婚約破棄され、思わず第二王子を殴りとばしました~国外追放ですか!心から感謝いたします~

四季 葉

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心配しているのですが、なぜか真意が伝わりません

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 「メリーナ様こんなところでどうされたのですか!ひょっとして具合でも悪いのですか!!」
 「ひぇぇ!!こっちに来ないで~!」

 アメリアは顔色を変えると心配のあまりメリーナのもとに急ぎ駆け寄ったのだ。どうやら、メリーナの悲鳴は彼女の耳にはまったく届かなかったようである。
 彼女が近づくとメリーナは目を白黒させ、先ほどよりもさらに顔色は青白く、具合も相当悪そうにしている。

 セルフィスはその様子が可笑しくって、笑うのを必死で堪えていた。
 前にアメリアから聞いた第二王子フェルナンドによる婚約破棄騒動。その話の中にでてくる令嬢の名がメリーナだったと思い出したのだ。

 そう、そこにいたのは・・・当時婚約中のアメリアから第二王子フェルナルドを略奪し、新しい婚約者の座を勝ち取るつもりだった、伯爵令嬢のメリーナ・セルトだったのである。

 「大変、セルフィス様!どうしたらいいんでしょうか!メリーナ様ったらこんなにも青白い顔色をして何か重大な病気なのでは!」

 実際のメリーナの心境としては、アメリアに何かされるのではないかと怯え、魂が抜ける一歩手前の状態だったのである。

 「・・・。落ち着いてください。そんなに心配しなくても大丈夫ですよ。ただの疲労と空腹です。ですが先ほども言いましたが念のため今日一日は様子を見たほうがいいかもしれません」
 「し、心配には及びませんわ・・!こんな小屋、いえこの村をすぐにでも出てしまえば体調不良ごとき綺麗さっぱり消えますのでどうぞご心配なく!」

 冗談ではない。私の魂胆をあっさり見破った腹黒の治療師と、フェルナンドをボコボコにした、普段は無害な振りをしている暴力女から一刻も速く逃げだしたいのに、こんなところに一晩泊ることなど絶対に嫌だ!!

 「そうですよ、遠慮なんかしないで。もう夕方ですし一晩ゆっくりしていってください。私も今日は診療所に泊ってメリーナさんの様子を看たいのですが、いいでしょうか?」
「ええ、その方が助かります。アメリア様がいてくれると本当に心強いですね」
「そんな・・あ、ありがとうございます」

 セルフィスの優しい笑顔にアメリアは頬を赤く染める。
 完全に二人の世界での会話が成立してしまい、なぜかメリーナは診療所に泊まることになってしまったのである。
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