お飾り妻は離縁されたい。「君を愛する事はできない」とおっしゃった筈の旦那様。なぜか聖女と呼んで溺愛してきます!!

友坂 悠

文字の大きさ
47 / 65
第二部。

帝国。

しおりを挟む
「帝国の皇太子? 殿下でございますか?」

「ああ。今年の聖緑祭に合わせてご訪問くださるそうだよ。アルブレヒト殿下はガレリア辺境伯とも縁戚でね。こちらの貴族院にも留学されていたこともある。辺境伯の御子息、コーネリアス・フラウレム・ガレリア殿とも懇意にしていらっしゃったと聞いたな」

 夕食の席でそう笑顔でおっしゃった旦那様に、シルフィーナは少々驚いて。
 初めてきく帝国の皇太子。
 未だ貴族の会話について行くのも大変なシルフィーナにとって、こうしたサイラスとの会話は心が躍るような気分にさせてくれるものだった。

 自分の無学さを最近やっと自覚できるようになった。
 通常であれば、そういった常識的な知識でさえ貴族院で自然に学ぶのだろう。
 周りの貴族との会話であっても、シルフィーナが知らない単語をさも当たり前のように出し会話する彼らに、それが何の意味なのかとか聞き返すことなどできなかった彼女。
 魔道士の塔に貸し出された猫型オート・マタのタビイによって現在いろんな事柄を学ぶにつれ、そう言った自身の無知を自覚するようになり。
 そして、知ることの楽しさもまた、感じ始めていた。

 世界の歴史。
 神様の逸話。
 地理に風俗、そして、そのほかありとあらゆる事柄を。
 学ぶことに喜びを感じていたのだった。

「北は、まだ雪が残っておりますよね? 皇太子殿下の一行はどうやってその雪道を渡ってきたのでしょう?」

 目を輝かせそう尋ねるシルフィーナを見つめ。
 優しい笑みをこぼすサイラス。

「そうだな。通常であれば、帝国からの特使、帝国聖女宮よりの特使は海路を使い来訪される。サウザンド港より入港し、陸路を北上されるのが常だろう」

「では、なぜ?」

「アルブレヒト・アウレリアス=アマテラス帝国皇太子殿下は、ガレリア辺境伯と縁戚であると言ったろう? 皇太子の生母であるアマリリア様は帝国にあるローゼンシュタイン大公国の公女でね。妹君フラウレム様の方がガレリア辺境伯に嫁いでいらっしゃったんだよ。その縁で、アルブレヒト殿下は昨年の秋にはガリアを抜けマグネシア高地を横切りガレリアの地に到着されたそうだ。この冬はガレリアの領都ハッシュブルクでお過ごしになったそうだよ」

「では、アルブレヒト殿下とコーネリアス様は御従兄弟でいらっしゃるのですか?」

「そうだね。今年は聖緑祭の前に、アルブレヒト殿下の歓待で大規模な夜会が催されるから。君もその準備に取り掛かってくれると嬉しいな」

 そう、破顔する旦那様に。

 そうか。そんな大規模な夜会が行われるのか、と。
 緊張しつつも、ゆったりと微笑み返して。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

氷の王妃は跪かない ―褥(しとね)を拒んだ私への、それは復讐ですか?―

柴田はつみ
恋愛
亡国との同盟の証として、大国ターナルの若き王――ギルベルトに嫁いだエルフレイデ。 しかし、結婚初夜に彼女を待っていたのは、氷の刃のように冷たい拒絶だった。 「お前を抱くことはない。この国に、お前の居場所はないと思え」 屈辱に震えながらも、エルフレイデは亡き母の教え―― 「己の誇り(たましい)を決して売ってはならない」――を胸に刻み、静かに、しかし凛として言い返す。 「承知いたしました。ならば私も誓いましょう。生涯、あなたと褥を共にすることはございません」 愛なき結婚、冷遇される王妃。 それでも彼女は、逃げも嘆きもせず、王妃としての務めを完璧に果たすことで、己の価値を証明しようとする。 ――孤独な戦いが、今、始まろうとしていた。

【完結】今日も旦那は愛人に尽くしている~なら私もいいわよね?~

コトミ
恋愛
 結婚した夫には愛人がいた。辺境伯の令嬢であったビオラには男兄弟がおらず、子爵家のカールを婿として屋敷に向かい入れた。半年の間は良かったが、それから事態は急速に悪化していく。伯爵であり、領地も統治している夫に平民の愛人がいて、屋敷の隣にその愛人のための別棟まで作って愛人に尽くす。こんなことを我慢できる夫人は私以外に何人いるのかしら。そんな考えを巡らせながら、ビオラは毎日夫の代わりに領地の仕事をこなしていた。毎晩夫のカールは愛人の元へ通っている。その間ビオラは休む暇なく仕事をこなした。ビオラがカールに反論してもカールは「君も愛人を作ればいいじゃないか」の一点張り。我慢の限界になったビオラはずっと大切にしてきた屋敷を飛び出した。  そしてその飛び出した先で出会った人とは? (できる限り毎日投稿を頑張ります。誤字脱字、世界観、ストーリー構成、などなどはゆるゆるです)

結婚5年目のお飾り妻は、空のかなたに消えることにした

三崎こはく
恋愛
ラフィーナはカールトン家のお飾り妻だ。 書類上の夫であるジャンからは大量の仕事を押しつけられ、ジャンの愛人であるリリアからは見下され、つらい毎日を送っていた。 ある日、ラフィーナは森の中で傷ついたドラゴンの子どもを拾った。 屋敷に連れ帰って介抱すると、驚いたことにドラゴンは人の言葉をしゃべった。『俺の名前はギドだ!』 ギドとの出会いにより、ラフィーナの生活は少しずつ変わっていく―― ※他サイトにも掲載 ※女性向けHOT1位感謝!7/25完結しました!

愚かな側妃と言われたので、我慢することをやめます

天宮有
恋愛
私アリザは平民から側妃となり、国王ルグドに利用されていた。 王妃のシェムを愛しているルグドは、私を酷使する。 影で城の人達から「愚かな側妃」と蔑まれていることを知り、全てがどうでもよくなっていた。 私は我慢することをやめてルグドを助けず、愚かな側妃として生きます。

お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!

にのまえ
恋愛
 すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。  公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。  家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。  だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、  舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。

【完結】愛したあなたは本当に愛する人と幸せになって下さい

高瀬船
恋愛
伯爵家のティアーリア・クランディアは公爵家嫡男、クライヴ・ディー・アウサンドラと婚約秒読みの段階であった。 だが、ティアーリアはある日クライヴと彼の従者二人が話している所に出くわし、聞いてしまう。 クライヴが本当に婚約したかったのはティアーリアの妹のラティリナであったと。 ショックを受けるティアーリアだったが、愛する彼の為自分は身を引く事を決意した。 【誤字脱字のご報告ありがとうございます!小っ恥ずかしい誤字のご報告ありがとうございます!個別にご返信出来ておらず申し訳ございません( •́ •̀ )】

将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです

きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」 5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。 その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

処理中です...