お飾り妻は離縁されたい。「君を愛する事はできない」とおっしゃった筈の旦那様。なぜか聖女と呼んで溺愛してきます!!

友坂 悠

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第二部。

神と魔法。

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「それではまずこの国を護られる神と、魔法の成り立ちについてご説明致しましょう」

 ここ、アルメルセデスは神に護られた剣と魔法の国。

 スタンフォード侯爵夫人シルフィーナは、家庭教師として貸し出されたオート・マタ、猫のぬいぐるみのようなタビィによる講義を受けていた。

 彼女を連れ帰った時、夫サイラスは随分と驚いて。

「これは、アグリッパ様のメイド人形か? 私は一流の魔道士の教師をつけてくださると思っていたのだが」

 と、少々憤慨し珍しく怒りをあらわにした。

 それでも。

「旦那様。彼女は優秀であり、本来であればこうして貸し出されることも稀なことだそうでございます。わたくしはアグリッパ様のお心遣いに感謝しておりますわ」

 とそう笑顔で応えるシルフィーナに。

「それならば。君がそう言うのなら」

 と根負けしたように笑みをこぼす。



 講義は主に午後、彼女の自室で行われることとなった。
 昼食後のお茶を用意して、ソファーに腰掛けゆったりとした状態で始まった講義。

 ビロードの厚手のカーテンを閉め切ってお部屋を暗くして始めたそれは、タビィの周囲に顕現した魔法陣によって天井に映像を浮かび上がらせる。
 数多の星が瞬き、部屋全体が夜の色へと変わって。

 “過去、人はその過ちの為、滅びの道を辿りました”

 タビィの子供のようだった声が、透き通った大人びた声に変わり部屋全体に響く。

 空に一つの青い星が現れ、それが段々と茶色く蝕まれていく。

 星はあっという間に茶色く干上がった大地だけの石ころに変わり。生きとし生けるものは滅び去った様に見えた。

 “しかし、神はわたくしたちをお見捨てにはなりませんでした。地下深くに方舟をお造りになり、そこで数千年の時を命のプールにてお守りになったのです”



 少しずつ。色が茶色から青に、青から緑に。まるでターコイズの輝きのように。

 そして大気には雲ができる。

 雨が降り、光は生命を育む。

 いつしかその星は素の宝石の様な青さを取り戻し……。



 “神は、この世界にお子達をお遣わしになりました。


 火のアーク。
 水のバアル。
 風のアウラ。
 土のオプス。

 これら四大元素の子らと。

 時のエメラ。
 漆黒のブラド。
 金のキュア。
 光のディン。

 これらの四大天使の子らを。


 物質の化学変化に干渉するアーク。
 物質の温度変化に干渉するバアル。
 空間の位相、位置エネルギーに干渉するアウラ。
 そして、それらの物質そのもの、この空間に物質を創造し生み出すことのできるオプス。

 時空を司るエメラ。
 漆黒の、闇、重力を司るブラド。
 全ての命の源。金のキュア。
 光の、エネルギーそのものを司る、ディン。

 そして、他にも数は少ないですがさまざまな権能を持った神の子らも。

 彼らはこの世界に満ちて、滅び去ったこの地を再生させたのです。

 遥かな時が流れ、命のプールで眠る者たちは再びこの世界に根を下ろし、繁栄していったのでした。

 世界には、神の子ら、天使達で溢れて居るのです。わたくし達はその天使達と心を通わせることによって、通常では有り得ない程のチカラを行使することができるのです。それが、この世界における魔法マギアの基本的な使い方になります“

 と、そこでしばしの沈黙が入り。

 暗かった部屋に唐突に灯りがともる。
 それがアークによるものだと、シルフィーナは感じることができた。

 光が灯され姿がはっきりと見えるようになったタビィ。
 こちらを向いて、少し小首を傾げ続けた。

「神の子らはその名を“ギア”といい、人は真那マナをそのギアに与えることで魔法マギアを行使する事ができるのです。しかしギアはマナを選びます。ギアに選ばれるだけの加護マギアスキルが無いものは、いくらレイスゲートが充分に育って居ても、魔法マギアを行使するまでには至りません」

 
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