしみたいな人に会ったことがなかった訳じゃ無い。

 あたしほどじゃ無いにしてもわりと普通の人より魔法ができたりしてたから、弟子候補ってことで送り込まれた中にいたんだよね。

 でも。

 これは自慢、じゃ、ないよ?

 どちらかと言ったら自虐。

 そんな転生者の中にも、あたしぐらいにチカラを持った人は結局一人も居なかった。

 あたしだけが特別?

 そんな感じで。

 ほんと、日本人の時の妄想のおかげ。

 そのせいでインナースペースが人より大きかったせい。としか、考えられないんだけどね。



 不穏な雰囲気も感じてた。

 あたしのこと、実は魔族じゃないか?

 魔王になるんじゃないか?

 そんな風に恐れてる人もいたくらい。


 だから。


 勇者の教育係になったとき。

 もしかしてこれってあたしにつけられた『鈴』じゃないかって。

 あたしが人を裏切らないよう。

 あたしがもし、魔王であったなら、それを倒す為の勇者なのだと。そういう意味合いなのだと。

 そんな噂が流れたのも知ってる。



 まぁ。勇者くんはまだそのとき十歳で。あたしが十四歳。

 神に選ばれたノワはものすごく可愛くて。性格も良くって。


 ああ、この子の為なら死んでもいいよ。


 そう思うくらい、大好きだったから。


 そんな噂、笑って無視できたんだけどね。
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