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第二部。
夜会。
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夜会は粛々と開催された。
全ての貴族が見守る中まず王族の方々が入場され、そして今回のメインゲストである帝国皇太子アルブレヒト殿下が女性を伴い入場する。
オクタビアヌス王の目の前まできたところで一旦礼をとったアルブレヒト皇太子。
二、三言葉を交わしたのち、オクタビアヌス王直々に皇太子の紹介の声をあげ、それを合図に夜会の開始となった。
「我が国アルメルセデスは帝国皇太子アルブレヒト・アウレリアス=アマテラス殿下並びにサラ・カッサンドラ=アマテラス皇女の来訪を歓迎する!」
王のその言葉は拍手喝采を持って迎えられ、アルブレヒト殿下もそれに手をあげ応える。
そうして。
貴族同士の歓談が緩やかに始まった。
本日の夜会は舞踏会という趣旨ではないものの、場の中央にはダンスフロアが用意され、楽団は軽やかにワルツを奏で始める。
三々五々踊り出す人々。
挨拶回りに精を出すもの。
こういう場では、王の御前に進み出ることは上級貴族を除き恐れ多くてなかなか難しいものの、それでも身近な上役の貴族にまずあいさつをと細々と動きまわるものも多い。
サイラスは自分からわざわざ他の貴族や公爵家などにあいさつにまわるたちではなかったせいか、シルフィーナを伴って端の方で周囲を見つつ出される酒を嗜んでいた。
もともとこういった夜会にしてみても、周囲に目を光らせ何かあった場合に備える。
そんな性分が身についていたのだった。
それでも。
古くからの親交のある貴族や下位貴族などがひきりなしに彼らの元を訪れる。
シルフィーナも、無難に受け答えをしてはなんとか過ごしていた。
サイラスの妹でもあるエヴァンジェリンでも近くにいたら、いろいろ話もできるのに。
そんなふうにも思うけれど、彼女は筆頭公爵家ロックフェラー公爵夫人。
その忙しさもシルフィーナの比ではない。
遠くで人だかりがいくつか出来ているけれど、その中の一つは間違いなくロックフェラー公爵夫妻のものだろう。
宰相の家系、オルレアン公爵家。
フォルクス公爵家。
ヴァインシュタイン公爵家。
そして筆頭侯爵家であるロックフェラー公爵家。
これら四大公爵家はいずれも王位継承権を保持している。
王族の血を色濃く残すこれらの公爵家も今夜は勢揃いしている。
そういう意味では今夜はサイラスとシルフィーナに群がる貴族など彼らの人だかりに比べれば微々たるものなのだろう。
騎士団長を代々務めるスタンフォード侯爵家はその家柄自体は古く歴史があるけれど、そこまで王家と近しいわけではなかったし、また、その王族の血には今まで近づこうともしてこなかった。
——王家はスタンフォード侯爵家を取り込みたくてしょうがなかったみたいですけど~
(そうなの? タビィ)
——ええ。まあそれもあってこうしてわたしを簡単に貸し出したのでしょうけど。
(ああ。そういう意味なのですか)
そんなふうに感じたシルフィーナ。
純粋な好意ではないことはわかっていたけれど。
それも少し寂しい話。
そんなふうにも思って。
タビィに対しての好感も日に日に高くなっている。
別れる日が辛い。
そう思ってしまっているシルフィーナ。
——わたしもシルフィーナ様、好きですよ。離れたくないです。
(ありがとう。タビィ)
心の中でそんなタビィをぎゅっと抱きしめて。
そして、ほおとほおを擦り付けた。
全ての貴族が見守る中まず王族の方々が入場され、そして今回のメインゲストである帝国皇太子アルブレヒト殿下が女性を伴い入場する。
オクタビアヌス王の目の前まできたところで一旦礼をとったアルブレヒト皇太子。
二、三言葉を交わしたのち、オクタビアヌス王直々に皇太子の紹介の声をあげ、それを合図に夜会の開始となった。
「我が国アルメルセデスは帝国皇太子アルブレヒト・アウレリアス=アマテラス殿下並びにサラ・カッサンドラ=アマテラス皇女の来訪を歓迎する!」
王のその言葉は拍手喝采を持って迎えられ、アルブレヒト殿下もそれに手をあげ応える。
そうして。
貴族同士の歓談が緩やかに始まった。
本日の夜会は舞踏会という趣旨ではないものの、場の中央にはダンスフロアが用意され、楽団は軽やかにワルツを奏で始める。
三々五々踊り出す人々。
挨拶回りに精を出すもの。
こういう場では、王の御前に進み出ることは上級貴族を除き恐れ多くてなかなか難しいものの、それでも身近な上役の貴族にまずあいさつをと細々と動きまわるものも多い。
サイラスは自分からわざわざ他の貴族や公爵家などにあいさつにまわるたちではなかったせいか、シルフィーナを伴って端の方で周囲を見つつ出される酒を嗜んでいた。
もともとこういった夜会にしてみても、周囲に目を光らせ何かあった場合に備える。
そんな性分が身についていたのだった。
それでも。
古くからの親交のある貴族や下位貴族などがひきりなしに彼らの元を訪れる。
シルフィーナも、無難に受け答えをしてはなんとか過ごしていた。
サイラスの妹でもあるエヴァンジェリンでも近くにいたら、いろいろ話もできるのに。
そんなふうにも思うけれど、彼女は筆頭公爵家ロックフェラー公爵夫人。
その忙しさもシルフィーナの比ではない。
遠くで人だかりがいくつか出来ているけれど、その中の一つは間違いなくロックフェラー公爵夫妻のものだろう。
宰相の家系、オルレアン公爵家。
フォルクス公爵家。
ヴァインシュタイン公爵家。
そして筆頭侯爵家であるロックフェラー公爵家。
これら四大公爵家はいずれも王位継承権を保持している。
王族の血を色濃く残すこれらの公爵家も今夜は勢揃いしている。
そういう意味では今夜はサイラスとシルフィーナに群がる貴族など彼らの人だかりに比べれば微々たるものなのだろう。
騎士団長を代々務めるスタンフォード侯爵家はその家柄自体は古く歴史があるけれど、そこまで王家と近しいわけではなかったし、また、その王族の血には今まで近づこうともしてこなかった。
——王家はスタンフォード侯爵家を取り込みたくてしょうがなかったみたいですけど~
(そうなの? タビィ)
——ええ。まあそれもあってこうしてわたしを簡単に貸し出したのでしょうけど。
(ああ。そういう意味なのですか)
そんなふうに感じたシルフィーナ。
純粋な好意ではないことはわかっていたけれど。
それも少し寂しい話。
そんなふうにも思って。
タビィに対しての好感も日に日に高くなっている。
別れる日が辛い。
そう思ってしまっているシルフィーナ。
——わたしもシルフィーナ様、好きですよ。離れたくないです。
(ありがとう。タビィ)
心の中でそんなタビィをぎゅっと抱きしめて。
そして、ほおとほおを擦り付けた。
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