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14.公爵の逆鱗
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初めて訪れた豪華な屋敷だとか、父親の住んでいる場所だとか、そんな事を考えている余裕はアランにはなかった。
一刻も早く公爵に会わなければならない。
母上が今もどんな目に合わされているか・・・・!
出迎えた執事に案内されながらも気が焦る。
少し先に進んだ部屋の中から人の話し声が聞こえる。
「アリステラの紋章だと?どうしてあの者の使いが訪ねて来るのだ」
「それは分かりません。ですがあの方を無視は出来ませんので」
「確かにな。しかし、何の用だか」
コンコン。
部屋の外から叩かれたドアに視線が集まる。
「入れ」
「失礼します。お客様をお連れしました」
そう言って執事が連れて来た客に部屋の主、アルバートは目を見開いた。
「・・・・・アラン?」
「公爵様!!」
「そなたが何故・・・?どうした」
「あの!母上を!母上を助けて下さい!!!」
目を丸くしていたアルバートはアランの言葉に目を細めた。
「何があった」
◇◇◇
アランの話を聞いていく内にアルバートの雰囲気が変わった。
怒鳴ったりしているわけではないのに、周囲の温度が低くなったように感じるくらいの怒気を皆に与えている。
「そうか。よく知らせてくれたな。アラン」
「お願いします・・・母上を助けて下さい・・・お願いします・・・」
アランは泣きながら話していて、そんなアランをアルバートはぎゅっと抱きしめた。
「ノア」
「ここに」
「今すぐ騎士団を集めろ」
「御意」
アルバートの側に来た騎士が敬礼して足早に部屋を後にした。
「アラン。今からそなたの母上を取り戻して来る。そなたを危険な所に連れて行ったら母上に怒られてしまうから安全な場所で待っていられるかい?」
「でも・・・!」
「アランが危険な目に合ったと知ったら母上が悲しむだろう?私が必ずアランの元へ母上を返してあげるから、待っていて欲しいんだ。できるかい?」
「・・・・はい」
「よし、いい子だ。ここで待っていてくれ。おい、アランに何か暖かい飲み物をやってくれ。身体が冷えている」
アルバートは頷いたアランの頭をよしよしと撫で、侍女にアランの世話を頼んだ。
大人しくソファに誘導されるアランを見ながら、アルバートは自分の感情がコントロール出来ているか不安になった。
フィーネが攫われた。
その言葉を聞いた瞬間、自分でもおかしなくらい頭がクラクラした。
頭に血が上りすぎたかもしれない。
「私も出る。準備せよ」
フィーネ、待っていろ。
必ず助ける。
商人よ。
生きて帰れるとは思うな。
お前は私が必ず殺してやる。
◇◇◇
「うっ・・・・ここは・・・・?」
フィーネが意識を取り戻した時、薄暗い部屋の床に自分が寝かせられていた。
ぼーっとする頭に手をやりながら周りを見渡すと、嗅いだ事のない独特でスパイシーで甘ったるい香りが辺りに漂っているのに気付く。
鼻につく臭いだ。
麻薬の類かもしれないのでフィーネは衣服の裾で自分の口と鼻を覆った。
動こうと足を動かすとジャラララっと重い金属の音がする。
足を見ると、両足首に手錠のようなものが付けられていた。
どう考えても、この部屋の主の趣味が悪い。
自分がどうなるのか恐怖でガタガタ震える。
「ここはどこなの・・・」
「目が覚めたか?」
「!!?」
突然後ろから話しかけられ、フィーネはパニックを起こした。
「ああ、ほら暴れるんじゃない。お前はわしのコレクションになるのだから勝手は許されないぞ」
薄暗くて分かりにくいが、この声、この顔。
「あの時の・・・!!」
「覚えていてくれたのか。嬉しいぞ!!あの時邪魔が入らなければお前を直ぐに手に入れていたのに!!ああくそ!何度思い返しても腹立だしい!!」
「離して!!きゃぁっ!!」
「ははははははは。わしの新しい人形・・・。お前はいつまで楽しめるかな?」
醜悪な顔で商人の男はフィーネの両手首を掴み、頬を舌で舐った。
「やめて・・・!離してぇぇぇ!!!」
「たっぷり時間はあるんだ。一緒に楽しもうじゃないか?なぁ」
フィーネは絶望の瞳で男を見た。
誰か助けて。
一刻も早く公爵に会わなければならない。
母上が今もどんな目に合わされているか・・・・!
出迎えた執事に案内されながらも気が焦る。
少し先に進んだ部屋の中から人の話し声が聞こえる。
「アリステラの紋章だと?どうしてあの者の使いが訪ねて来るのだ」
「それは分かりません。ですがあの方を無視は出来ませんので」
「確かにな。しかし、何の用だか」
コンコン。
部屋の外から叩かれたドアに視線が集まる。
「入れ」
「失礼します。お客様をお連れしました」
そう言って執事が連れて来た客に部屋の主、アルバートは目を見開いた。
「・・・・・アラン?」
「公爵様!!」
「そなたが何故・・・?どうした」
「あの!母上を!母上を助けて下さい!!!」
目を丸くしていたアルバートはアランの言葉に目を細めた。
「何があった」
◇◇◇
アランの話を聞いていく内にアルバートの雰囲気が変わった。
怒鳴ったりしているわけではないのに、周囲の温度が低くなったように感じるくらいの怒気を皆に与えている。
「そうか。よく知らせてくれたな。アラン」
「お願いします・・・母上を助けて下さい・・・お願いします・・・」
アランは泣きながら話していて、そんなアランをアルバートはぎゅっと抱きしめた。
「ノア」
「ここに」
「今すぐ騎士団を集めろ」
「御意」
アルバートの側に来た騎士が敬礼して足早に部屋を後にした。
「アラン。今からそなたの母上を取り戻して来る。そなたを危険な所に連れて行ったら母上に怒られてしまうから安全な場所で待っていられるかい?」
「でも・・・!」
「アランが危険な目に合ったと知ったら母上が悲しむだろう?私が必ずアランの元へ母上を返してあげるから、待っていて欲しいんだ。できるかい?」
「・・・・はい」
「よし、いい子だ。ここで待っていてくれ。おい、アランに何か暖かい飲み物をやってくれ。身体が冷えている」
アルバートは頷いたアランの頭をよしよしと撫で、侍女にアランの世話を頼んだ。
大人しくソファに誘導されるアランを見ながら、アルバートは自分の感情がコントロール出来ているか不安になった。
フィーネが攫われた。
その言葉を聞いた瞬間、自分でもおかしなくらい頭がクラクラした。
頭に血が上りすぎたかもしれない。
「私も出る。準備せよ」
フィーネ、待っていろ。
必ず助ける。
商人よ。
生きて帰れるとは思うな。
お前は私が必ず殺してやる。
◇◇◇
「うっ・・・・ここは・・・・?」
フィーネが意識を取り戻した時、薄暗い部屋の床に自分が寝かせられていた。
ぼーっとする頭に手をやりながら周りを見渡すと、嗅いだ事のない独特でスパイシーで甘ったるい香りが辺りに漂っているのに気付く。
鼻につく臭いだ。
麻薬の類かもしれないのでフィーネは衣服の裾で自分の口と鼻を覆った。
動こうと足を動かすとジャラララっと重い金属の音がする。
足を見ると、両足首に手錠のようなものが付けられていた。
どう考えても、この部屋の主の趣味が悪い。
自分がどうなるのか恐怖でガタガタ震える。
「ここはどこなの・・・」
「目が覚めたか?」
「!!?」
突然後ろから話しかけられ、フィーネはパニックを起こした。
「ああ、ほら暴れるんじゃない。お前はわしのコレクションになるのだから勝手は許されないぞ」
薄暗くて分かりにくいが、この声、この顔。
「あの時の・・・!!」
「覚えていてくれたのか。嬉しいぞ!!あの時邪魔が入らなければお前を直ぐに手に入れていたのに!!ああくそ!何度思い返しても腹立だしい!!」
「離して!!きゃぁっ!!」
「ははははははは。わしの新しい人形・・・。お前はいつまで楽しめるかな?」
醜悪な顔で商人の男はフィーネの両手首を掴み、頬を舌で舐った。
「やめて・・・!離してぇぇぇ!!!」
「たっぷり時間はあるんだ。一緒に楽しもうじゃないか?なぁ」
フィーネは絶望の瞳で男を見た。
誰か助けて。
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