13 / 16
心配しているのですが、なぜか真意が伝わりません
しおりを挟む
「メリーナ様こんなところでどうされたのですか!ひょっとして具合でも悪いのですか!!」
「ひぇぇ!!こっちに来ないで~!」
アメリアは顔色を変えると心配のあまりメリーナのもとに急ぎ駆け寄ったのだ。どうやら、メリーナの悲鳴は彼女の耳にはまったく届かなかったようである。
彼女が近づくとメリーナは目を白黒させ、先ほどよりもさらに顔色は青白く、具合も相当悪そうにしている。
セルフィスはその様子が可笑しくって、笑うのを必死で堪えていた。
前にアメリアから聞いた第二王子フェルナンドによる婚約破棄騒動。その話の中にでてくる令嬢の名がメリーナだったと思い出したのだ。
そう、そこにいたのは・・・当時婚約中のアメリアから第二王子フェルナルドを略奪し、新しい婚約者の座を勝ち取るつもりだった、伯爵令嬢のメリーナ・セルトだったのである。
「大変、セルフィス様!どうしたらいいんでしょうか!メリーナ様ったらこんなにも青白い顔色をして何か重大な病気なのでは!」
実際のメリーナの心境としては、アメリアに何かされるのではないかと怯え、魂が抜ける一歩手前の状態だったのである。
「・・・。落ち着いてください。そんなに心配しなくても大丈夫ですよ。ただの疲労と空腹です。ですが先ほども言いましたが念のため今日一日は様子を見たほうがいいかもしれません」
「し、心配には及びませんわ・・!こんな小屋、いえこの村をすぐにでも出てしまえば体調不良ごとき綺麗さっぱり消えますのでどうぞご心配なく!」
冗談ではない。私の魂胆をあっさり見破った腹黒の治療師と、フェルナンドをボコボコにした、普段は無害な振りをしている暴力女から一刻も速く逃げだしたいのに、こんなところに一晩泊ることなど絶対に嫌だ!!
「そうですよ、遠慮なんかしないで。もう夕方ですし一晩ゆっくりしていってください。私も今日は診療所に泊ってメリーナさんの様子を看たいのですが、いいでしょうか?」
「ええ、その方が助かります。アメリア様がいてくれると本当に心強いですね」
「そんな・・あ、ありがとうございます」
セルフィスの優しい笑顔にアメリアは頬を赤く染める。
完全に二人の世界での会話が成立してしまい、なぜかメリーナは診療所に泊まることになってしまったのである。
「ひぇぇ!!こっちに来ないで~!」
アメリアは顔色を変えると心配のあまりメリーナのもとに急ぎ駆け寄ったのだ。どうやら、メリーナの悲鳴は彼女の耳にはまったく届かなかったようである。
彼女が近づくとメリーナは目を白黒させ、先ほどよりもさらに顔色は青白く、具合も相当悪そうにしている。
セルフィスはその様子が可笑しくって、笑うのを必死で堪えていた。
前にアメリアから聞いた第二王子フェルナンドによる婚約破棄騒動。その話の中にでてくる令嬢の名がメリーナだったと思い出したのだ。
そう、そこにいたのは・・・当時婚約中のアメリアから第二王子フェルナルドを略奪し、新しい婚約者の座を勝ち取るつもりだった、伯爵令嬢のメリーナ・セルトだったのである。
「大変、セルフィス様!どうしたらいいんでしょうか!メリーナ様ったらこんなにも青白い顔色をして何か重大な病気なのでは!」
実際のメリーナの心境としては、アメリアに何かされるのではないかと怯え、魂が抜ける一歩手前の状態だったのである。
「・・・。落ち着いてください。そんなに心配しなくても大丈夫ですよ。ただの疲労と空腹です。ですが先ほども言いましたが念のため今日一日は様子を見たほうがいいかもしれません」
「し、心配には及びませんわ・・!こんな小屋、いえこの村をすぐにでも出てしまえば体調不良ごとき綺麗さっぱり消えますのでどうぞご心配なく!」
冗談ではない。私の魂胆をあっさり見破った腹黒の治療師と、フェルナンドをボコボコにした、普段は無害な振りをしている暴力女から一刻も速く逃げだしたいのに、こんなところに一晩泊ることなど絶対に嫌だ!!
「そうですよ、遠慮なんかしないで。もう夕方ですし一晩ゆっくりしていってください。私も今日は診療所に泊ってメリーナさんの様子を看たいのですが、いいでしょうか?」
「ええ、その方が助かります。アメリア様がいてくれると本当に心強いですね」
「そんな・・あ、ありがとうございます」
セルフィスの優しい笑顔にアメリアは頬を赤く染める。
完全に二人の世界での会話が成立してしまい、なぜかメリーナは診療所に泊まることになってしまったのである。
5
あなたにおすすめの小説
『生きた骨董品』と婚約破棄されたので、世界最高の魔導ドレスでざまぁします。私を捨てた元婚約者が後悔しても、隣には天才公爵様がいますので!
aozora
恋愛
『時代遅れの飾り人形』――。
そう罵られ、公衆の面前でエリート婚約者に婚約を破棄された子爵令嬢セラフィナ。家からも見放され、全てを失った彼女には、しかし誰にも知られていない秘密の顔があった。
それは、世界の常識すら書き換える、禁断の魔導技術《エーテル織演算》を操る天才技術者としての顔。
淑女の仮面を捨て、一人の職人として再起を誓った彼女の前に現れたのは、革新派を率いる『冷徹公爵』セバスチャン。彼は、誰もが気づかなかった彼女の才能にいち早く価値を見出し、その最大の理解者となる。
古いしがらみが支配する王都で、二人は小さなアトリエから、やがて王国の流行と常識を覆す壮大な革命を巻き起こしていく。
知性と技術だけを武器に、彼女を奈落に突き落とした者たちへ、最も華麗で痛快な復讐を果たすことはできるのか。
これは、絶望の淵から這い上がった天才令嬢が、運命のパートナーと共に自らの手で輝かしい未来を掴む、愛と革命の物語。
婚約破棄? 国外追放?…ええ、全部知ってました。地球の記憶で。でも、元婚約者(あなた)との恋の結末だけは、私の知らない物語でした。
aozora
恋愛
クライフォルト公爵家の令嬢エリアーナは、なぜか「地球」と呼ばれる星の記憶を持っていた。そこでは「婚約破棄モノ」の物語が流行しており、自らの婚約者である第一王子アリステアに大勢の前で婚約破棄を告げられた時も、エリアーナは「ああ、これか」と奇妙な冷静さで受け止めていた。しかし、彼女に下された罰は予想を遥かに超え、この世界での記憶、そして心の支えであった「地球」の恋人の思い出までも根こそぎ奪う「忘却の罰」だった……
『龍の生け贄婚』令嬢、夫に溺愛されながら、自分を捨てた家族にざまぁします
卯月八花
恋愛
公爵令嬢ルディーナは、親戚に家を乗っ取られ虐げられていた。
ある日、妹に魔物を統べる龍の皇帝グラルシオから結婚が申し込まれる。
泣いて嫌がる妹の身代わりとして、ルディーナはグラルシオに嫁ぐことになるが――。
「だからお前なのだ、ルディーナ。俺はお前が欲しかった」
グラルシオは実はルディーナの曾祖父が書いたミステリー小説の熱狂的なファンであり、直系の子孫でありながら虐げられる彼女を救い出すために、結婚という名目で呼び寄せたのだ。
敬愛する作家のひ孫に眼を輝かせるグラルシオ。
二人は、強欲な親戚に奪われたフォーコン公爵家を取り戻すため、奇妙な共犯関係を結んで反撃を開始する。
これは不遇な令嬢が最強の龍皇帝に溺愛され、捨てた家族に復讐を果たす大逆転サクセスストーリーです。
(ハッピーエンド確約/ざまぁ要素あり/他サイト様にも掲載中)
もし面白いと思っていただけましたら、お気に入り登録・いいねなどしていただけましたら、作者の大変なモチベーション向上になりますので、ぜひお願いします!
辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~
香木陽灯
恋愛
「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」
実の父と妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。
「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」
「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」
二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。
※ふんわり設定です。
※他サイトにも掲載中です。
公爵令嬢ですが、実は神の加護を持つ最強チート持ちです。婚約破棄? ご勝手に
ゆっこ
恋愛
王都アルヴェリアの中心にある王城。その豪奢な大広間で、今宵は王太子主催の舞踏会が開かれていた。貴族の子弟たちが華やかなドレスと礼装に身を包み、音楽と笑い声が響く中、私——リシェル・フォン・アーデンフェルトは、端の席で静かに紅茶を飲んでいた。
私は公爵家の長女であり、かつては王太子殿下の婚約者だった。……そう、「かつては」と言わねばならないのだろう。今、まさにこの瞬間をもって。
「リシェル・フォン・アーデンフェルト。君との婚約を、ここに正式に破棄する!」
唐突な宣言。静まり返る大広間。注がれる無数の視線。それらすべてを、私はただ一口紅茶を啜りながら見返した。
婚約破棄の相手、王太子レオンハルト・ヴァルツァーは、金髪碧眼のいかにも“主役”然とした青年である。彼の隣には、勝ち誇ったような笑みを浮かべる少女が寄り添っていた。
「そして私は、新たにこのセシリア・ルミエール嬢を伴侶に選ぶ。彼女こそが、真に民を導くにふさわしい『聖女』だ!」
ああ、なるほど。これが今日の筋書きだったのね。
貧乏人とでも結婚すれば?と言われたので、隣国の英雄と結婚しました
ゆっこ
恋愛
――あの日、私は確かに笑われた。
「貧乏人とでも結婚すれば? 君にはそれくらいがお似合いだ」
王太子であるエドワード殿下の冷たい言葉が、まるで氷の刃のように胸に突き刺さった。
その場には取り巻きの貴族令嬢たちがいて、皆そろって私を見下ろし、くすくすと笑っていた。
――婚約破棄。
婚約破棄された氷の令嬢 ~偽りの聖女を暴き、炎の公爵エクウスに溺愛される~
ふわふわ
恋愛
侯爵令嬢アイシス・ヴァレンティンは、王太子レグナムの婚約者として厳しい妃教育に耐えてきた。しかし、王宮パーティーで突然婚約破棄を宣告される。理由は、レグナムの幼馴染で「聖女」と称されるエマが「アイシスにいじめられた」という濡れ衣。実際はすべてエマの策略だった。
絶望の底で、アイシスは前世の記憶を思い出す――この世界は乙女ゲームで、自分は「悪役令嬢」として破滅する運命だった。覚醒した氷魔法の力と前世知識を武器に、辺境のフロスト領へ追放されたアイシスは、自立の道を選ぶ。そこで出会ったのは、冷徹で「炎の公爵」と恐れられるエクウス・ドラゴン。彼はアイシスの魔法に興味を持ち、政略結婚を提案するが、実は一目惚れで彼女を溺愛し始める。
アイシスは氷魔法で領地を繁栄させ、騎士ルークスと魔導師セナの忠誠を得ながら、逆ハーレム的な甘い日常を過ごす。一方、王都ではエマの偽聖女の力が暴かれ、レグナムは後悔の涙を流す。最終決戦で、アイシスとエクウスの「氷炎魔法」が王国軍を撃破。偽りの聖女は転落し、王国は変わる。
**氷の令嬢は、炎の公爵に溺愛され、運命を逆転させる**。
婚約破棄の屈辱から始まる、爽快ザマアと胸キュン溺愛の物語。
捨てられた元聖女ですが、なぜか蘇生聖術【リザレクション】が使えます ~婚約破棄のち追放のち力を奪われ『愚醜王』に嫁がされましたが幸せです~
鏑木カヅキ
恋愛
十年ものあいだ人々を癒し続けていた聖女シリカは、ある日、婚約者のユリアン第一王子から婚約破棄を告げられる。さらには信頼していた枢機卿バルトルトに裏切られ、伯爵令嬢ドーリスに聖女の力と王子との婚約さえ奪われてしまう。
元聖女となったシリカは、バルトルトたちの謀略により、貧困国ロンダリアの『愚醜王ヴィルヘルム』のもとへと強制的に嫁ぐことになってしまう。無知蒙昧で不遜、それだけでなく容姿も醜いと噂の王である。
そんな不幸な境遇でありながらも彼女は前向きだった。
「陛下と国家に尽くします!」
シリカの行動により国民も国も、そして王ヴィルヘルムでさえも変わっていく。
そしてある事件を機に、シリカは奪われたはずの聖女の力に再び目覚める。失われたはずの蘇生聖術『リザレクション』を使ったことで、国情は一変。ロンダリアでは新たな聖女体制が敷かれ、国家再興の兆しを見せていた。
一方、聖女ドーリスの力がシリカに遠く及ばないことが判明する中、シリカの噂を聞きつけた枢機卿バルトルトは、シリカに帰還を要請してくる。しかし、すでに何もかもが手遅れだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる