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最悪なキャンプ場
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初心者と思しき女の子二人にソロキャンプのおじさんが声をかけたそうにちらちら見ている。確かに女の子たちは拙い動きで、
「それ取って」
と行ったり来たり。
そんなに屈んだらだめだ。ほうら。ズボンから背中が見えて、こちらから見るとおじさんがそれを喜んでいるようにしか思えない。
「キモいの極みね」
近くに大きなテントを張る夫婦の妻がおじさんを見て言った。おじさんと頭の中で思ったから口にしたけれど、実はそんなに自分たち夫婦と年齢は変わらないのかもしれない。今の人は年齢不詳だ。
「だな」
と夫は同意した。両親の周囲を娘たちが駆け回る。保育園に通うくらいの女の子ともう一人は小学校にあがったばかりのお姉ちゃん。
「はい、ここトントンして」
父親のそれはふりだけだ。本気で子どもにペグを打たせるわけがない。
「これでいい?」
「うん。上手だね」
小さな姉妹は父親の傍らで同じ方向に向かって座っている。母親はその並んだ小さな背中を見て幸せだなと思いながらスマホで家族の写真を撮った。そしてすぐさまSNSにアップ。
水場では40代の夫婦が米を研ぎ野菜を洗うところだった。
「水道が遠いわね。わざわざこっちに来なくてもコテージのキッチンでもいいんでしょう?」
コテージはふたつ。4人定員のAと6人定員のB。ふたつとも土日は半年先まで埋まっている。
「そうだな」
注意書きに炊事場を使う指示があったが、あれはたぶんコテージを借りた私たちには関係ないとAに滞在する妻は考え、夫と共に踵を返した。
「できたばかりだとこういうことあるわよね」
あとで口コミに書かなければと妻は決意した。
「そうだな」
夫は不満もなさそうに、炊事場より先にあるトイレとシャワーが気になるようだ。夫は温泉などに泊まっては動画を撮っている。40代後半で出会い結婚したから、二人とも子どもは考えていない。二人で幸せに生きてゆければいいと思っているのに、かすかに聞こえる子どもの声はなぜか二人をそわそわさせる。先日も元モデルが50歳近くで子どもを授かったというニュースを見た。技術も発達して選択肢が広がり過ぎた。
「それ取って」
と行ったり来たり。
そんなに屈んだらだめだ。ほうら。ズボンから背中が見えて、こちらから見るとおじさんがそれを喜んでいるようにしか思えない。
「キモいの極みね」
近くに大きなテントを張る夫婦の妻がおじさんを見て言った。おじさんと頭の中で思ったから口にしたけれど、実はそんなに自分たち夫婦と年齢は変わらないのかもしれない。今の人は年齢不詳だ。
「だな」
と夫は同意した。両親の周囲を娘たちが駆け回る。保育園に通うくらいの女の子ともう一人は小学校にあがったばかりのお姉ちゃん。
「はい、ここトントンして」
父親のそれはふりだけだ。本気で子どもにペグを打たせるわけがない。
「これでいい?」
「うん。上手だね」
小さな姉妹は父親の傍らで同じ方向に向かって座っている。母親はその並んだ小さな背中を見て幸せだなと思いながらスマホで家族の写真を撮った。そしてすぐさまSNSにアップ。
水場では40代の夫婦が米を研ぎ野菜を洗うところだった。
「水道が遠いわね。わざわざこっちに来なくてもコテージのキッチンでもいいんでしょう?」
コテージはふたつ。4人定員のAと6人定員のB。ふたつとも土日は半年先まで埋まっている。
「そうだな」
注意書きに炊事場を使う指示があったが、あれはたぶんコテージを借りた私たちには関係ないとAに滞在する妻は考え、夫と共に踵を返した。
「できたばかりだとこういうことあるわよね」
あとで口コミに書かなければと妻は決意した。
「そうだな」
夫は不満もなさそうに、炊事場より先にあるトイレとシャワーが気になるようだ。夫は温泉などに泊まっては動画を撮っている。40代後半で出会い結婚したから、二人とも子どもは考えていない。二人で幸せに生きてゆければいいと思っているのに、かすかに聞こえる子どもの声はなぜか二人をそわそわさせる。先日も元モデルが50歳近くで子どもを授かったというニュースを見た。技術も発達して選択肢が広がり過ぎた。
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