27 / 38
漆黒の粒子。
しおりを挟む
「カイン殿のいう通りだよレオよ。お主はまだ若いのう」
ジュウゾがそう続く。
「くっ、あんたたちはあの公爵の態度が気にならないのか! あれは明らかに」
「明らかになんだというのだ? 卿は曲がりなりにもゼノン様のお従兄弟に当たる。シズカ様が魔王でなければ彼が魔王になっていてもおかしくは無かった」
「ジュウゾ! お前、それでよしと思うのか!」
「お主こそ、卿を侮辱するのもいい加減にしろ! 我ら十二魔将にとってゼノン様が絶対でありそのお従兄弟であるアキラカン卿を一段下に見ているのもわからぬでも無い。しかしもうゼノン様はお亡くなりになったのだぞ!」
「だからこそ! シズカ様を蔑ろにするような発言をするアキラカン公爵は許せんのだと言っておろうが!」
はうう。
目の前で喧嘩を始めちゃったよ。
どうしよっか。でもこれってどっちにしてもあたし自身は舐められてるってことなんだろうなぁ。
あたしはちらっと隣にいるシシノジョウを見る。
うん。ものすっごく苦々しい顔してるのがわかるよ。
でもこれ、もしかして?
「まあまあ二人とも。シズカ様の御前でみっともない。アタシたちは皆シズカ様を盛り立てていくことで合意したんじゃ無かったかしら?」
煌びやかな衣装をふわっと翻し立ち上がったのはキャンディ・マフィ。
今にも殴り合いをはじめちゃいそうだったレオとジュウゾの間に割って入って仲裁を始めた。
十二魔将の紅一点。グラマラスで妖艶な彼女の言葉には常に甘い香りがする。
彼女はその言葉で他を魅了し惑わす能力に特化した魔女である。っていうかキャンディの甘い言葉には聞いた相手の心を鎮める効果もあるので、レオとジュウゾもその興奮を抑えて席についた。
ああ、もちろん彼らには彼女の能力をレジストするだけの耐性はあるはずだけれど、それでもその心を宥める効果はあった様だった。
一般の魔族のレベルだと彼女の言葉に抗うのはかなり厳しい。そういう意味だと最強の独裁者にもなり得る彼女ではあったけれど、そこはそれ。
勢力的にも他の魔将と比べて突出しすぎないようにバランスが保たれていた。
ふむ。
十二魔将と言っても一枚岩ではないのか。
苦々しい表情のままムスッとダンマリを決め込んでいるシシノジョウ。
今の騒ぎの中でも誰の味方をするわけでもなく黙って座っている魔相も何人も居たし、裏では何考えてるかちょっとわかんないよね?
もしかして、シシノジョウは彼らの本音を引き出したかった?
まあ、でも。
今はまだ、このメンバーから誰かを排除すればいいとかそういう問題でも無さそうだ。
あたしに対して不満があろうとも、このメンバーで魔族をまとめていかなきゃダメだし、ね?
あたしは。
自分の中にある魔王石に心の手を伸ばして。
掴む。
そして。
全身から、その魔王石の黒いマナを放出。
ぶわっと広がる黒い瘴気に周囲の魔将が皆驚愕するのがわかる。
「お嬢!」
シシノジョウがこちらを見て驚いてるけど、うん。構わない!
あたしを覆った漆黒の粒子が晴れたとき。
「ゼノン様!」
十二魔将の皆が、あたしを見てそう叫んだ。
ジュウゾがそう続く。
「くっ、あんたたちはあの公爵の態度が気にならないのか! あれは明らかに」
「明らかになんだというのだ? 卿は曲がりなりにもゼノン様のお従兄弟に当たる。シズカ様が魔王でなければ彼が魔王になっていてもおかしくは無かった」
「ジュウゾ! お前、それでよしと思うのか!」
「お主こそ、卿を侮辱するのもいい加減にしろ! 我ら十二魔将にとってゼノン様が絶対でありそのお従兄弟であるアキラカン卿を一段下に見ているのもわからぬでも無い。しかしもうゼノン様はお亡くなりになったのだぞ!」
「だからこそ! シズカ様を蔑ろにするような発言をするアキラカン公爵は許せんのだと言っておろうが!」
はうう。
目の前で喧嘩を始めちゃったよ。
どうしよっか。でもこれってどっちにしてもあたし自身は舐められてるってことなんだろうなぁ。
あたしはちらっと隣にいるシシノジョウを見る。
うん。ものすっごく苦々しい顔してるのがわかるよ。
でもこれ、もしかして?
「まあまあ二人とも。シズカ様の御前でみっともない。アタシたちは皆シズカ様を盛り立てていくことで合意したんじゃ無かったかしら?」
煌びやかな衣装をふわっと翻し立ち上がったのはキャンディ・マフィ。
今にも殴り合いをはじめちゃいそうだったレオとジュウゾの間に割って入って仲裁を始めた。
十二魔将の紅一点。グラマラスで妖艶な彼女の言葉には常に甘い香りがする。
彼女はその言葉で他を魅了し惑わす能力に特化した魔女である。っていうかキャンディの甘い言葉には聞いた相手の心を鎮める効果もあるので、レオとジュウゾもその興奮を抑えて席についた。
ああ、もちろん彼らには彼女の能力をレジストするだけの耐性はあるはずだけれど、それでもその心を宥める効果はあった様だった。
一般の魔族のレベルだと彼女の言葉に抗うのはかなり厳しい。そういう意味だと最強の独裁者にもなり得る彼女ではあったけれど、そこはそれ。
勢力的にも他の魔将と比べて突出しすぎないようにバランスが保たれていた。
ふむ。
十二魔将と言っても一枚岩ではないのか。
苦々しい表情のままムスッとダンマリを決め込んでいるシシノジョウ。
今の騒ぎの中でも誰の味方をするわけでもなく黙って座っている魔相も何人も居たし、裏では何考えてるかちょっとわかんないよね?
もしかして、シシノジョウは彼らの本音を引き出したかった?
まあ、でも。
今はまだ、このメンバーから誰かを排除すればいいとかそういう問題でも無さそうだ。
あたしに対して不満があろうとも、このメンバーで魔族をまとめていかなきゃダメだし、ね?
あたしは。
自分の中にある魔王石に心の手を伸ばして。
掴む。
そして。
全身から、その魔王石の黒いマナを放出。
ぶわっと広がる黒い瘴気に周囲の魔将が皆驚愕するのがわかる。
「お嬢!」
シシノジョウがこちらを見て驚いてるけど、うん。構わない!
あたしを覆った漆黒の粒子が晴れたとき。
「ゼノン様!」
十二魔将の皆が、あたしを見てそう叫んだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
39
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる