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青い炎。

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 最初はちょっと大きい火ではあったけれど、それはただの火に見えた。

 赤い炎。メラメラと燃えるその火にレイチェル、

「レイアさん! それで全力なの?」

 なんて声をかけるもんだから。

 あ、ダメ、レイア、切れないで!


 ちょっとムキになったレイア、両手に込めたマナを増やす。


 ——あ、ダメ。制御もしないでマナ増やしたら……。


 あたしが止める間も無く増えるマナ。

 燃え盛る炎。

 それまで真っ赤だった炎が青白くなり、そして。


 あうあう、アーク出てる。


 青白い光が目映く放たれ、もうちょっと普通の火じゃ無くなってる。


 次元断層フィールドを自分の周囲だけでなくもう一つ重ねがけする。校庭の中心部に筒状に。

 そうしないとちょっとこれ、危ないよ?

 急激に少なくなる酸素をレイアの周囲に創造し供給。

 空間から素粒子を取り出して酸素分子まで作るのでちょっとふにゃぁなんだけどさ。

 ——ちょっとレイアやり過ぎ!

(あは、さっきちょっとくらっと来たよ。ごめんねありがとう)

 ——もういいからこのまま上空にこのエネルギーの塊を放つの。このままじゃ危ないよ!

(う、どうやればいい?)

 ——もう。だからいきなりこんなのダメだって言ったのに。


 次元断層で遮ってるお陰で周りの生徒さん達には影響ないかもだけど、とりあえずレイチェルがシールドを張って守ってるのは見える。

 これ、ほんと溶鉱炉かってくらいの熱量がレイアの頭上で光ってる。

 近づくだけで人なんか簡単に溶けちゃいそうだ。


 生徒さん達の中には恐怖に震えて泣き出しちゃった子もいる。か。


 ——もう、しょうがないな。

 ——身体、借りるよ!

 マジカルレイヤー!

 あたしはレイアの身体の中からマジカルレイヤーを発動。

 レイアにレイア自身のマトリクスを重ね掛けする。

 もちろんそこにはミーシャのマトリクスがほんの少し混ざってるんだけどね?


 ——あれ? わたし、もしかしてこれインナースペースの中?

 うん。ちょっと入れ替えさせてもらったよ?

 ——えーー? 

 とりあえずこれ、なんとかしなきゃだからね!


 魔・ギア 解放!

 マギア・キャッツアイの権能、レイ・エクスプロージョン!


 上空に向けた掌から最小エネルギーのエクスプロージョンを放つ!

 灼熱の青い炎の塊がそのまま大気圏の外まで打ち上げられ、そして弾けた。


 ふう。これでちょっと安心、かな。
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