伝えし言葉

pulun

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絶望

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 その後の会話はほぼ頭に入ってこなかった。

「そろそろ会社に戻らなくては」

僕はどうにかこの場から早く立ち去りたい。2年もの僕の努力は一瞬にしてあいつに壊されてしまった。いや、じわじわと壊されていたのに全く気が付かず、一緒に飲み歩き、笑い合っていたのだ

 外は太陽の日差しで目が眩む。今にも倒れてしまいそうだ

人は見かけによらないものだ。そんな教訓をこれでもかというくらい胸に突き刺され僕は涙も出ない

これからどうやってあいつと付き合っていけば良いんだ

僕は今ちゃんと真っ直ぐ歩けているのだろうか。自分のしている事も、頭をよぎる感情ももう何が本物なのかわからない。見えるものも聞こえてくるものももう何も信じたくない

よりによって同期の中でもとりわけ信頼しまるで兄貴のような感覚で付き合ってきた樫夜木に裏切られたのだ

絶望とはこういう事を言うのだろう。僕にとって人生初めての”絶望”だった

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