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未だ晴れぬ思い
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パシッ
私の頬に一筋の痛みが走る
ハインツァ学園の中庭の昼下がり
私の目の前にいるサモエンド侯爵のご令嬢
ミュリエル様の扇子からもたらされたものだった
「……っあなたが悪いのよ!」
そうミュリエル様が叫んだ時
ミュリエル様の婚約者ーーこの国の王太子ケニス・フォン・ソルモエス殿下と
殿下の側近候補と噂される方々が近づいていらっしゃいました
「ミュリエル……まさかあの噂は本当だったのか」
「わっ、私がこの者に何をしても構わないでしょう?」
ミュリエル様が意を決したかの様におっしゃいましたが
「違うんです!」
お二方の話を遮る事は不敬なのにもかかわらず私は叫んだ
私、エルマは平民ですが、領主様に才能を見出されて
ここハインツァ学園に特待生として入学することができました
領主様の期待に応えれる様研鑽に励もうと
奮起したのはいいのですが
私が平民であるのが気に入らない方々がいらっしゃるそうで
物がなくなったり、領主様に頂いた大事なドレスを破られて
精神的に辛く苦しい毎日を送っていました
しかしそんな毎日をミュリエル様が変えてしまわれたのです
ミュリエル様は「いじめ」と称されていましたが
私の苦手分野を即座に見抜き解くヒントを下さったり
破れたドレスは確かにミュリエル様に奪われましたが
一週間後破れた所がわからなくなる程直されて返して頂きました
それだけでなく、「昼間の呼び出し」とおっしゃって
私には馴染みのない貴族のマナーを教えて頂きました
おかげで先生方から上出来とお褒めの言葉を頂け
クラスの方々とも仲良くなり嫌がらせも無くなりました
噂は上辺だけ見た方のただの妄想
本当は強く優しく素晴らしい淑女であるミュリエル様に
感謝の念しかございません
私は出回っている噂の真相と感謝の言葉を言い
ミュリエル様に教えて頂いたカーテシーをした
なのになぜミュリエル様は青ざめているのでしょう?
「エルマ嬢、先週君が階段から突き落とされた犯人はミュリエルだと
噂が出始めているんだけど本当かい?」
「……え、ええそうよ、あれも私がっ」
「違います!ミュリエル様は階段から落ちた私を
介抱していただけに過ぎません。犯人は別にいます。
それと頬のキズですが、涙を浮かべ扇子を振り上げたまま
固まっていらしたミュリエル様に近づいて驚かせてしまいまして
そのとき偶々扇子が当たっただけです」
「成る程。では君は犯人を知っているんだね?」
「………はい。ジェニス・ハンプトン様です
落ちる時この目でしっかり見ました」
ミュリエル様の名誉の為、私は意を決して侯爵令嬢の名を口にしました
「違うの、違うのよ、わ、私が、私が全て悪いの
噂は本当なのよ!だからケニス様の婚約者にはふさ……」
ミュリエル様が言い終わらない内に殿下に向かって倒れられました
一瞬、本当に一瞬。殿下がミュリエル様の顔に何かかけたような…
「おっと、どうやらミュリエルは体調が悪いみたいだ
仕方ない、今日はもう欠席にして送っていこう」
そう言って殿下はミュリエル様を横抱きにしました
きっと青ざめていたのは具合が悪かったからなのですね
「突き落とした犯人については学園に報告しておく
すぐに解決するから、身の危険の心配はしなくていい
ミュリエルの不名誉な噂もこれでなくなるだろう
エルマ嬢本当の事を言ってくれてありがとう
ミュリエルを送るからこれで失礼するよ」
そう殿下がおっしゃった笑顔を見て私はなぜあの時
本当の事を正直に言ったはずなのに
間違った事をしてしまった感覚に陥ったのだろう
あれから10年
私は学園を首席で卒業し、領主様の下で働いています
殿下は王位を継ぎ国王として
ミュリエル様は王妃としてこの国を導いていらっしゃいます
ですが、領主様が言うには
いつもパーティーに王妃様が参加されてないと言うのです
確かに体調不良で倒れられたあの日から
ミュリエル様をお見かけしませんでした
学園が平等と謳っていますが平民である私が
王族である殿下に話しかける非常識な事ができるはずもなく
ミュリエル様について聞くことはできませんでした
そして、あの日のわだかまりを
未だ解消されないままでいるのです
私の頬に一筋の痛みが走る
ハインツァ学園の中庭の昼下がり
私の目の前にいるサモエンド侯爵のご令嬢
ミュリエル様の扇子からもたらされたものだった
「……っあなたが悪いのよ!」
そうミュリエル様が叫んだ時
ミュリエル様の婚約者ーーこの国の王太子ケニス・フォン・ソルモエス殿下と
殿下の側近候補と噂される方々が近づいていらっしゃいました
「ミュリエル……まさかあの噂は本当だったのか」
「わっ、私がこの者に何をしても構わないでしょう?」
ミュリエル様が意を決したかの様におっしゃいましたが
「違うんです!」
お二方の話を遮る事は不敬なのにもかかわらず私は叫んだ
私、エルマは平民ですが、領主様に才能を見出されて
ここハインツァ学園に特待生として入学することができました
領主様の期待に応えれる様研鑽に励もうと
奮起したのはいいのですが
私が平民であるのが気に入らない方々がいらっしゃるそうで
物がなくなったり、領主様に頂いた大事なドレスを破られて
精神的に辛く苦しい毎日を送っていました
しかしそんな毎日をミュリエル様が変えてしまわれたのです
ミュリエル様は「いじめ」と称されていましたが
私の苦手分野を即座に見抜き解くヒントを下さったり
破れたドレスは確かにミュリエル様に奪われましたが
一週間後破れた所がわからなくなる程直されて返して頂きました
それだけでなく、「昼間の呼び出し」とおっしゃって
私には馴染みのない貴族のマナーを教えて頂きました
おかげで先生方から上出来とお褒めの言葉を頂け
クラスの方々とも仲良くなり嫌がらせも無くなりました
噂は上辺だけ見た方のただの妄想
本当は強く優しく素晴らしい淑女であるミュリエル様に
感謝の念しかございません
私は出回っている噂の真相と感謝の言葉を言い
ミュリエル様に教えて頂いたカーテシーをした
なのになぜミュリエル様は青ざめているのでしょう?
「エルマ嬢、先週君が階段から突き落とされた犯人はミュリエルだと
噂が出始めているんだけど本当かい?」
「……え、ええそうよ、あれも私がっ」
「違います!ミュリエル様は階段から落ちた私を
介抱していただけに過ぎません。犯人は別にいます。
それと頬のキズですが、涙を浮かべ扇子を振り上げたまま
固まっていらしたミュリエル様に近づいて驚かせてしまいまして
そのとき偶々扇子が当たっただけです」
「成る程。では君は犯人を知っているんだね?」
「………はい。ジェニス・ハンプトン様です
落ちる時この目でしっかり見ました」
ミュリエル様の名誉の為、私は意を決して侯爵令嬢の名を口にしました
「違うの、違うのよ、わ、私が、私が全て悪いの
噂は本当なのよ!だからケニス様の婚約者にはふさ……」
ミュリエル様が言い終わらない内に殿下に向かって倒れられました
一瞬、本当に一瞬。殿下がミュリエル様の顔に何かかけたような…
「おっと、どうやらミュリエルは体調が悪いみたいだ
仕方ない、今日はもう欠席にして送っていこう」
そう言って殿下はミュリエル様を横抱きにしました
きっと青ざめていたのは具合が悪かったからなのですね
「突き落とした犯人については学園に報告しておく
すぐに解決するから、身の危険の心配はしなくていい
ミュリエルの不名誉な噂もこれでなくなるだろう
エルマ嬢本当の事を言ってくれてありがとう
ミュリエルを送るからこれで失礼するよ」
そう殿下がおっしゃった笑顔を見て私はなぜあの時
本当の事を正直に言ったはずなのに
間違った事をしてしまった感覚に陥ったのだろう
あれから10年
私は学園を首席で卒業し、領主様の下で働いています
殿下は王位を継ぎ国王として
ミュリエル様は王妃としてこの国を導いていらっしゃいます
ですが、領主様が言うには
いつもパーティーに王妃様が参加されてないと言うのです
確かに体調不良で倒れられたあの日から
ミュリエル様をお見かけしませんでした
学園が平等と謳っていますが平民である私が
王族である殿下に話しかける非常識な事ができるはずもなく
ミュリエル様について聞くことはできませんでした
そして、あの日のわだかまりを
未だ解消されないままでいるのです
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