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闘い終わって。
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「これで、もう、大丈夫……おいで、クロム……」
闘いは終わった。赤鬼がいた場所には魔素が拡散しているが、クロムはそれをできうるだけ自身に吸収し。
——無理しないでねあるじさま……。
そう心の声を発しながらセラフィーナのゲートに戻って行った。
ルークヴァルトと共にいた本体のセラフィーナ。
「終わったわ。ルークさま……」
そう一言だけなんとか口にしたところで意識が途切れ。
彼の腕の中に沈むように倒れて行った。
「セラフィーナ!」
そんなセラフィーナを優しく受け止めるルークヴァルト。
「ルーク! ああ、いや、局長!! 総員点呼終了、脱落者なしです!」
「アルバート! ああ、ありがとう。皆が無事だったのはセラフィーナのおかげだろう。本当によくやってくれた……」
「そうですね。セラフィーナは……。いや、なんでもないです。妹はほんとよくやってくれましたよ。局長はそのまま馬車まで妹を運んでやってください。全部隊は領都に入ります。今回は示威行動も兼ねてますからね。街への迷惑とか考えていられません。場合によっては侯爵の身柄も抑えたいところですから」
「そうだな。では部隊の指揮はしばらく任せる。副官アルバート・レイニーウッド。頼むぞ」
「了解ですよ。局長。任せられました! っていうかルークには妹を任せましたからね」
「ああ。わかっている」
ルークヴァルトは眠っているセラフィーナを抱き上げ、後方の馬車まで向かう。
すやすやと寝息が耳元にかかる。
それを感じ、彼女の寝顔を眺めながら。
「ありがとう。セラフィ。君は私の天使だよ」
そう、つぶやいて。
わざと街を練り歩き、王都から来たと触れ回って進む。
この領地、領都の領主を罪に問いに来たのだ。結果しばらくここの領地そのものが王家の預かりになる可能性もある。領民にも、何か大変なことが起こっているのだ、ということは周知しておかないと後々混乱が生じないとも限らない。
領主館の敷地の外を取り囲むように騎士を配置し、大門を叩く。
大人しく開ければいいが、もし拒むようなら強行突破も視野に入れていた。
「侯爵は間違いなく中にいるのだな?」
「ええ。斥候部隊に街に先行潜入させていましたからね。確認済みです。ああ、彼奴は鬼どもを解き放ったあと逃げ出す画策もしたんですが、こっそり馬車の車軸を破壊する工作をさせていただきましたから、逃げられずそのまま中に家族ごとこもってますよ」
「そうか。では、あとは彼奴がどう出るか、だな」
ルークヴァルトが国王陛下の代理という名目で査察に赴いたと門番に告げたあと、しばらくして門が開き、中に通された。
中に入るのはルークヴァルトとアルバート、そして数名の局員と護衛として騎士数名、魔道士数名。
総勢10数名であったが、その中にこっそりとセラフィーナの姿もあった。
「君の顔や素性をあちらに晒したくない。悪いけれどこれで変装してくれないか」
そう言って渡されたのは女性事務職員の制服とメガネ。実際に部隊に帯同してきていた者から借りた形であったけれど、どうしてもついていきたいと願ったのはセラフィーナの方だったので、素直にその制服を着てルークヴァルトの斜め後ろをまるで秘書であるかのようにしてついていく。
闘いは終わった。赤鬼がいた場所には魔素が拡散しているが、クロムはそれをできうるだけ自身に吸収し。
——無理しないでねあるじさま……。
そう心の声を発しながらセラフィーナのゲートに戻って行った。
ルークヴァルトと共にいた本体のセラフィーナ。
「終わったわ。ルークさま……」
そう一言だけなんとか口にしたところで意識が途切れ。
彼の腕の中に沈むように倒れて行った。
「セラフィーナ!」
そんなセラフィーナを優しく受け止めるルークヴァルト。
「ルーク! ああ、いや、局長!! 総員点呼終了、脱落者なしです!」
「アルバート! ああ、ありがとう。皆が無事だったのはセラフィーナのおかげだろう。本当によくやってくれた……」
「そうですね。セラフィーナは……。いや、なんでもないです。妹はほんとよくやってくれましたよ。局長はそのまま馬車まで妹を運んでやってください。全部隊は領都に入ります。今回は示威行動も兼ねてますからね。街への迷惑とか考えていられません。場合によっては侯爵の身柄も抑えたいところですから」
「そうだな。では部隊の指揮はしばらく任せる。副官アルバート・レイニーウッド。頼むぞ」
「了解ですよ。局長。任せられました! っていうかルークには妹を任せましたからね」
「ああ。わかっている」
ルークヴァルトは眠っているセラフィーナを抱き上げ、後方の馬車まで向かう。
すやすやと寝息が耳元にかかる。
それを感じ、彼女の寝顔を眺めながら。
「ありがとう。セラフィ。君は私の天使だよ」
そう、つぶやいて。
わざと街を練り歩き、王都から来たと触れ回って進む。
この領地、領都の領主を罪に問いに来たのだ。結果しばらくここの領地そのものが王家の預かりになる可能性もある。領民にも、何か大変なことが起こっているのだ、ということは周知しておかないと後々混乱が生じないとも限らない。
領主館の敷地の外を取り囲むように騎士を配置し、大門を叩く。
大人しく開ければいいが、もし拒むようなら強行突破も視野に入れていた。
「侯爵は間違いなく中にいるのだな?」
「ええ。斥候部隊に街に先行潜入させていましたからね。確認済みです。ああ、彼奴は鬼どもを解き放ったあと逃げ出す画策もしたんですが、こっそり馬車の車軸を破壊する工作をさせていただきましたから、逃げられずそのまま中に家族ごとこもってますよ」
「そうか。では、あとは彼奴がどう出るか、だな」
ルークヴァルトが国王陛下の代理という名目で査察に赴いたと門番に告げたあと、しばらくして門が開き、中に通された。
中に入るのはルークヴァルトとアルバート、そして数名の局員と護衛として騎士数名、魔道士数名。
総勢10数名であったが、その中にこっそりとセラフィーナの姿もあった。
「君の顔や素性をあちらに晒したくない。悪いけれどこれで変装してくれないか」
そう言って渡されたのは女性事務職員の制服とメガネ。実際に部隊に帯同してきていた者から借りた形であったけれど、どうしてもついていきたいと願ったのはセラフィーナの方だったので、素直にその制服を着てルークヴァルトの斜め後ろをまるで秘書であるかのようにしてついていく。
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