お飾り妻は離縁されたい。「君を愛する事はできない」とおっしゃった筈の旦那様。なぜか聖女と呼んで溺愛してきます!!

友坂 悠

文字の大きさ
54 / 65
第二部。

大災厄。

しおりを挟む
 そのままふわっとした動作でシルフィーナの横にぽすんと腰掛けるサラ皇女。
 にこにこと笑みをこぼしながら、シルフィーナの両手をとって。

「最初の質問に戻りますね。シルフィーナ様、貴女は白と黒の予言のどちらをお聞きになりたいかしら?」

 そう言って小首を傾げた。

 相変わらず彼女の周囲にいるギアたちはキラキラと輝いている。
 それは、サラ皇女へのギアたちの好意の表れでもあり、そして彼女がシルフィーナに一切の悪意を持ち得ていないことの証明にも見える。
 サラの周囲のギアたちがシルフィーナに対しても好意を示してくれていることは、よくわかる。
 だから。
 もしも彼女がシルフィーナにとって害をなそうとする存在であるのなら、間にいるギアたちはこんなにも彼女たちに好意を示し続けることはないだろう。そんなふうに漠然と感じているだけであったけれど。

(この人は信用しても大丈夫)

 そう、確信できた。

「予言、とは、どういうことなのでしょう?」

 であれば、素直に聞いても問題はないはず。そう思えて。

「帝国には代々、神の御言葉をお預かりする預言者という者がおりますの。今はわたくしがその職務についておりますが、その神の言葉は、時には天啓やビジョンとなってわたくしの中に降りてくるのですわ」

 笑みは崩していない。
 その微笑みはゆったりとして、優しく、そして美しく。

 まるで子供におとぎ話でも話し聞かせるようなそんなゆったりとした口調で彼女はそんな言葉を綴った。

「そんなビジョンのうち、特に未来の出来事を指し示した予感を、わたくしは予言と呼んでおりますの」

 そう言いながらシルフィーナの目を覗き込む彼女。

 微笑みの中にあるその瞳の奥底に映る光は真剣そのものにみえ。
 嘘は、無い。
 彼女の言葉には全く嘘のかけらもないのだと、そう感じられて。

「教えていただきありがとうございます。もしかしたらその予言はわたくしの未来に関係あることなのでしょう。でも」

 シルフィーナは被りを振って。

「未来を知ることは、怖いです」

 そう、目を伏せる。

「ほんとう、正直ね」

 サラ皇女、シルフィーナの両手を包み込むようにぎゅっと握って。

「でも、これだけは聞いて。わたくしはこの地に姉様、大聖女マリアリアの後継となりうるものが現れたと、そう天啓を受けてまいりましたの。十数年前の大厄災はご存じ? 帝国に現れた魔王とそれと対峙した勇者、そして大聖女マリアリアのお話は……」

(大厄災!!?)

 そこまで聞いたところで、シルフィーナの心臓は跳ね上がった。

 あの。

 厄災の時の、恐怖と怒り。
 心の中に巻き上がった嵐。
 そして。
 力を使い切った後の、お父様のあの恐怖に歪んだ顔。
 心の中を吹き荒れた、あの悲しみ、が。

 突然に、目の前に鮮明な映像と共に浮かび上がった。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

氷の王妃は跪かない ―褥(しとね)を拒んだ私への、それは復讐ですか?―

柴田はつみ
恋愛
亡国との同盟の証として、大国ターナルの若き王――ギルベルトに嫁いだエルフレイデ。 しかし、結婚初夜に彼女を待っていたのは、氷の刃のように冷たい拒絶だった。 「お前を抱くことはない。この国に、お前の居場所はないと思え」 屈辱に震えながらも、エルフレイデは亡き母の教え―― 「己の誇り(たましい)を決して売ってはならない」――を胸に刻み、静かに、しかし凛として言い返す。 「承知いたしました。ならば私も誓いましょう。生涯、あなたと褥を共にすることはございません」 愛なき結婚、冷遇される王妃。 それでも彼女は、逃げも嘆きもせず、王妃としての務めを完璧に果たすことで、己の価値を証明しようとする。 ――孤独な戦いが、今、始まろうとしていた。

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

【完結】今日も旦那は愛人に尽くしている~なら私もいいわよね?~

コトミ
恋愛
 結婚した夫には愛人がいた。辺境伯の令嬢であったビオラには男兄弟がおらず、子爵家のカールを婿として屋敷に向かい入れた。半年の間は良かったが、それから事態は急速に悪化していく。伯爵であり、領地も統治している夫に平民の愛人がいて、屋敷の隣にその愛人のための別棟まで作って愛人に尽くす。こんなことを我慢できる夫人は私以外に何人いるのかしら。そんな考えを巡らせながら、ビオラは毎日夫の代わりに領地の仕事をこなしていた。毎晩夫のカールは愛人の元へ通っている。その間ビオラは休む暇なく仕事をこなした。ビオラがカールに反論してもカールは「君も愛人を作ればいいじゃないか」の一点張り。我慢の限界になったビオラはずっと大切にしてきた屋敷を飛び出した。  そしてその飛び出した先で出会った人とは? (できる限り毎日投稿を頑張ります。誤字脱字、世界観、ストーリー構成、などなどはゆるゆるです)

将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです

きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」 5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。 その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

結婚5年目のお飾り妻は、空のかなたに消えることにした

三崎こはく
恋愛
ラフィーナはカールトン家のお飾り妻だ。 書類上の夫であるジャンからは大量の仕事を押しつけられ、ジャンの愛人であるリリアからは見下され、つらい毎日を送っていた。 ある日、ラフィーナは森の中で傷ついたドラゴンの子どもを拾った。 屋敷に連れ帰って介抱すると、驚いたことにドラゴンは人の言葉をしゃべった。『俺の名前はギドだ!』 ギドとの出会いにより、ラフィーナの生活は少しずつ変わっていく―― ※他サイトにも掲載 ※女性向けHOT1位感謝!7/25完結しました!

私の願いは貴方の幸せです

mahiro
恋愛
「君、すごくいいね」 滅多に私のことを褒めることがないその人が初めて会った女の子を褒めている姿に、彼の興味が私から彼女に移ったのだと感じた。 私は2人の邪魔にならないよう出来るだけ早く去ることにしたのだが。

愚かな側妃と言われたので、我慢することをやめます

天宮有
恋愛
私アリザは平民から側妃となり、国王ルグドに利用されていた。 王妃のシェムを愛しているルグドは、私を酷使する。 影で城の人達から「愚かな側妃」と蔑まれていることを知り、全てがどうでもよくなっていた。 私は我慢することをやめてルグドを助けず、愚かな側妃として生きます。

【完結】愛したあなたは本当に愛する人と幸せになって下さい

高瀬船
恋愛
伯爵家のティアーリア・クランディアは公爵家嫡男、クライヴ・ディー・アウサンドラと婚約秒読みの段階であった。 だが、ティアーリアはある日クライヴと彼の従者二人が話している所に出くわし、聞いてしまう。 クライヴが本当に婚約したかったのはティアーリアの妹のラティリナであったと。 ショックを受けるティアーリアだったが、愛する彼の為自分は身を引く事を決意した。 【誤字脱字のご報告ありがとうございます!小っ恥ずかしい誤字のご報告ありがとうございます!個別にご返信出来ておらず申し訳ございません( •́ •̀ )】

処理中です...