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三章 巡る意思

二十一話

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さて、続き。

私はそのまま、イフリートに魔剣で切る。

『無音』は確かに常時スキル。

けど……。

意識すれば、もっと強力な効果を得られる!

それに、さ。

無音って、

「ーーーーーーーーー!」

イフリートが氷を破壊する。

流石にあの程度の拘束じゃあ意味無いか。

でも、大体感覚は掴んだ。

ぶっつけ本番だけど、行くよ!

「はああああぁぁぁぁ!」

その声と同時に辺りが凍りつく。

「……やっぱりそこまで上手くはいかないか……。ま、でも出来たしいっか」

イフリートは動かない。

いや、違う。



確かにイフリートは強い。

けど、それは強化されていたからだ。

この氷は今も刻一刻とイフリートの体力を削っている。

だから、

「これで終わり!」

斬、と、トドメを刺した。

否、刺そうとした。

弾かれた。

「っ!」

猛烈に嫌な予感がする。

私は後ろに跳んだ。

その直後。

イフリートから光が漏れ、辺りを照らし。

その光が割れ、そこには。

人の大きさに縮小した焔の人型がいた。

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

種族名:炎神(最下級)
個体名:イグニス(イヴ)

ステータス
LvCAN NOT MEASURE
職:NOT EXISTS 
力:INFINITY 
防御:INFINITY
敏捷:INFINITY
体力:INFINITY
魔力:INFINITY
魔法攻撃:INFINITY
耐性:INFINITY

スキル
*隠蔽されています。開覧するには権限が足りません。

称号
*隠蔽されています。開覧するには権限が足りません。

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

「嘘、でしょ……?」

この世界に来てから、初めて本気で勝てないと思った。

絶望しかない。

ここに来て進化?

どこの主人公だ。

……ああ、そういえば。

魔物や精霊は契約すると進化出来ないって言ってたね。

つまりはそういう事か。

契約が切れて進化が可能になった、と。

でも。

だからと言って、戦えない訳じゃ無い。

だからまだやる。

魔剣を周囲に飛ばす。

そして凍らせる。

「ーー」

腕の一振りで無効化される。

そして、その余波で世界が歪んだ。

「ッツ!」

そして、体の一部が消滅する。

死ぬ。

蘇生。

 肉体が再生する。

けど、意味は無い。

幾ら蘇生しようと、意味は無い。

だって、蘇生と同時にそいつは私を殺すのだから。
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