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Scene 14-2
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ウイスキーグラスを片手に、タバコの煙を部屋に充満させながら、パソコンのスクリーンに映し出された由依の脚本を濁った頭で吟味するように、ボーっと、読んだ。とても面白いストーリーだった。これも原作はあの青年なのか、と思うと、故人に対する嫉妬で酔いが覚めそうになった。高級ホテルの一室で、まどろみながら、由依の渾身の脚本を読んでいると、由依の部屋の方向から、ズドンと、一発銃声が俺の部屋まで聞こえてきた。あまりにも大きな音に驚き、口に含んだウイスキーを思わず飲み干すと、一気に酔いが回って、心臓が揺れるように鼓動し始めた。朝が苦手だからと、預けられていた由依の部屋のルームキーを片手に、おそるおそる由依の部屋に向かった。人気のない明るい廊下。聖カタリナの絵画に描かれた車輪は壊れている。異様に冷たいドアノブに手をかけ、勘違いだと願いながらも、由依の部屋に入っていくことを拒否する俺の神経を宥めて扉を開いた。由依、と呼びかけると、返事は返ってこない。背後から、バタンと扉が閉まる音だけが代わりに返ってくる。あの日もこうやって部屋に入ったな、そうだあの時は、脱ぎ捨てられた衣服を辿るように、ベッドに向かったんだ、と思い返しながら、また、俺をおちょくるのだろうと思って、ベッドルームに入ると、一点から放射するように赤い血で汚れた壁と、キングサイズのベッドの上で動かなくなっている由依の姿が俺の視線を奪った。俺が彼女の元に駆け寄ると、由依の左目は銃弾で撃ち抜かれ、右手には拳銃が握られていた。死体を見た途端俺は思わず、激しく嗚咽し、呼吸ができなくなった。心臓の鼓動が定まらず、胸は軋み、みるみる視界は涙で曇って行った。俺は彼女の固く冷たくなった手を握ると、死の実感が肌に伝わり、絶望のあまり、膝からガックリ落ち、ベッドに顔を埋めて叫ぶように泣いた。何分泣いたかなんてわからない。とうとう全てを失った、由依は俺の生きる希望だった、彼女がいないこの世界で俺はどうやって自分に存在価値を見出せば良い?、ああそうだ後に続こう、今すぐそっちへ行くよ。彼女の手から拳銃を抜き取り、リボルバーに銃弾が込められているのを確認して、映画で観た通りに安全装置を外し、顳顬に銃口を押し付け、引き金を引こうとすると、鏡に反射した脚本が俺の視界に入った。一旦、拳銃を下ろして脚本に導かれるように、歩いていった。彼女の作品を読み終えてからでも、死ぬのは遅くない、死ぬのなんていつでもできる、と思い、由依の住んでいるマンションに向かうことに決めた。スイートルームからは廊下にかけられているカラヴァッジョの聖カタリナの絵画が見える。美しい彼女の瞳に向かって部屋を出ていき、スイートルームの扉を閉めて、俺はホテルから由依の住んでいるマンションに向かった。
作業部屋の棚にファイリングされた脚本を手に取って、ベランダでタバコに火をつけて、ペラペラとページをめくり、ざっと脚本の中身を確認した。十五作、そしてホテルから持ってきた最後の脚本。その脚本の最終ページまで目を通すと、明らかに不自然なセリフを見て、これがまだ未完なような気がしてきた。おかしい、まだ、書き終えていないのに自殺するなんて、由依らしくない。原作がどこかにあるはずだ、もう一度、作業部屋に戻って、青年が書いた原作小説を探すと、同じタイトルが記された分厚い紙束を発見し、最後のシーンを比較した。まったく異なる最後のシーン。俺の頭に一筋の細い考えが浮かんできた。由依は自殺じゃない。殺された?、でもどうして?。由依が生きていると不都合な人間がいるのか?。由依に出会ってから今日に至るまでの記憶に何か手がかりがないか、考えを張り巡らされた。強盗殺人に見せかけた両親の死。仮に強盗殺人に見せかけて殺したのだとしたら、両親を殺害する目的があるはずだ。
とても、とても暗い暁闇の暗闇が街を包み込み、都会の湿気がまとわりつくやけに暑い日の朝、俺はまだ生きねばならなかった。復讐だ。由依の人生を滅茶苦茶にしたやつがまだ生きている。お前はこれから味わうことになる、蜘蛛の巣にかかった、モンシロチョウの恐怖を。足掻け、足掻け。俺から逃れようとすればするほど、手足に糸が絡まり、がんじがらめになるだろう。捕食される側になった現実を受け入れて、絡まった糸屑の中で、俺の毒でドロドロに溶かされて全てを失うんだ。必ず追い詰めてやる、ベランダからタバコを放ると、タバコの煙が途中まで綺麗な放物線を描いて、垂直に落ちて行った。
玉城由依が死んでから一年半、マネージャーの如月は玉城由依殺人の重要参考人として、指名手配されていた。現場の状況は拳銃自殺を計ったようにも見えたが、握られているはずの拳銃が消えたことと、事件の直後に如月が失踪したことから、警察は、彼女の死因を他殺だと断定している。如月は、この一年半警察の捜索を逃れ続けた。実家にも職場にも顔を出していない。加賀美陽子は玉城由依の葬儀で彼らしき人物を見かけたと供述していたが、それ以降の目撃報告はない。状況証拠は如月を犯人だと示しているが、長年の刑事の勘に頼った判断だが、俺はアイツを犯人だと思っていない。そして、玉城由依も思いつめて自殺するような性格だとも思っていない。真犯人がいる。窓際部署に左遷されていた俺は、玉城由依殺害事件を表立って捜査することはできない都合上、渡辺を使って彼女の死の真相を探っていた。
新年早々の仕事は、捜査四課と合同の指定暴力団へのガサ入れだった。荒々しい仕事は俺の得意分野だが、マル暴ほど俺の恐喝は酷くはないと思う。踏み込みに入る扉の前で建物の中に向けて恫喝する刑事を見ていると、正直、どっちが暴力団なのかわからなくなる。先日、匿名の電話と共に届いた、暴力団の犯罪をまとめた証拠の数々のおかげで捜査令状は簡単にとれた。一体全体、どこのどいつがここまで完璧な証拠を集めたのか、誰にも見当がつかなかった。扉を開けて、雪崩れ込むように捜査員が侵入していくと、外までヤクザと警察が怒鳴り合う声が聞こえた。俺も遅れて、建物に入っていった。タバコ臭い、陰気な部屋で、刺青を首まで入れた、派手なシャツを着た男たちを警察が次々と捕縛して行っている。俺がわざわざ出向くほどなのか、と思い、ヤクザを萎縮させるようにデカい声で脅しながら、建物の捜索を続けていると、捜査四課の刑事が俺の元に駆け寄ってきた。
「草刈警部、地下に来ていただけますか?」
わざわざ俺個人に頼むような要件に心当たりはなかったが、詳細についてあえて聞かず、案内されるまま地下室にいくと、地下室のベッドの上で、肥太った六十歳手前の成金風の男が、口にガムテープを貼り付けれ、パンツ一枚の状態で足と手首を手錠と鎖で拘束された状態で寝かされていた。俺を見ると、助けを求めるように、鎖をガタガタ鳴らし、ガムテープ越しに呻き声を上げていた。そして、そばかすまみれの脂肪で膨れ上がっただらしない黄色い腹の上には茶色い郵便封筒が置かれており、『草刈警部へ』と書かれていた。
茶色い封筒の中身を取り出すと、この暴力団と大手芸能事務所の闇営業、違法売春宿への若手俳優の斡旋の記録がまとめられていた。どうやら、目の前で拘束されている男は吉村という芸能事務所の社長で、これらの記録にはこの男の汚職の全てが事細かに記載されていた。書類を全て取り出した後、封筒の重みで、まだ取り出していないものがあると、俺は気がついた。中身は携帯電話だ。中身を操作すると一件だけ電話番号が登録されていた。この番号にかけろ、という意味なのだろうか。俺は、他の捜査員から離れて、その番号に電話をかけると、若い男が電話に出た。
「こんばんは、草刈警部。資料は受け取ったか?」
「お前は誰だ」
「質問しているのは俺だ。資料は受け取ったか?。何が書かれている」
「ベッドの上で拘束されている男の汚職の証拠がまとめられている。さあ、答えたぞ、お前は誰だ。俺に何の用がある」
「このさい俺が誰かなんてどうでもいいだろ。それは俺からのあんたへのプレゼントだ。それを持って捜査一課に返り咲くといい」
こいつは俺が左遷されたことを知っている。警察関係者をまず初めに思い浮かべたが、仮に警察関係者だとして、こんな回りくどい方法で、これらの資料を俺に渡す必要がない。俺を貶めたいなら別だが、これ以上俺を貶めてもしょうがない。俺を玉城由依の捜査から外すように警察官僚に掛け合ったやつか?、だが、こんな若い男なはずがない。若くて、俺の左遷を知っている人物に俺は心あたりがあった。
「お前如月か?。如月竜か?」と俺は電話の男に質問した。
「知りたいか?。知りたいなら、十五年前の脚本家夫婦の強盗殺人事件を調べると良い。その事件の真相の先に俺はいる」と言われ、電話を切られた。俺がもう一度、そいつにかけ直すと男は電話に出なかった。
俺は吉村の口から乱暴にガムテープを剥がし、「お前、誰にここに連れてこられた」と脅すように質問した。
「サングラスをしたロングコートの男や。その男に眠らされて、ここに連れてこられたんや。マトリックスにでも出てきそうな見た目のやったわ。それ以外は知らねえ。やたら、上が騒がしいが何があったんだ?。頼む、ホンマ助けてくれ」と俺に懇願した。
こいつは何も知らない、何が原因でここに連れてこられたのかも、多分わかっていない。十五年前の強盗殺人事件。仮に電話の男が如月だとすると、俺はヤツを止めたいと思った。俺のせいで、犯罪者に成り下がったあいつを、俺が捕まえてやるのが、俺の責任だと考えていたからだ。俺は警視庁に戻ってその強盗殺人について調べ直すことにした。それにしてもアイツは一体全体何をしでかすつもりなんだ?。
作業部屋の棚にファイリングされた脚本を手に取って、ベランダでタバコに火をつけて、ペラペラとページをめくり、ざっと脚本の中身を確認した。十五作、そしてホテルから持ってきた最後の脚本。その脚本の最終ページまで目を通すと、明らかに不自然なセリフを見て、これがまだ未完なような気がしてきた。おかしい、まだ、書き終えていないのに自殺するなんて、由依らしくない。原作がどこかにあるはずだ、もう一度、作業部屋に戻って、青年が書いた原作小説を探すと、同じタイトルが記された分厚い紙束を発見し、最後のシーンを比較した。まったく異なる最後のシーン。俺の頭に一筋の細い考えが浮かんできた。由依は自殺じゃない。殺された?、でもどうして?。由依が生きていると不都合な人間がいるのか?。由依に出会ってから今日に至るまでの記憶に何か手がかりがないか、考えを張り巡らされた。強盗殺人に見せかけた両親の死。仮に強盗殺人に見せかけて殺したのだとしたら、両親を殺害する目的があるはずだ。
とても、とても暗い暁闇の暗闇が街を包み込み、都会の湿気がまとわりつくやけに暑い日の朝、俺はまだ生きねばならなかった。復讐だ。由依の人生を滅茶苦茶にしたやつがまだ生きている。お前はこれから味わうことになる、蜘蛛の巣にかかった、モンシロチョウの恐怖を。足掻け、足掻け。俺から逃れようとすればするほど、手足に糸が絡まり、がんじがらめになるだろう。捕食される側になった現実を受け入れて、絡まった糸屑の中で、俺の毒でドロドロに溶かされて全てを失うんだ。必ず追い詰めてやる、ベランダからタバコを放ると、タバコの煙が途中まで綺麗な放物線を描いて、垂直に落ちて行った。
玉城由依が死んでから一年半、マネージャーの如月は玉城由依殺人の重要参考人として、指名手配されていた。現場の状況は拳銃自殺を計ったようにも見えたが、握られているはずの拳銃が消えたことと、事件の直後に如月が失踪したことから、警察は、彼女の死因を他殺だと断定している。如月は、この一年半警察の捜索を逃れ続けた。実家にも職場にも顔を出していない。加賀美陽子は玉城由依の葬儀で彼らしき人物を見かけたと供述していたが、それ以降の目撃報告はない。状況証拠は如月を犯人だと示しているが、長年の刑事の勘に頼った判断だが、俺はアイツを犯人だと思っていない。そして、玉城由依も思いつめて自殺するような性格だとも思っていない。真犯人がいる。窓際部署に左遷されていた俺は、玉城由依殺害事件を表立って捜査することはできない都合上、渡辺を使って彼女の死の真相を探っていた。
新年早々の仕事は、捜査四課と合同の指定暴力団へのガサ入れだった。荒々しい仕事は俺の得意分野だが、マル暴ほど俺の恐喝は酷くはないと思う。踏み込みに入る扉の前で建物の中に向けて恫喝する刑事を見ていると、正直、どっちが暴力団なのかわからなくなる。先日、匿名の電話と共に届いた、暴力団の犯罪をまとめた証拠の数々のおかげで捜査令状は簡単にとれた。一体全体、どこのどいつがここまで完璧な証拠を集めたのか、誰にも見当がつかなかった。扉を開けて、雪崩れ込むように捜査員が侵入していくと、外までヤクザと警察が怒鳴り合う声が聞こえた。俺も遅れて、建物に入っていった。タバコ臭い、陰気な部屋で、刺青を首まで入れた、派手なシャツを着た男たちを警察が次々と捕縛して行っている。俺がわざわざ出向くほどなのか、と思い、ヤクザを萎縮させるようにデカい声で脅しながら、建物の捜索を続けていると、捜査四課の刑事が俺の元に駆け寄ってきた。
「草刈警部、地下に来ていただけますか?」
わざわざ俺個人に頼むような要件に心当たりはなかったが、詳細についてあえて聞かず、案内されるまま地下室にいくと、地下室のベッドの上で、肥太った六十歳手前の成金風の男が、口にガムテープを貼り付けれ、パンツ一枚の状態で足と手首を手錠と鎖で拘束された状態で寝かされていた。俺を見ると、助けを求めるように、鎖をガタガタ鳴らし、ガムテープ越しに呻き声を上げていた。そして、そばかすまみれの脂肪で膨れ上がっただらしない黄色い腹の上には茶色い郵便封筒が置かれており、『草刈警部へ』と書かれていた。
茶色い封筒の中身を取り出すと、この暴力団と大手芸能事務所の闇営業、違法売春宿への若手俳優の斡旋の記録がまとめられていた。どうやら、目の前で拘束されている男は吉村という芸能事務所の社長で、これらの記録にはこの男の汚職の全てが事細かに記載されていた。書類を全て取り出した後、封筒の重みで、まだ取り出していないものがあると、俺は気がついた。中身は携帯電話だ。中身を操作すると一件だけ電話番号が登録されていた。この番号にかけろ、という意味なのだろうか。俺は、他の捜査員から離れて、その番号に電話をかけると、若い男が電話に出た。
「こんばんは、草刈警部。資料は受け取ったか?」
「お前は誰だ」
「質問しているのは俺だ。資料は受け取ったか?。何が書かれている」
「ベッドの上で拘束されている男の汚職の証拠がまとめられている。さあ、答えたぞ、お前は誰だ。俺に何の用がある」
「このさい俺が誰かなんてどうでもいいだろ。それは俺からのあんたへのプレゼントだ。それを持って捜査一課に返り咲くといい」
こいつは俺が左遷されたことを知っている。警察関係者をまず初めに思い浮かべたが、仮に警察関係者だとして、こんな回りくどい方法で、これらの資料を俺に渡す必要がない。俺を貶めたいなら別だが、これ以上俺を貶めてもしょうがない。俺を玉城由依の捜査から外すように警察官僚に掛け合ったやつか?、だが、こんな若い男なはずがない。若くて、俺の左遷を知っている人物に俺は心あたりがあった。
「お前如月か?。如月竜か?」と俺は電話の男に質問した。
「知りたいか?。知りたいなら、十五年前の脚本家夫婦の強盗殺人事件を調べると良い。その事件の真相の先に俺はいる」と言われ、電話を切られた。俺がもう一度、そいつにかけ直すと男は電話に出なかった。
俺は吉村の口から乱暴にガムテープを剥がし、「お前、誰にここに連れてこられた」と脅すように質問した。
「サングラスをしたロングコートの男や。その男に眠らされて、ここに連れてこられたんや。マトリックスにでも出てきそうな見た目のやったわ。それ以外は知らねえ。やたら、上が騒がしいが何があったんだ?。頼む、ホンマ助けてくれ」と俺に懇願した。
こいつは何も知らない、何が原因でここに連れてこられたのかも、多分わかっていない。十五年前の強盗殺人事件。仮に電話の男が如月だとすると、俺はヤツを止めたいと思った。俺のせいで、犯罪者に成り下がったあいつを、俺が捕まえてやるのが、俺の責任だと考えていたからだ。俺は警視庁に戻ってその強盗殺人について調べ直すことにした。それにしてもアイツは一体全体何をしでかすつもりなんだ?。
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