考察系オタクが異世界で探偵役になりまして

四方木餅

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Chapter 1-0 最初の一歩

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 アレクシオスと一緒に近くにある街へ向かうことになった。彼が言うにはここ最近は魔法式自動車なる乗り物が首都や主要都市では一般的な交通手段になりつつあるようだ。しかし、コレから向かう街は比較的田舎で現在でも馬車が主流だという。アレクシオスの納品も馬車で行くと聞いたのだが……目の前の馬車には馬がない。

「アレクシオス、これ馬車だよね?その、馬はどうしたの」
「あー……これね。俺が押していくの」

 まって、今この獣人ヒトなんて言った?

回復薬ポーションとか瓶ものって箱に入れて積んでいくと楽なんだよね~。荷物もまとまってると獣人オレの体力とスキルで街まですぐに運べるんだ。エリスも中に座ってて!」

 ポーションや薬草に囲まれて、私と監督カミサマは小一時間獣人が引く馬車に揺られた。道中、何度か馬車に何かぶつかったような音が聞こえて、動物っぽい影が何度か見えたような気がした。

 アレクシオス、まさかこの馬車で動物とか轢いていないだろうな?

 その不安に揺られたまま、私は馬車で気絶した。



「エリス~、街に着いたよ……あれ寝てるの?」

 アレクシオスの呑気な声で起こされたのは出発してから少し日が高くなった頃だった。彼に馬車から降ろしてもらうと……馬車のテント部分が所々赤黒く染まっていた。

「アレクシオス、あの汚れは?」
「あー……また魔物轢いちゃったんだね。オレは獣人の力の制御がいまいち下手だから、商品を守りながら戦うことができないんだ」
「もしかして、昨日の夜あたしを襲ってきた原因て……獣人の力が原因?」
「それもある。ちゃんとした獣人って成人するまでに獣の本能を抑える術を身につけるんだけど……それって獣人同士の親子や師弟から教わるんだよね」

 獣の本能……何故だろう、いい予感がしない。それ以外にも彼の言い回しに引っかかるところがある。もしかして……。

「アレクシオスには獣人の師匠がいないってこと?」
「昔はいたんだけどね」
「……余計なこと聞いてごめん」
「いいよ、むしろエリスにはいつか話しておきたいと思ってたし」

 アレクシオスはふにゃりと笑い子供をあやすように私の頭を撫でた。エリスの肉体年齢は12歳とされているのだが、彼の中では完全に子供として認識されてるようだ。彼が悪意を持っての扱いではないのだろうが、こちらとしては複雑である。
 そんなやり取りを終えたところ、長柄の斧を持ち甲冑を身につけた大男がこちらに話しかけてきた。

「アレクじゃないか!久しぶりだな! 最近納品にも全然来ないからベーカリーの姉さんも道具屋の婆さんも心配してたんだぞ」
「いつもの魔力不足で人型化出来なくなってさ、そっち行ける状況じゃなかったんだ。そこをエリスに助けてもらったんだ」

 そう言ってアレクシオスは私を見下ろした。守衛は物珍しそうに私を見下ろす。ひかえめにいって、威圧感がすごい。

「ほう、アレクを助けたのか……お前さんらもしかして契約魔法でも使ったのか?だとしたら、役所に申請しないとまずいぞ」
「今日はそれがメインできたんだ。エリスの戸籍も作りたいから、役所に話を通しておいてくれる?」
「おうよ、任せとけ。ところでアレク、お前さん幼女趣味にでも目覚めたのか?」
「オレの命の恩人だって言ってんだろ齧るぞ」

 アレクシオスは守衛に思いっきり牙を剥ける。守衛は青ざめながら、冗談だよ。アレクシオスを宥めていた。獣人の目は全く笑っていなかった。あまり彼を怒らせないようにしよう、私はこっそり決意した。

「それじゃお嬢ちゃん、仮の身分証をつくるからこいつに手ェかざしてくれ」

 守衛が差し出したのはA5サイズくらいの黒く艶めいてる石版。漆器に近いけど鉱石にも見える。守衛の指示通り、そこに手をかざすと石版が白っぽく発光した。眩しさからつい目を閉ざすが、すぐに光が消えて目を開ける。いつのまにか、私の手には黒いカードが握られていた。

「それ、仮の身分証ね。役所の窓口に出せばちゃんとした君の身分証が作られるから、それまで無くさないでな」
「はい、ありがとうございます」
「じゃあ、オレたち行くね」
「アレクちょい待ち。最近市場の方で子供が失踪するって報告が数件上がってるんだ。お前さんは鼻が効くから問題ないだろうが……念のため気ィつけろよ」
「ありがとう」

 守衛に見送られて、私たちは門をくぐる。アレクシオスにはないしょだが、私は完全に童心に戻り初めての街に期待を寄せていた。
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