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友達とぼく

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「いてて……」

 頭をさわって気づいた。

 元に戻ってる!
 ランドセルも、中に宿題も、ある!
「……山口くん?」
 振り返ると佐藤さんが家から出てきたところだった。
「なんでここに?
 あっ、子猫見なかった? 黒ぶちの」
「え? いや……見てないけど」
「そう……」

「佐藤さんって、猫好きなの?」
 うつむいていた佐藤さんが、顔を上げた。

「うん」
「ぼくも」
 吉太郎との約束を思い出して、ぐっとこぶしをにぎった。

「ぼくも、猫好きなんだ」
 ぱあっ、と佐藤さんの顔が明るくなる。
「ほんと?」

「よかったら友達になる? 
 もしよかったら、だけど」
 佐藤さんはびっくりして、でもすぐ笑顔になった。さっき助けてくれたときも笑ってくれたけど、今度はなんていうか、大きな花がふわぁって咲いたみたいな、喜びがこっちまで伝わってきそうな笑顔だった。

「私も、友達になりたいって思ってたの。
 でもいつも山口君に話す時、うまく話せなくて、きつい口調になっちゃって。
 そんな私でも……友達になってくれる?」
 そういうことだったのか。

「いいにゃ!」
 ぼくがそう言うと、佐藤さんは首をかたむけた。
「にゃ?」
 
「ううん、なんでもない」
 ぼくはにっこり笑った。


 それから、佐藤さんとまた会う約束をした。
 人間に戻ったらまた違う世界に来たみたい。
 今年の夏は面白くなりそう。
 ワクワクする。


「ただいまー!」

 スキップしてたどり着いた、ぼくの家。
 お母さんが待っている家。
 ぼくがドアを開けると、カレーのいいにおいが鼻をくすぐった。

 戻ってこられてよかったなぁ!
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