侯爵令嬢セリーナ・マクギリウスは冷徹な鬼公爵に溺愛される。 わたくしが古の大聖女の生まれ変わり? そんなの聞いてません!!

友坂 悠

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聖女。

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 途端に周囲に広がる黒い靄の嵐。
 それがオルファリド様に襲い掛かり!

「君はわたしの後ろにいなさい!」

 黒いマントをばっと開きあたしを庇うように前に出る公爵!
 あ、だめ!

 黒の嵐をかろうじて防ぐ公爵のマント。
 あれも魔道具?
 でもこのままじゃ!

 拮抗する魔の気とオルファルド様の魔力。
 その背後で守られたままのあたしは、だんだんと腹が立ってきた。

 こんな化け物のせいであたし、あんな目に遭ったわけ?
 正直コーネリアス様との婚約はお父様が決めてきただけの政略的なもので、彼のことを好きとかそんな感情は一切なかった。
 だから別に彼が真実の愛だの恋だのを見つけたという理由で婚約が破棄されるだけなら、あたし自身はせいせいしたとしか思わなかったかもだけど。
 別に王族になりたいとかそんな気持ちも一切なかった。
 ううん、逆に、王族なんか嫌だって気持ちも実はあった。
 だから普通に言ってくれさえすれば王子なんかレミリアにのしをつけてあげたのに。

 ああもう!

「オルファリド様。ありがとうございます」

 あたしは庇ってくれている公爵にそうお礼だけ言って。
 カツカツとレミリアに向かって歩く。

 黒いもや?
 もうそんなの怖くない。

 恐怖よりも怒りの方が優ってるし、それに。

 あたしは自分の周囲に精霊キュアを纏う。
 金色の粒子があたしの周りを覆い、黒いもやを浄化していった。

 この世界に満遍なく存在する精霊。
 その精霊の力を借りるために必要なのが魔力特性値という精霊との相性みたいなものだ。

 通常、人の持つ特性値はせいぜい10から20ほど。
 50を越えれば達人。80で聖人。100を超える限界突破者などは開闢以来数えるほどしか居なかったという。

 あたしは。

 生まれつきそんな精霊が見える特殊な体質だった。
 今までそんなこと周りに話したこともなかったけど、あたしが呼べばたいていの精霊は力を貸してくれるのだ。


 パン!

 レミリアの正面に立ったあたし、彼女の頬を思いっきり平手で打って。

「いい加減にしなさいよこの淫魔!」

 そう啖呵を切って。

 一瞬。
 キョトンとした顔をしたレミリア。
 でも、すぐに鬼のような形相になった。

「お前は、聖女アマリリスか! このワタシの邪魔をするその力、そうか貴様がこの時代に蘇っていたとは!」

 は!?

「なんのことかわからないけどもう我慢ができないの! あんたなんか消えちゃえ!」

 あたしは両手を前に突き出し掌をその淫魔に向ける。
 心のゲートを開放し、全力でマナを吐き出した。

 あたしの中の金色の魔力がレミリアだった淫魔を包む。
 そして。

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