白蓮の魔女 ~記憶喪失からはじまる契約婚? 時を逆行し記憶を失った令嬢ですが、バッドエンドを回避したら何故か溺愛がはじまりました!!

友坂 悠

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重力魔法。

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 魔人を取り囲み球状となったその光の渦。
 精神生命体である魔人の中には体のどこかにある魔核を滅してあげないと何度でも復活するものがいる。
 もちろんそんなことができるのは上級の魔人だけで、チカラの弱い魔人は通常の魔獣のようにガワを破壊するだけで魔素が霧散してしまうものも多いのだけれど。

 目の前の魔人の魔力はかなり大きかった。
 それこそ先日の鬼など比較にはならないくらい。

 こうして一見会話が通じるようにみえるのも、この魔人のレベルの高さを表しているのだろう。

 だから、油断は禁物だ。



破砕クラッシュ!!」

 爆発する光球。
 急激に収縮し爆散した。

 立ち上がる白い煙。
 それでも。

 魔人の魔力はあまり減ったようには感じられなかった。

「面白い魔法ですね。ワタシのガワも少しは持っていかれましたか。それでもまあ、それだけですが」

 白煙が晴れた時。
 そこには漆黒の魔人が見た目には寸分違わずそこにそのまま佇んでいた。
 ダメージはあまり感じられない。
 そもそもその漆黒の姿には体とその外との境界がどれだけあるのかも曖昧だ。

(次元が……ズレている?)

 表皮と空間の間に、次元のズレが生じている。
 だから物理的な攻撃はあまり効果が薄いのか。

「それではこんどはこちらの番ですね。死なないでくださいよ? つまらないから」

 そう言うとその魔人はこちらにむかって手を伸ばしたような気がした。
 いや、ふっと伸ばした手は届いていない。
 だけれど。

(重力魔法!!?)

 ドン!
 と身体が重くなる!
 足元に黒い影、黒い魔法陣が浮かぶ。

 抗いきれず膝をつき、それでも顔だけは前を向き漆黒の魔人を睨みつけた。
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